三好雅則(みよし まさのり)  昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

三好雅則(みよし まさのり) 
昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

 “森の中のオフィス”(*1)では、エゾハルゼミが5月下旬から鳴き始め、7月初めまで続く。が、その最中でも、気温が19度を下回ると声が途絶える。ほかのセミも同様で、ニイニイゼミやアブラゼミは25度で鳴き始め、逆にヒグラシは25度以下にならないと鳴かない。このように活動が気温に影響を受けるのは、セミが変温動物(*2)だからだ。

 一方、恒(定)温動物(*3)のほ乳類や鳥類は、気温の影響をあまり受けず、必要に応じて機敏に活動できるから行動の自由度が高く、前者より進化した生き物と言うことができる。が、エネルギー効率は、前者が後者を遙かに凌駕している。

イラストは筆者

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 同じ体重で比較すると、一日の平均エネルギー消費量は、前者が後者の僅か17分の1。これは安静時、後者が体温維持のためにエネルギーを消費し続けるのに対し、前者はほとんど使わないからだ。

 また、生命維持に必要な食物の摂取量も、前者は後者のたった15分の1でいい。しかも、食物から吸収したエネルギー(排泄分除く)の利用配分は、後者が体温維持に97.5%使い(呼吸で燃えて消える)、体の成長(繁殖含)に2.5%しか使えないのに対し、前者は安静時の“省エネ効果”で体温維持に70%、残りの30%(前者の10倍強)を成長に使うことができる。

 一見劣ってみえても、生き物は38億年かけて“かけがえのない個性”をそれぞれ獲得し、賢く生きている。絶滅生物種(*4)が激増する今、地球の生き物の多様な個性や生態の不思議に目を向け、その存在を慈しむ感性が求められている。

参考文献
本川達雄著『ゾウの時間 ネズミの時間』(中公新書)、『「長生き」が地球を滅ぼす』(文芸社文庫)
レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』(新潮社)他

*1=山梨県の八ヶ岳南麓(標高1300m)にある生長の家国際本部
*2=外気温の変化で物質代謝が影響を受けて体温が変わる、無脊椎動物と脊椎動物(魚類、両生類、爬虫類)の総称
*3=外気温の影響を受けず一定の体温を保つ動物
*4=年間4万種以上