小島政行(こじま・まさゆき)さん(特定非営利活動法人「プラスチックフリージャパン」代表) 小島政行さんのプロフィール 1949年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒。大学で応用物理を学び、卒業後、第二精工舎(現セイコーインスツル)でクオーツ時計の開発を手がける。退社後、米国のソフトウェアを日本の企業に販売するビジネスを展開。一線を離れた2013年から社会貢献活動に目を向けるようになり、2017年、NPO法人プラスチックフリージャパンを設立し、代表となる。ペットボトル、レジ袋、テイクアウト用カップ、ストローの“使い捨てビッグ4”をなくすことを目標に、ビーチクリーニング、市民活動への参加、講演などを通して啓蒙に努めている。神奈川県藤沢市在住。家族は妻と愛犬一匹。趣味は木工で、自作した和み地蔵像は販売もされている。 「海はもちろん、人間や動物の環境を汚染するプラスチックごみを可及的速やかに不使用にする活動を、もっと広げていかなければならないと思っています」と語る小島政行さん。鎌倉市の由比ヶ浜にて 聞き手/木村智子さん(生長の家埼玉教区青年会委員長、生長の家光明実践委員) 写真/堀 隆弘

小島政行(こじま・まさゆき)さん(特定非営利活動法人「プラスチックフリージャパン」代表)

小島政行さんのプロフィール
1949年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒。大学で応用物理を学び、卒業後、第二精工舎(現セイコーインスツル)でクオーツ時計の開発を手がける。退社後、米国のソフトウェアを日本の企業に販売するビジネスを展開。一線を離れた2013年から社会貢献活動に目を向けるようになり、2017年、NPO法人プラスチックフリージャパンを設立し、代表となる。ペットボトル、レジ袋、テイクアウト用カップ、ストローの“使い捨てビッグ4”をなくすことを目標に、ビーチクリーニング、市民活動への参加、講演などを通して啓蒙に努めている。神奈川県藤沢市在住。家族は妻と愛犬一匹。趣味は木工で、自作した和み地蔵像は販売もされている。

「海はもちろん、人間や動物の環境を汚染するプラスチックごみを可及的速やかに不使用にする活動を、もっと広げていかなければならないと思っています」と語る小島政行さん。鎌倉市の由比ヶ浜にて

聞き手/木村智子さん(生長の家埼玉教区青年会委員長、生長の家光明実践委員) 写真/堀 隆弘

inoti108_rupo_2 さまざまな工業製品をはじめ、ビニール、発泡スチロールなど、私たちの生活のあらゆる場面で利用され、その便利さから“魔法の素材”と言われるプラスチック。しかし、その多くが使い捨てにされているため、毎年約800万トンものプラスチックごみが海に流入し、魚や亀、鳥などの生き物に甚大な被害を及ぼし始めている。

 そうした現状に警鐘を鳴らし、“使い捨て文明”を脱して、プラスチック汚染のない日本をつくる活動を展開しているNPO法人プラスチックフリージャパン代表・小島政行さんに、プラスチックごみの現状と同法人の日頃の活動について、さらに、プラスチックで溢(あふ)れた海にしないために、私たちにできることは何かなどについて聞いた。

日本のプラスチック生産量は年間1千万トン

──最近、プラスチックごみの問題について、ニュースなどでよく見たり、聞いたりするようになりました。しかし、そもそもプラスチックにはどんな種類があるのか、私をはじめ分からない方が多いと思います。まず、その辺のところから教えていただけますか。

由比ヶ浜の砂浜で採取すると、たくさんのプラスチックごみが出てきた(下)。上は、聞き手の木村智子さん

由比ヶ浜の砂浜で採取すると、たくさんのプラスチックごみが出てきた(下)。上は、聞き手の木村智子さん

小島 ご存知のようにプラスチックとは、主に石油を原料として作られる物質のことで、合成樹脂とも呼ばれます。その利点としては、安価であること、軽くて丈夫、いろいろな形にできる、着色できることなどがあげられ、とても便利なものだと考えられてきました。200種類ほどあると言われていますが、主要なものは5種類です。

