田上 修(たがみ・おさむ)さん│66歳│福岡県新宮町 いつも、愛車「キャリーミー」で走っている田上さん。車輪は小さいが、スピードは普通の自転車と変わらない 取材/多田茂樹 写真/近藤陽介

田上 修(たがみ・おさむ)さん│66歳│福岡県新宮町
いつも、愛車「キャリーミー」で走っている田上さん。車輪は小さいが、スピードは普通の自転車と変わらない
取材/多田茂樹 写真/近藤陽介

自宅から駅、駅から会社通勤の行き帰りに自転車を活用

 残暑が厳しい8月下旬の休日の朝、JR博多駅改札口。乗降客で混雑する中央通路の向こうから、キャスターを引き、自転車用ヘルメットを被った人の姿が現れた。それが、現在、生長の家が進めているPBS(プロジェクト型組織)の一つ、SNI自転車部(*1)の一員として活動する田上修さんだった。

上:組み立てと折りたたみは、見る間にパタパタっと済んでしまう。どちらも慣れれば20秒しかかからない/下:折りたたんだ自転車は、小さなキャスターで軽々と持ち運べる

上:組み立てと折りたたみは、見る間にパタパタっと済んでしまう。どちらも慣れれば20秒しかかからない/下:折りたたんだ自転車は、小さなキャスターで軽々と持ち運べる

「キャスター付で引いているのが、折りたたみ式の自転車『carryme(キャリーミー)』(パシフィック社製)で、6年前に購入したものです。車輪の直径が8インチ(約20センチ)で、総重量8キロ、折りたたむと縦93センチ、横32センチとコンパクトになるので、持ち運びにとっても便利です」

 福岡市内にある水道施設電気関係の会社に勤務する田上さんは、以前から最寄り駅までは自転車を利用していたが、5年前、低炭素、省資源の生活法として生長の家が推奨している自転車を生活に取り入れようと、通勤の往復に自転車を使うようになった。とは言っても、自宅から勤務先まで自転車を漕いで行っているわけではない。 

 朝、自宅から最寄り駅JR福工大前駅(鹿児島本線)までの2キロの道のりを走った後、自転車を折りたたんで専用バッグに入れ、輪行(自転車を鉄道車両に持ち込んで移動すること)。博多駅に到着すると自転車を組み立て、1.2キロ先の会社までペダルを漕いで出社し、仕事が終わると逆コースで帰宅する。

「66歳になった今も元気で働けるのは、『人間・神の子、無限力』の教えをいただいていることと、毎日自転車に乗って、足腰を鍛えているおかげかなと思っています」

 そう笑顔で語ると、田上さんは慣れた手つきで自転車を組み立て始めた。スポーツタイプの自転車で輪行する際は、車輪を取り外すため、再びセットし、ブレーキをはめ込んだりと面倒な作業が必要だが、キャリーミーの場合は、折りたたまれた個所をワンタッチで伸ばし、ハンドル両側のグリップ部分のパーツをカチッとはめこむだけ。

「慣れれば、20秒でできますから便利ですよ。ただ車輪が小さいので、道の段差には弱く、乗り上げられるのはせいぜい3センチの高さまで。それ以上段差がある場合は、降りて持ち上げなければならないという難点はありますが、普段の買い物などの他、太宰府市の福岡県教化部(*2)で会議がある時も輪行し、最寄り駅から教化部まで自転車で出かけることができるので重宝しています」

生長の家の教えで病気を克服

 田上さんは、熱心に信仰していた両親の影響で、子供の頃、生長の家の教えに触れた。中学生の時には、青少年練成会(*3)に参加し、「目に見える世界の奧に、神様が創られた完全円満な実相の世界がある」という教えに感動したという。

 高校、大学、社会人となってからも青年会(*4)の活動を続け、その後は、相愛会(*5)の会員として生長の家の運動に携わってきた。昭和60年頃には、こんな体験をしている。

「以前、病気のため入退院を繰り返したことがありました。医者からは、『棺桶に片足を入れているような状態』とまで言われたんですが、治療を続けるとともに、『人間・神の子。本来病なし』の教えを信じ、一心不乱に聖経(*6)を読誦し、神想観(*7)を実修することで、2年半後に病気が完治したんです」

 その体験を機に、ますます信仰を深めた田上さんは、平成24年に生長の家相愛会福岡教区連合会副会長となり、平成27年にSNI自転車部、次いでSNIクラフト倶楽部、SNIオーガニック菜園部に入った。

郷里長崎市への帰省など自転車での遠出を楽しんで

「SNI自転車部の多くの人たちは、スポーツタイプの自転車で長距離のポタリング(*8)をしたり、ヒルクライム(*9)をしたりしている中、私の場合は、実用目的で自転車に乗るのがもっぱらなので、軟弱なものです(笑)」

4年前、福岡県門司市から山口県下関市までの約8キロを自転車で走破した際に通った、関門トンネルの人道で

4年前、福岡県門司市から山口県下関市までの約8キロを自転車で走破した際に通った、関門トンネルの人道で

 そう謙遜する田上さんだが、5年前、郷里の長崎市に帰省した時には、最寄り駅の福工大前駅からJR諫早駅まで輪行し、諫早駅から迎えの車との合流地点までの5キロの道のりを、キャリーミーで走った。

「仏事で先に帰省した妻らを追って、出張後に、初めて輪行で帰省しました。キャリーミーの便利さ、楽しさを改めて実感することができました」

 平成26年には、やはり福工大前駅から門司港駅まで輪行。そこから、福岡県門司市から山口県下関市内までの約8キロの道のりを自転車で走行した。

「関門トンネルの人道も通ったんですが、トンネル内は、自転車の走行が禁止されているので、自転車を押して歩きました。780メートルという短い距離でしたが、その間、『このトンネルのお陰で海の底をくぐって歩けるなんてありがたいな』と、楽しい経験ができました」

自転車に乗ることはとにかく楽しい

inoti105_rupo_3 田上さんが自転車を使うようになったのは、車の利用を控え、二酸化炭素の排出を抑えたいという思いからだった。しかし、5年経った今も続けられているのは、最初の動機はもとより、自転車に乗ることが楽しいからだという。

「もともと丈夫でしたが、より一層健康になりました。それに何より、自転車で走ることで、車に乗っていた時には気づかなかった、風の流れ、季節の移り変わりなどに目が向くようになって、心が豊かになった気がします。これからも自転車に乗り続け、その楽しさを多くの人に伝えていきたいですね」

 田上さんは、愛車のキャリーミーに乗り、颯爽と走り去った。

*1=生長の家の略称
*2=生長の家の布教・伝道の拠点
*3=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
*4=12歳以上40歳未満の生長の家の青年男女の組織
*5=生長の家の男性の組織
*6=生長の家のお経の総称
*7=生長の家独得の座禅的瞑想法
*8=1人か家族連れや気の合う仲間で、近郊を散歩程度に軽くサイクリングすること
*9=登坂競技のこと