inoti108_eco_1

畑山農場│山梨県北杜市
畑山農場代表の畑山貴宏さん
取材/原口真吾(本誌) 写真/堀 隆弘

 山梨県北杜市で農業を始めて17年という畑山農場では、動物性の肥料を使用せず、無農薬・無化学肥料の野菜作りを行っている。伝統野菜の増富きゅうりなどの一部の品種は、自家採種で種を継いだもので、風土に適した野菜を育て、家庭菜園の教室では、野菜作りとともに、自然との繋がりが感じられる自家採種の魅力も伝えている。

 清浄な湧水と、豊かな日照に恵まれた北杜市の八ヶ岳南麓で野菜作りをしている畑山農場は、約2.5ヘクタールの農地で、トマト、カブ、コマツナなどおよそ40種類、100品種の野菜を無農薬・無化学肥料で育てている。有機肥料も、鶏糞などの動物性のものは避け、落葉堆肥と、米糠に竹炭を混ぜて発酵させた、植物性のものを使用している。

 野菜の自然な生長に合わせた栽培法のため、化学肥料を使用した場合に比べると、およそ2倍の時間が必要となるが、大地にしっかりと根付いて育った、丈夫で健康な野菜には、本来の野菜が持つ滋味深い味わいがある。

 同農園代表の畑山貴宏さんは、次のように語る。

上:自家採種した種はよく乾燥させて、瓶に保存する/中:旬の新鮮な野菜を丁寧に包んで出荷する/下:米糠に竹炭を混ぜて発酵させた植物性の肥料

上:自家採種した種はよく乾燥させて、瓶に保存する/中:旬の新鮮な野菜を丁寧に包んで出荷する/下:米糠に竹炭を混ぜて発酵させた植物性の肥料

「野菜が本来持っている生命力を生かしてあげれば、それだけでおいしい野菜が育ちます。有機農業の畑には、さまざまな微生物が共生しているので、年々、土の状態が良くなってきていると実感しています」

 同農場のもう一つの特徴は、一部の品種を自家採種していること。野菜から取った種を乾燥させて瓶に保存し、翌年、この種から野菜を育てる。こうすることで、八ヶ岳の風土に適したこの地域ならではの野菜に、野菜の性質が変化していくという。 

 その代表例が、山梨の伝統野菜、増富きゅうりや甲州もろこしで、昔から途切れることなく自家採種を続けてきたことで出来上がったものだ。毎年冬に開催される家庭菜園の教室では、野菜作りに加えて、こうした自家採種の方法も教えている。

 収穫した野菜は、東京の青果店などに卸している他、希望者に直販している。青果店には、畑山農場が参加している八ヶ岳南麓の有機農業者グループ「やまそだち」のパンフレットを置かせてもらい、消費者に生産者の声を伝えるとともに、無農薬・無化学肥料の野菜の素晴らしさを発信している。

 畑山さんはこう語る。

「野菜作り、自家採種を通して、自分は自然の中で生きているんだということを強く感じます。これからも多くの人に、野菜を作ることや、自家採種の魅力を伝えていきたいと思っています」

問い合わせ先
TEL/0551-45-8336 MAIL/hatayamaorganicfarm@gmail.com