 1つ目は、レジ袋やペットボトルのフタなどに使われているポリエチレン、2つ目が食品保存容器などのポリプロピレン、3つ目が水道や下水のパイプとして使われるポリ塩化ビニル、4つ目は、発泡スチロールのポリスチレン、最後がペットボトルの本体に使用されるポリエチレンテレフタレートです。この5種類で、年間約1千万トンに上る日本のプラスチック生産量の75パーセントを占めていると言われています。

 今、プラスチックの利点をあげましたが、悪い点としては、熱や衝撃、太陽光に弱い、油が付くと取れない、そして最大の難点はいつまでたっても、完全に分解されないということです。それに留まらず、海や川で長く漂う間に日光にあたってプラスチックが砕け、マイクロプラスチックになってしまう。これが今、プラスチックごみの中でも、特に大きな問題になっているんです。

──マイクロプラスチックとは、どのようなものですか。

小島 マイクロとは1千分の1ミリ、0.001ミリのことを言いますが、マイクロプラスチックの場合、大きさが5ミリ以下のプラスチックを指します。

 マイクロプラスチックには2種類あって、一つは、製造された時点で既に5ミリ以下の小さいプラスチックで、化粧品などに入っているスクラブという小さな粒々や歯磨き粉に使われている研磨剤などのマイクロビーズのことをいい、これは、「一次マイクロプラスチック」と呼ばれています。もう一つは、先ほど紹介したように、プラスチック製品が光などにあたることで劣化し、バラバラに小さくなったもので、「二次マイクロプラスチック」と呼ばれています。  

2050年、海に漂うプラごみは海の魚の全重量を超える?

──2016年、国連環境計画は、「2050年には、海に漂うプラスチックごみの重量が、世界中の海の魚を全部合わせた重量を超える」という衝撃的な予測をしていますが、今、世界では、どれほどのプラスチックが生産されているんでしょうか。

小島 プラスチックは19世紀後半に発明され、これまでの間に、約83億トンのプラスチックが生産され、現在も、年間約4億トン作られています。83億トンのうちの約76パーセントにあたる63億トンは、既に使われずにごみになっていて、そのうち約10パーセントがリサイクルされ、12パーセントが焼却されます。

 残り78パーセントの40何億トンかのプラスチックの中には、埋め立てたものも含まれていますから、全部が海に流れたわけではないと思うんですが、それにしても膨大な量のプラスチックごみが、海に流失しているのは間違いないですね。

 今、おっしゃった国連環境計画が発表している、2050年に魚の総量よりもプラスチックの量が増えるという予測は、海の中のプラスチックごみの量が120億トンになった時にそうなるらしいんですが、今でも、世界の海には、51兆個のマイクロプラスチックが漂っていると言われています。これが他のプラスチックごみと合わせて、生き物たちに害を及ぼし始めているんです。

プラスチックごみの影響は食物連鎖で人間にも及ぶ

──具体的には、どんな被害が出ているんでしょうか。

写真は、プラスチックフリージャパン提供

写真は、プラスチックフリージャパン提供

小島 写真を見てください。これは、6本の缶ビールを一つにまとめるために使われているシックスパックが、亀の甲羅にからみついているものですね。他にも、亀の体に漁業網がからまったり、魚の体にリングがはまったり、鳥にビニール袋が巻き付くなど、たくさんの被害が報告されています。人間なら切って取ることができるんですが、こうした生き物は手の施しようがなく、やがて死に至ってしまう。

 さらに深刻なのは、魚や鳥などがプラスチックを食べ物と間違えて飲み込んでしまうことで、次の写真は、ミッドウェー環礁で発見されたアホウドリの雛鳥の死骸です。お腹の中に大量のプラスチックがあることが分かります。親鳥が、海面に浮いているプラスチックを餌と間違えて取ってきて、あげてしまったんですね。

