MKさん 大阪府・23歳・小学校教諭 取材●中村 聖(本誌)撮影●永谷正樹

MKさん 大阪府・23歳・小学校教諭
取材●中村 聖(本誌)撮影●永谷正樹

 大阪市内の小学校で教諭をするMKさんは、「自分には味方しかいない」と思えることが強みだという。それは、生長の家の「すべての人は神の子で、同じ一つの神のいのちを生きている」という「自他一体」の教えを学ぶことで身についてきた。どんなに苦しい状況であっても、自分を成長させてくれる“味方”だと受け止め、多くの人に支えられて今の自分があることへの「感謝の大切さ」を、子どもたちに伝えていきたいと語る。

 にこやかな笑顔が、気さくな人柄を感じさせるMKさんは、大阪市内の小学校で3年生のクラスを担任している。

「授業だけでなく、ほめ方や叱り方など日々反省することばかりですね。教育方法に関して先輩の先生方から厳しく指導されることも多く、落ち込んでしまうこともあります。そんなときでも、生長の家で『乗り越えられない問題はない』と学んだことを支えに、自分は何ができるかを考えながら、子どもたちと向き合って行きたいと思っています」

「おばあちゃんが守ってくれた」

 Kさんは、小学3年生のときに交通交通事故に遭ったことがある。だが、「その事故についての記憶は、ほとんどないんです」と語る。

「登校中に、家のすぐ近くの道路に飛び出した瞬間、走ってきていた自動車とぶつかったようなんです」

 近くの病院に昏睡状態で運ばれたKさんの元に、両親が急いで駆けつけた。Kさんは、そのまま丸一日眠り続けたという。

「僕の枕元で、一晩中両親が聖経(*1)を誦げ続けてくれたことを後で聞きました。僕のために必死に祈り続けてくれたおかげで今の自分があると、両親には感謝しています」

 一夜が明け、鎖骨が1本折れたものの、幸いにも一命をとりとめたKさんは、意識を取り戻した際、父親の知足(ちたる)さんに、「おばあちゃんが守ってくれた」と話したという。

「今ではほとんど忘れてしまったんですが、『覆い被さるように、おばあちゃんが守ってくれた』と父に言ったそうです。祖母は事故の半年ほど前に亡くなっていたんですが、とても優しくて、生長の家を熱心に信仰していて、自宅で誌友会(*2)も開いていましたね。今も見守ってくれていると信じています」

人の役に立ちたい

 小さい頃、毎日友達と元気よく遊んでいたというKさんは、いじめられている友達を助けるために、自分より体の大きい相手にも向かっていくような正義感もあった。小学生のときから、親の勧めで誌友会や練成会(*3)に参加して、生長の家の教えを学ぶようになり、中学生になると、小学生練成会の運営の手伝いをする奉仕活動にも携わるようになった。

hidokei110_rupo_2b 現在も、生長の家青年会の一員として、青少年練成会の運営の手伝いを続けているKさんは、そこでの活動の経験が、自分の人生における貴重な財産になっていると話す。

「練成会では、友達と一緒に楽しく教えを学んだことをよく憶えています。『人間は神の子であり、無限力がある』という話や、両親やご先祖様への感謝の大切さについて聴いたことが、強く印象に残っています。練成会中は、館内のどこでも放送でそうした講話が流れていて、運営をしていても自然と教えが心に入ってきましたね」 

 高校3年生になり、大学進学を控えて将来の進路を選ぶとき、Kさんは元々工作などが好きだったので、当初は工学部への進学を考えていた。

「小学生の頃にエジソンの伝記を読んで、エジソンが電球を発明したことに強い感銘を受けたんです。それで、自分もエジソンのように『人のために役に立つ発明をしたい』と思っていたので、工学部に進んで物理などを研究していきたいと考えていました」

 ただ、その時はまだ、進路に関して「このまま進んでいいのだろうか」という迷いがあったという。

子どもたちの無限力を引き出してあげる仕事

 自分の進路に関して心にもやもやしたものを抱えていたKさんだったが、父親の一言が転機となった。

「ある日、学校から帰宅すると、父から『教育学部はどうや』と言われたんです。その日、父は神想観(*4)の最中に、教師が僕に合っていると、ふと思ったみたいです。父にそう言われて、『子どもたちの無限力を引き出す仕事はいいかも』と思い、それまでの迷いが消えていきました。小中学生の練成会のお手伝いをさせてもらうなかで、自分自身、子どもたちと接することがとても好きだと感じていましたし、子どもたち一人ひとりが、本当にすごい無限力を持っているのだと実感したことが、教師という道へ踏み出す理由の一つになりました。自分に向いていると思っても、その経験がなかったとしたら、教師の道に踏み切ることはできなかったと思います」

