三好雅則(みよし まさのり)  生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

三好雅則(みよし まさのり) 
生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

 春、枝いっぱいに一斉に花を咲かせる桜。まるで花たちが時期を申し合わせているかのようだ。なぜこんな芸当ができるのだろう?

 春先になると、桜の芽が日ごとに膨らんでいくが、この芽、実は前年の夏に作られている。葉桜となった桜は、開花に備えてせっせと越冬するための芽(花芽〈蕾〉と葉芽〈枝と葉を伸ばす芽〉)を作っているのだ。

 蕾があるなら、コスモスやキク(夏に蕾を作る)のように秋に開花すればよさそうなものだが、桜の開花はあくまでも翌年の春。秋に開花してしまうと種を作る前に冬を迎え、子孫を残せないからだ(*1)。

 桜にはこのための仕組みが備わっている。それが、休眠物質(*2)の産生で、この開始のタイミングには驚く。年ごとに変化する不安定な外気温は頼りにせず、安定した毎年の周期的変化を利用する。

イラストは筆者

イラストは筆者

 なんと、昼夜の長さが同じ秋分を過ぎ、夜が長くなったのを感知して葉で休眠物質を作り始め、芽にため込んで秋の開花を抑えている。しかも、春に開花させるため、桜はあるタイミングで休眠物質を分解する作業を開始する。それが冬の寒さ。 

 ソメイヨシノは、一日の最低気温が摂氏2度~7度になるとこれを感知し、分解を始める。こんな日が30日ほど続くと、休眠物質が消えて休眠が解除され、あとは、気温によって速度は異なるが、花芽が膨らみ開花する。

 桜は自然の営みの中で見事な仕組みを作り出し、子孫を残すとともに、昆虫や野鳥たちに蜜を与え、人々の目を楽しませてくれる。

参考文献
・田中修著『植物はすごい 七不思議篇』(中公新書)他

*1=秋に開花する桜は“狂い咲き”。芽を作る夏、害虫や台風による塩害などで葉を落とし、休眠物質を芽に送り込めず、秋の温かな気温に反応して開花してしまう
*2=桜の芽吹きを眠らせる働きをする植物ホルモンの一種、アブシシン酸