写真は、プラスチックフリージャパン提供

写真は、プラスチックフリージャパン提供

 鎌倉市の海岸に打ち上げられたシロナガスクジラの胃の中からもプラスチックごみが発見されるなど、ある報告では、600種を超える海の生き物がプラスチックごみの被害を受けていると言われています。

──人間には、どんな影響が出ると考えられるんでしょうか。

小島 人間は優れた消化器を持っていますから、たとえプラスチックを食べたとしても便として出てくるので、大丈夫だとは思うんですが、間接的に影響を受けるというのはあり得ることですね。

 プラスチック製の容器に油ものを入れると、強力な洗剤でごしごしこすらない限り、なかなか落ちないじゃないですか。プラスチックと油は、とても相性がいいものですから、漂っている間に、海の中の油分をプラスチックが吸い寄せてしまうんです。その油分とは何かというと、化学物質のPCB(ポリ塩化ビフェニル)、農薬のDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)といった毒性のあるものなんです。

 人間は、海に漂っているプラスチックごみを直接食べることはないでしょう。しかし、毒性のある油分を脂肪に蓄えた魚を食べたら、影響がないはずはありません。厚生労働省が発行している『これからママになるあなたへ』という妊産婦向けのパンフレットには、魚の一部には、自然界に存在する水銀が食物連鎖によって取り込まれているものがあるので、食べる魚の種類と量に注意する必要があると書かれています。毒性のある油分が付着したプラスチックごみを魚が食べ、その魚を人間が食べることになれば、その影響が懸念されますね。

──今、海に漂うプラスチックごみのことを聞きましたが、マイクロプラスチックは、私たちの身近なところにもあるそうですね。

小島 街には、車のタイヤが摩耗して発生するプラスチックごみが空中を浮遊していますし、野球場、サッカー場などの人工芝は、人がその上を走るたびに削られて、小さいプラスチックごみになって、空気中を舞っています。

 科学的に証明されているわけではありませんが、個人的には、空気中に漂っている目に見えないプラスチックごみは、直接肺に入ってしまうという意味で、人体に有害ではないかと思っています。 

人間の処理能力を超えたプラスチックごみと原発

──便利だということで、プラスチックを作り過ぎ、使った後、どう処理していいか分からない。私たちは今、そんな状態に陥っている気がします。

小島 その通りです。地球が持っている浄化作用とか回復力、そして、廃棄するための人間の知恵を超えているから問題になっているわけです。CO2なども、地球が有する回復力に見合った量であれば、問題ないんですが、地球環境が壊されてしまうほどCO2を出してしまうから、温暖化が進んでしまう。人間が自ら処理できない物を一所懸命に作り出し、使っているという意味では、原発の放射性廃棄物とまったく一緒だと思います。

──先ほど、プラスチックごみの多くは埋め立てられていると聞いて、自分たちが使っている物を地球に埋めてしまうのはどうなんだろうかと、胸が痛みました。

inoti108_rupo_6小島 そうですよね。埋めても、それで消えてなくなるわけではなく、ただ隠すだけですからね。それに、埋めたものは、長い時間を経てメタンガスに変わり、温暖化にも影響を及ぼしてしまいます。

 その意味で、プラスチックごみの問題は、温暖化にも関係しているんです。現在、全体の石油量の4パーセントから5パーセントがプラスチックを作るために使われています。石油を掘る時に燃料を使ってCO2を出し、プラスチックを作る時も、プラスチックごみを始末するために燃やす時も、CO2を出すわけですから、脱石油が叫ばれる今の時代において、プラスチックを使い続けるのは、時代の流れに逆行することだと思います。

鎌倉市をプラスチックフリータウンにしよう

──小島さんは2017年に、プラスチックフリージャパンを設立されたわけですが、それはどんな思いからだったんでしょうか。

小島 私はサラリーマンをやったし、自分で会社をつくったりもしましたが、年を取ってきて自分の人生を振り返った時、アメリカ人が書いたチベット仏教の『Seven Weeks to Finding the Buddha in You』という本に出合いました。そこに、絶対失敗しないことが一つだけある、それは社会貢献であって、世界をよくするために社会貢献をしなさい、そうすればあなたも幸せになれると書かれていたんです。その言葉に促されて、なんとかしなければと前から思っていたプラスチックごみの問題に取り組み、少しでも社会に貢献をしようと、一昨年(2017)にプラスチックフリージャパンを設立しました。

