三好雅則(みよし まさのり)  生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

三好雅則(みよし まさのり) 
昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

 前回、サクラは夜の長さを感知して花芽形成を促すなどして(光周性)、春に開花することを紹介した。これができるのは、体内時計や葉に分布している光センサーで、外部環境の微妙な変化を感知しているからだ。

 植物の持つ光センサーには、赤色光と遠赤色光を感知する光受容体(*1)、青色光を感知する光受容体(*2)などがある。後者は朝、青色光を受けて体内時計をリセットし、遠赤色光の量が増える夕方には、前者が遠赤色光を感知して体内時計と連携して“継続する暗期”(夜の長さ)を計り、各植物固有の限界暗期(花芽形成に必要な暗期の長さ)を基準に、暗期が伸びたか短縮したかを知って、花芽形成のタイミングを制御しているのだ。

 具体的には、長日植物(日が伸びると開花する植物)は、限界暗期より夜が短くなると花芽形成・開花のスイッチを入れ、短日植物(夜が長くなると開花する植物)は、限界暗期より夜が長くなると花芽形成を促す。短日植物のイネの限界暗期は10時間30分位で、植物は15分の違いを見極めているという。

イラストは筆者

イラストは筆者

 こうした性質を利用して、短日植物のキクに、夜、赤色光を数分あてる(暗期の継続を遮断)ことで開花を抑え、真冬に開花させることができる。興味深いのは、赤色光照射の後に遠赤色光をあてると効果が解消されること。植物は、光の僅かな波長の違い(*3)を識別しているのである。物言わぬ植物だが、その背後で活発な活動を展開し、生態系を支えてくれている(*4)。

 野菜を口にしたり、森や畑を目にしたら、ぜひ植物の営みに心を致し、感謝したいものだ。

参考文献
・ダニエル・チャモヴィッツ著『植物はそこまで知っている』(河出書房新社)
・嶋田幸久・萱原正嗣著『植物の体の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)他

*1=フィトクロム。赤色光と遠赤色光を受容する光センサー
*2=クリプトクロム。青色光を受容する光センサー
*3=赤色光(波長660ナノメートル)、遠赤色光(同730ナノメートル)の僅かな違い(70ナノメートル=10万分の7ミリ)を識別
*4=地球上の生物総量の99.7%が植物