静岡県御殿場市の里山を中心に、広葉樹の植樹活動を行っているNPO法人「土に還る木 森づくりの会」。植樹の他にも、間伐材などを利用した木工品の制作・販売に加え、大人向けのカトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーンなどの総称)制作体験教室を開いたり、子どもたちに木工体験の場を提供するなど、間伐材を積極的に利用することで、持続可能な森づくりを進めている。

NPO法人 土に還る木 森づくりの会│静岡県御殿場市 定例作業の開始前に、全体ミーティングを行う代表理事の小松豊さん 取材・写真/原口真吾(本誌)

NPO法人 土に還る木 森づくりの会│静岡県御殿場市
定例作業の開始前に、全体ミーティングを行う代表理事の小松豊さん
取材・写真/原口真吾(本誌)

 富士山の東麓に位置する静岡県御殿場市は、清らかな水が湧き出る緑豊かな土地だが、近年は、里山の保全が行き届かず、スギやヒノキなどの針葉樹が多く占める人工林が増えてきている。森林の変化は、河川の水質に影響し、ひいては海にも影響を及ぼす可能性がある。

 このような現状に鑑み、「土に還る木 森づくりの会」では、平成10年から御殿場市内の森で、広葉樹の植樹活動を始めた。21年を経た現在は、市内だけでなく隣の裾野市にも活動の環が広がり、合計5ヘクタールほどの森で保全活動を行うようになっている。

 植樹には、市内の小中学生が学校の環境教育の一環として参加するほか、間伐材で植木鉢を制作する木工体験教室も併せて開催。手づくりした鉢にどんぐりなどの苗木を植え、各家庭に持ち帰って育ててもらい、ある程度大きくなったら鉢ごと植樹して森に還す。この活動は団体名の由来にもなっている。

左:土に還る木 森づくりの会が管理する「再生の森」で、植樹活動に励む高校生たち(写真は、土に還る木 森づくりの会提供)/右:組み立てたイスに、丁寧にヤスリを掛けていく

左:土に還る木 森づくりの会が管理する「再生の森」で、植樹活動に励む高校生たち(写真は、土に還る木 森づくりの会提供)/右:組み立てたイスに、丁寧にヤスリを掛けていく

 また、JICA(独立行政法人国際協力機構)と連携し、毎年10月、東南アジアを中心とした森林研修団の青年を対象に行われる森林保全と木工の研修では、チェーンソーの扱い方などについて指導している。

 取材に訪れた3月の定例作業では、地元企業から注文があった、通勤バスの待合室に設置するイスの制作と、社会教育施設からの依頼による、キャンプ用の薪づくりが行われた。そうした製品は間伐材ならではのぬくもりが感じられると好評で、テーブルとベンチは道の駅などの公共施設に置かれている他、個人からの注文も年々増えているという。

 一方、制作体験教室による間伐材の積極的な利用にも力を入れ、特に皿などの食器やフォーク、スプーンなどのカトラリー制作は、若い世代を中心に人気が高まっている。子どもたちにも、金槌やノコギリなどの道具を使って、フォトスタンドなどを制作することで、自然との繋がりを感じてもらっているという。

 市民参加型の森づくりで、荒れてしまった里山を再生させていきたいと、代表理事の小松豊さんは語る。

「植樹と間伐、そして間伐材利用のサイクルで、御殿場の豊かな自然が百年後も続いていくように、市民と共に力を合わせて、広葉樹の森づくりに取り組んでいきます」

問い合わせ先
http://tsutinikaeruki.org/
TEL/0550-87-2756