フィリピンのマニラ湾に打ち上げられたごみの中からプラスチックのカップを集める人。2016年8月(ロイター=共同)。このように、世界の海岸には膨大な量のプラスチックごみが打ち寄せられている

フィリピンのマニラ湾に打ち上げられたごみの中からプラスチックのカップを集める人。2016年8月(ロイター=共同)。このように、世界の海岸には膨大な量のプラスチックごみが打ち寄せられている

──素晴らしい動機ですね。主にどんな活動をされているんですか。

小島 最初に行ったのは、「鎌倉市をプラスチックフリータウンにしよう」ということで、鎌倉市役所内ではペットボトルを使わない、市役所内にはレジ袋を持ち込まない、市役所内での会議ではペットボトルの水を出さないといった請願を鎌倉市に提出したことでした。これは、おかげさまで市議会の全会一致で実現しました。続いて昨年には、鎌倉市が「プラごみゼロ宣言」をしてくれ、プラスチックフリージャパンの活動が、少しずつ具体化しつつあるという実感があります。

 他にも、学校に出向いて、プラスチックごみ問題に関するセミナーを開催したり、風呂敷の使い方やマイバッグの作り方などを学ぶワークショップを開くなどして、啓蒙活動を行っています。また、年に3回ほど湘南の海で、プラスチックごみなどを回収するビーチクリーニングも実施しています。それから、プラスチックストローの代わりとして、ステンレスストロー(1本450円。ブラシ1本250円)の販売も行っています。

3Rと「わたしたちにできること」の実践と徹底を

──プラスチックごみ問題を少しでも軽減するために、私たちはこれからどんなことをしたらいいでしょうか。

上/自分で絵を描くマイボトル 下/プラスチックフリージャパンで販売しているステンレスストロー。1本450円

上/自分で絵を描くマイボトル 下/プラスチックフリージャパンで販売しているステンレスストロー。1本450円

小島 残念ながら、これまでに発生したプラスチックごみを、完全に処理することはできません。私たちにできるのは、これからできるだけプラスチックを使わないようにすることです。そのためにまず、❶Reduce(リデュース:ごみを減らす=発生抑制)、❷Reuse(リユース:何度も使う=再使用)、❸Recycle(リサイクル:使えなくなったものは資源に戻す=再資源化)の「3R」を実践していただけたらと思います。

 加えて、私たちにできることとしては、❶使い捨てプラスチックは買わない、もらわない。❷マイバッグ・マイボトルを持参する。❸ばら売りや簡易包装のものを選ぶ。❹レジ袋有料化やノートレイを実践しているエコショップを利用する。❺リサイクルできるものは、きちんと分別して出す。❻ごみを出すときは、風に飛ばされないようにする。❼ポイ捨てをしない、させない。❽街や川・海のごみ拾いを、友人たちを誘って積極的に実施する。❾国に、川・海にごみが流失しない仕組みをつくるよう働きかけるといったことです。

 今、マクドナルドやスターバックスがプラスチックストローの廃止を表明するなど、脱プラスチックの流れが出てきています。私たち一人一人が日常生活の中で、「3R」「わたしたちにできること」を実践し、徹底することで、その流れがより大きなものになっていくと確信します。

 私は、国連のSDGS(持続可能な開発目標)の活動もしていますので、SDGSが掲げる「社会を変革するための17の目標」の実践にも努めながら、未来に美しい地球を残すために貢献していきたいと考えています。

──お話を伺って、一層環境に配慮した生活を送らなければと痛感いたしました。本日はありがとうございました。(平成30年11月11日、鎌倉市のプラスチックフリージャパンにて)

*平成31年4月から、鎌倉市庁舎内での自販機でペットボトルの取り扱いは、極力なくなります。

プラスチックフリージャパン提供

プラスチックフリージャパン提供