東 俊一(あずま・しゅんいち)さん│85歳│三重県伊賀市 取材/久門遥香(本誌) 写真/堀 隆弘

東 俊一(あずま・しゅんいち)さん│85歳│三重県伊賀市 取材/久門遥香(本誌) 写真/堀 隆弘

 三重県伊賀市で暮らす画家の東俊一さんは、40年余りにわたって、環境汚染や原発問題をテーマにした抽象画を手がけ、汚染が進む世界の“浄化”を願って絵筆を執り続けてきた。

主体となる青色の中に、鮮やかな赤色が映える。「汚染のない世界への思いを、色に込めました」

主体となる青色の中に、鮮やかな赤色が映える。「汚染のない世界への思いを、色に込めました」

 その作品は、深い青を主体にした色を使い、和紙を貼って立体感を出すなどの工夫が凝らされたキャンバスに、不思議な図形や線状の模様が描かれたもので、独特の雰囲気が感じられる。

「絵の中で多用している青色は、清らかさや浄化をイメージしていて、自分の思いを表現するのに最も合った色なんです。観る人によってさまざまな受け取り方ができる抽象画を通して、環境問題への関心を持ってもらえたらなと思って描いています」

 絵を描き始めたのは、地元の信用金庫に勤めていた30代の頃。もともと絵が好きで、地元の絵の先輩に誘われて、市内の「上野美術クラブ」の設立に携わり、当初は風景画などを描いていた。しかしその後、イメージの世界を自由に表現できる抽象画に惹かれ、心象風景などをモチーフに描くようになった。

 そして40代になった頃、高度経済成長期に起きた四日市ぜんそくなどの公害問題に関心を持つようになり、それから環境汚染をテーマに絵の制作を始めたという。

「最新のニュースなどを取り入れながら、これからも描き続けたいですね」。福島第一原発事故を題材にした作品の前で

「最新のニュースなどを取り入れながら、これからも描き続けたいですね」。福島第一原発事故を題材にした作品の前で

「経済発展ばかりを追い求め、地球の環境を省みない社会への違和感を絵で表現しようという思いが、今日まで絵を描き続けてきた一番の原動力になっているんです」

 生長の家の教えには、妻の文子さんを通して触れた。平成6年頃、聖使命会(*1)の特志会員となって、講習会(*2)に参加したり、生長の家の書籍を読んだりして教えを学んできた。

「生長の家で説かれる『天地万物に感謝せよ』『神・自然・人間は一体である』という教えに感銘し、作品を制作する上でも、大きな影響を受けています」

 東さんは、所属する美術団体「美術文化協会」と、市内の上野美術クラブの展覧会に、毎年新作を出品し、昨年(2018)は伊賀市のギャラリーで「青の世界」と題した個展を14年ぶりに開催した。85歳になった現在も、精力的に創作活動に励んでいる。

「今すぐ環境問題を解決する力はないかもしれませんが、絵を通して、一人でも多くの方に地球の環境を守ることの大切さをお伝えするのが、私の使命だと感じています」

*1=生長の家の運動に賛同して献資をする会
*2=生長の家講習会