上田市民エネルギー理事長の藤川まゆみさん NPO法人「上田市民エネルギー」│長野県上田市 取材/原口真吾(本誌) 写真/野澤 廣

上田市民エネルギー理事長の藤川まゆみさん
NPO法人「上田市民エネルギー」│長野県上田市
取材/原口真吾(本誌) 写真/野澤 廣

 NPO法人「上田市民エネルギー」では、屋根の提供者と太陽光発電パネル設置費用の出資者が売電収入をシェアする「相乗(あいの)りくん」システムで、自然エネルギーの普及を進めている。一般家屋の屋根のみならず、公共施設の屋上のほか、大学の敷地内、水田などにも太陽光パネルを設置するなど、活動の輪が広がっている。誰でも参加できる自然エネルギーとして、全国どこからでもいつでも出資者(パネルオーナー)を募集しているという。

 全国有数の日射量に恵まれた長野県上田市は、もともと養蚕業が盛んな地域だった。そのため、横に長い南向きの旧家が数多く残っている。「上田市民エネルギー」は、そうした地域の特性に着目し、家屋の屋根や土地を活用した太陽光発電の普及に努めている。

 そのシステムは、全国からの賛同者の出資で太陽光パネルを個人宅や公共施設に設置し、売電収入をシェアするという独自のもので、「相乗りくん」と名付けられている。

上:中学校の屋上に設置された相乗りくん発電所/下:水田の上に太陽光パネルを設置した「相乗りくん とっこSUN発電所」

上:中学校の屋上に設置された相乗りくん発電所/下:水田の上に太陽光パネルを設置した「相乗りくん とっこSUN発電所」

「相乗りくん」への参加者は大きく2つに分かれる。1つは、太陽光パネルを設置する屋根を提供する「屋根オーナー」。設置費用の一部を負担、または、初期費用なしでもパネルを設置でき、契約終了時には、設置した太陽光発電が屋根オーナーのものとなる。

 もう1つは、太陽光パネルの設置費用を出資する「パネルオーナー」。全国どこからでも1口10万円から参加でき、出資額に応じて売電収入が支払われる。現在、パネルオーナーは200人を超え、その約半数は県外からの出資者という。 

 こうした「相乗りくん」では、一般住宅や企業、商業ビルの屋根など、40カ所以上に約620kWの太陽光発電パネルが設置されている。その発電量は一般住宅230軒分の電気使用量に相当する。

 平成27年には、信州大学と共同で、大学の敷地内に上田市民エネルギーの太陽光パネルを設置して、パネルの傾斜による雪の落ち方などの研究を始めた。また、上田市が屋根貸しを公募した中学校と保育園を落札し、屋根に太陽光パネルを設けている。

 そのほか、新しい試みとして行っているのが、「相乗りくん とっこSUN発電所」。これは、水田の上に太陽光パネルを設置するもので、各パネルが電子制御で太陽の向きに合わせて傾きを変えているため、稲にも日光が届き、発育への影響を抑えながら発電ができる。

 発電したエネルギーをいかに地域で使うかが今後の課題だと、理事長の藤川まゆみさんは語る。

「これから自治体や大学、企業などとも繋がり、みんなの力を合わせて、自然エネルギーによる自立した社会をつくりたいと思います」

 

問い合わせ先
http://eneshift.org TEL/0268-55-9668 080-5146-9937