NPO法人「自然とオオムラサキに親しむ会」│山梨県北杜市 取材/原口真吾 写真/近藤陽介 現場監督を務める三澤安雄さん

NPO法人「自然とオオムラサキに親しむ会」│山梨県北杜市
取材/原口真吾 写真/近藤陽介
現場監督を務める三澤安雄さん

 豊かな森林資源に恵まれた山梨県北杜(ほくと)市。だが近年、地主の高齢化に伴って里山(*)が荒れ、国蝶であるオオムラサキの個体数が減少するという状況を呈している。そんな中、「自然とオオムラサキに親しむ会」は、オオムラサキのいる郷土を未来に繋(つな)げるため、10年以上にわたって里山の保全活動を続けてきた。平成23年からは「北杜市オオムラサキセンター」の管理者に、同会が指定され、オオムラサキの保護に努めるとともに、来館者に里山の大切さを伝えている。

「北杜市オオムラサキセンター」を拠点に、「自然とオオムラサキに親しむ会」が発足したのは平成8年。以来、里山の維持、管理、国蝶オオムラサキの保護、個体数の増加を目的に活動してきた。

 平成9年には、NPO法人として登録され、平成23年からは、「北杜市オオムラサキセンター」の管理者として、オオムラサキの生態観察などを通し、来館者に自然環境の大切さ、里山の魅力を伝えている。

 里山の保全活動は、一年のサイクルで、春の下草刈り、初夏の植樹、夏から秋の草刈り、秋から冬には、間伐を行っている。近年は、松食い虫によるアカマツの立ち枯れが目立ち、多くは伐採しなければならない状態で、間伐(かんばつ)材は同センター館内の暖房に使用されたり、販売されたりしている。

上:羽化したばかりのオオムラサキ。6月下旬~7月下旬にかけて見られる/中:蜜を吸うオオムラサキ。館内の ひばりうむ(生態観察施設)で/下:「自然とオオムラサキに親しむ会」が運営する北杜市オオムラサキセンター

上:羽化したばかりのオオムラサキ。6月下旬~7月下旬にかけて見られる/中:蜜を吸うオオムラサキ。館内の ひばりうむ(生態観察施設)で/下:「自然とオオムラサキに親しむ会」が運営する北杜市オオムラサキセンター

 取材に訪れた7月4日には、13人の会員が集まり、コナラとクヌギの植樹を行った。他の機会には、エノキなども植樹され、その数は合わせて年間1万本に及ぶ。コナラとクヌギの樹液は、オオムラサキの成虫の餌(えさ)となり、エノキの葉は幼虫の餌になるという。

 一つの里山は3年かけて管理し、その後、次の里山の管理へと移っていく。去年までの3年間は、約16ヘクタールの里山を管理していたが、今年は、さらに広い約30ヘクタールの里山を地主から借り、管理にあたっている。

 こうした取り組みに、地元の企業がスポンサーとして協賛し、社員が植樹ボランティアに訪れるなど、活動の輪が広がっている。

 現場監督を務める三澤安雄さんは、有視界調査によるオオムラサキの個体数は増加傾向にあり、素直に嬉しいと語る一方で、今後の課題も口にする。

「私たちが保全した後の里山の管理を誰が引き継いでいくのか、その目処(めど)が立っていないという課題はありますが、これからもオオムラサキの個体数が増加することを願い、後世にきれいな里山を残す活動を続けていきたいと思います」

*=原生的な自然と都市の間に位置する、人の手の入った森や林のこと

お問い合わせ先
http://oomurasaki.net/
TEL:0551-32-6648