天地忠衛(あまち・まもる)さん│44歳│山梨県北杜市 池の畔で休憩。水面に紅葉が美しく映える 取材/多田茂樹 写真/近藤陽介

天地忠衛(あまち・まもる)さん│44歳│山梨県北杜市
池の畔で休憩。水面に紅葉が美しく映える
取材/多田茂樹 写真/近藤陽介

 生長の家国際本部に勤務する、中国出身の天地忠衛さんは、週に一度のペースで、北杜市長坂町にある職員寮から約12キロの道のりを徒歩通勤し、四季折々の自然の様子を写真に撮って、フェイスブックなどに投稿している。

 昨年(2017)11月初め、天地さんの徒歩通勤に同行した。自転車通勤“ジテツー”に倣(なら)い、徒歩通勤を“アルツー”と呼ぶ天地さんが寮を出発したのは、まだ薄暗い午前6時。

 「2016年、内外の生長の家講師・幹部が参加した集まりで、『五感を使って自然を感じよう』という研修を受けた時、『歩いて通勤したら、身近に自然を感じられるに違いない』と思い立ち、それから、一年を通して徒歩通勤するようになりました。本部まではずっと坂道ですから、ゆっくり行きましょう」

 その言葉に促(うなが)されて歩き出したものの、初心者には早足にしか思えないペースだ。腰を立て、胸を張り、丹田(たんでん)を意識した腹式呼吸を心がけているというだけあって姿勢もいい。

 やがて夜が明け、赤や黄に色づいた木々の葉が目に入ってきた。天地さんは足を止め、秋の風景をスマートフォンで写真に収める。

 「五感をフルに解放して歩いていると、『これを撮りたい』というものが、心のアンテナに留まるんです。そんなちょっとした自然からのメッセージを受け取り、写真として表現できたらいいなと思っています」

歩くだけでなく、林の中の道に捨てられたゴミ拾いもしている

歩くだけでなく、林の中の道に捨てられたゴミ拾いもしている

 中国遼寧省(りょうねいしょう)生まれの天地さんが、生長の家の教えに触れたのは、1997年に結婚した妻の朋子(ともこ)さんを通して。「人間・神の子」の教えに感動した天地さんは、留学して筑波大学大学院を卒業後、東京の会社で働く傍(かたわ)ら青年会(*)で活動し始めた。

 「続けるうちに、『生長の家の教えの普及に一生を献(ささ)げたい』と思うようになって会社を退職し、2007年から生長の家国際本部で働くようになったんです」

 1時間もすると、秋晴れの空に、八ヶ岳が姿を現した。天地さんは、季節毎に違う顔を見せる八ヶ岳や自然に心が癒(い)やされ、歩くことが少しも苦ではないと顔をほころばせる。

 「今日、歩いて見た景色、動物、植物は、すべて一期一会。二度と同じものに出合うことはありません。その一瞬、一瞬の感動を大切にしながら歩いていると、『自然と人間は一つだ』という思いが湧いてきます」

 国際本部に到着したのは、3時間後の午前9時。早朝から美しい自然の中を歩くことで、記者も晴れ晴れとした気持ちになった。

*=12歳以上40歳未満の生長の家の青年男女の組織