塚本弘隆(つかもと・ひろたか)さん 静岡県島田市・23歳・騎手 取材●長谷部匡彦(本誌) 写真●遠藤昭彦

塚本弘隆(つかもと・ひろたか)さん
静岡県島田市・23歳・騎手
取材●長谷部匡彦(本誌)
写真●遠藤昭彦

 石川県にある金沢競馬場に所属する騎手として活躍する塚本弘隆さんは、リーディングジョッキー(最多勝利騎手)になることをめざし、日々努力を積み重ねている。

「練習では、木馬に跨って姿勢を維持しつつ、レース展開を思い描くイメージトレーニングも大切にしています。レースは一瞬の判断の遅れから負けてしまうので、ゲートが開く前やレース中の流れ、最後の第4コーナーから直線で馬の力を一気に解放させるところなどを、イメージのなかで何度も練習する必要があるんです」

 イメージトレーニングを大切にしているのは、生長の家で「この世界は、心で強く思い描いたことが現れるから、善いことを想念せよ」と教わったことが大きいと話す。

 静岡県で生まれ育った塚本さんは、母親の勧めで小学生練成会(*1)に参加するようになった。中学生になると野球部に入部したが、他の部員に比べて体格が小柄で、チームの足を引っ張ることがあり、先輩からいじめを受けるようになった。精神的に追い詰められ、1年生の夏の終わりに野球部を辞めた後、母親が生長の家富士河口湖練成道場(*2)の練成会に連れていってくれた。

「そこで『人間は神の子で、一人ひとりに使命が与えられている』と教わりました。参加者の中に同学年の子がいて、彼はインターネットに強く、自分でホームページを作っていると聞いて驚きました。それで、僕も自分の強みを見つけたいと思うようになったんです」

hidokei115_make_2 練成会終了後、講師に勧められて、東京都調布市にある生長の家本部練成道場(*3)の練成会にも参加した。

「その時に見た街の景色や、街を歩く人たちを眺めていたら、世界は広いなと実感しました。それから、いじめられた経験をバネに、自立した立派な人間になり、見返してやろうと思い、小柄な体格を生かせる仕事を真剣に探すようになったんです」

 1年生の3月に、騎手という職業があり、騎手になるには、地方競馬教養センターを卒業する必要があることを知った。入学試験は、学力試験の他に長距離走などの体力測定もあるため、2年生から陸上部に所属。騎手になった自分の姿を思い描きながら、長距離走選手として体を鍛えた。

 中学を卒業後、地方競馬教養センターを受験し、約150人の応募者のうち合格者8名という難関を乗り越えて合格。同センターでは、毎朝4時に起きて厩舎を掃除し、馬に餌を与えてから朝食をとり、馬術の実地訓練中心の授業を受けるという生活で、その他に一般教養や栄養学も学んだ。

「定期的に馬術の試験があり、模擬レースなどで順位付けもされます。厳しい競争に晒されて途中で脱落する人もいますね」

 平成25年に、地方競馬教養センターを卒業し、船橋競馬場に所属。金沢の調教師に誘われて、昨年(平成30年)、金沢競馬場に移籍した。

「リーディングジョッキーになることを目標にして、僕と同じようにいじめで辛い思いをしたり、家庭環境が良くなかった子ども達にも、夢に挑戦する素晴らしさを伝えていきたいです」

*1 合宿して教えを学び、実践するつどい
*2 山梨県南都留郡富士河口湖町にある生長の家の施設
*3 東京都調布市飛田給にある生長の家の施設