 自分のやりたいことが次第にはっきりと見えてくるようになり、工学部に進んで研究や発明という形で世の中に貢献するのではなく、未来を担っていく子どもたちと関わることで、人や社会の役に立てるように頑張ろうと決意したという。

 目標が定まったKさんは、高校卒業後は大学の教育学部に進学し、充実した学校生活を送りながら教員免許を取得した。その後、大学4年生のときに大阪府の小学校の教員採用試験に合格した。

大切なのは子どもの本当の姿を見ること

 昨年(2018)の4月から、大阪市内の小学校で、小学3年生の担任として教壇に立ちはじめたKさんは、子どもたちとの関わり合いについて、毎日が試行錯誤の繰り返しだと語る。

「小学3年生で事故に遭った自分が、今こうやって同じ小学3年生の担任をしているということに、不思議な縁を感じています。この1年間に子どもたちと向き合ってきたなかで、子どもたちが一番求めているのは、『愛して欲しい』ということではないかと思うようになりました。こちらの気を引きたくて、いたずらしてみたりとか、僕に叱られても「先生~」ってめげずに話しかけてくれたりするのを見て、僕がやるべきことは、子どもたちに内在する神性をしっかりと見つめて、愛情を与えていくことなのではないかと強く感じています。子どもの良いところをたくさん褒めてあげて、子どもの本当の姿である、素晴らしい実相(*5)を引き出してあげられるような教師を目指しています。子どもを注意する時にも、悪いところを見て注意するのではなく、神の子としての実相を直視した上で、注意することが大事だと思っています」

いつも『よくなるしかない』という言葉を胸に

 早朝から、遅いときは夜の10時過ぎまで、授業準備や事務作業、保護者への対応などに追われる毎日のなかで、他の先輩教師から、子どもたちへの声かけや指示の出し方などについて厳しい指導を受け、落ち込むこともたくさんある。そんなときも、生長の家で学んだ前向きな言葉を思い出すようにしている。

hidokei110_rupo_3b「図工の時間に的確な指示を出せず、子どもたちがどういう風に作品を作ればいいのか分かりにくくしてしまったことがあったりして、教え方には毎日悩み続けています。辛いと思うときもあり、時には弱音も吐きたくなりますが、もし自分がここで挫折したら、子どもたちや保護者の方、そして自分を支えてくれる先生方の思いだけでなく、自分の家族の思いにも応えられないと思うんです。メンタルが強いとだけは言われますから(笑)、注意されたことに真摯に向き合いながら、いつも『よくなるしかない』という言葉を胸に、これを乗り越えれば自分の思い描く未来につながっていくと信じて取り組んでいます」

 そう語るKさんは、「生長の家で10年、20年と学んできた信仰があったからこそ、物事を肯定的にとらえることができるようになり、自分に自信が持てるようになった」と話す。

「生長の家の奉仕活動で得た経験が、いま子どもたちと、日々向き合う上でも大きな糧になっていると感じています。あまり人前で話すのは好きではなかったんですが、運営のお手伝いなどで人前で話をする機会が多かったので、鍛えられましたし、いま教師として子どもたちと接するときに、とても役に立っています。これまで学んできたことを、学校現場でしっかりと活かしていきたいと思っています」

子どもたちのために全力を尽くしたい

 最近一番嬉しかったのは、「自分の誕生日に、子どもたちが教室で歌を歌ってくれたこと」と笑顔で語るKさんに、「自身の強みは何ですか」と聞いてみた。

「自分には『味方しかいない』ことです(笑)。生長の家で学んだ『自他一体』という教えを大切にしてきたことで、みんな素晴らしい神の子であり、すべてが自分の味方だと、良い方向にとらえることができるようになりました。また、生長の家の教えには『天地一切のものとの和解が成立するとき、天地一切のものは汝の味方である』とあり、『和解するとは、感謝すること』だと教えられています。事故に遭ったときもそうでしたが、両親をはじめとして色んな方の支えがあったからこそ、今の自分があると感謝をしています。僕に対して厳しく注意をしてくれる人も自分を成長させてくれる存在であり、どんなにしんどい状況にあっても、『すべてが自分の味方である』と思えることが、自分の一番の強みだと思います」

 子どもたちにも、「自分は色んな人に支えられながら生きている」ということに感謝の気持ちを持ちながら、成長していって欲しいとKさんは、目を輝かせながら話す。

「これからも、子どもたちのために何ができるかを常に一番に考えながら、一人ひとりの素晴らしい実相を引き出してあげられるような教師を目指して、全力で取り組んでいきたいと思います」

*1 生長の家のお経の総称
*2 教えを学ぶつどい     
*3 合宿して教えを学び、実践するつどい
*4 生長の家独得の座禅的瞑想法    
*5 神が創られたままの完全円満なすがた