長坂子ども食堂(山梨県北杜市) 取材/宮原 毅、原口真吾(共に本誌) 撮影/堀 隆弘 大きな窓から太陽の光が差し込み、明るく開放的な長坂集会所。心がこもった手作りのごはんを、みんなでいただく

長坂子ども食堂(山梨県北杜市)
取材/宮原 毅、原口真吾(共に本誌) 撮影/堀 隆弘
大きな窓から太陽の光が差し込み、明るく開放的な長坂集会所。心がこもった手作りのごはんを、みんなでいただく

 生長の家が山梨県北杜市で行っている「長坂子ども食堂」は、毎月1回、第3日曜日に開かれ、子どもたちに昼ごはんを提供している。和気あいあいとした雰囲気の中、ボランティアスタッフが運営にあたり、子どもたちの笑顔があふれている。

[この日の献立] ・4色deときめきDON 人参、ピーマン、豆腐そぼろ、卵そぼろの4色どんぶり。“ときめき”はハート型にくり抜いた人参で表現。 ・水菜としめじのチップスサラダ(自家製ゴマドレ) ・味噌汁 ・雨はるんるんデザート

[この日の献立]
・4色deときめきDON
人参、ピーマン、豆腐そぼろ、卵そぼろの4色どんぶり。“ときめき”はハート型にくり抜いた人参で表現。
・水菜としめじのチップスサラダ(自家製ゴマドレ)
・味噌汁
・雨はるんるんデザート

 取材に訪れたのは6月中旬の日曜日。午前10時頃から子どもたちが集まり始め、スタッフが「おはよう!」と明るく出迎える。子どもたちは開口一番「今日は何するの?」と興味津々(しんしん)の様子。昼食ができるまでの午前中はクラフトや植樹などの自然体験の時間で、この日はペットボトルで風車とペン立てを作るエコクラフトが行われた。

 事前に男性スタッフがカッターで形を作ったものの中から、それぞれが気に入ったペットボトルを手に取り、持ち前の想像力を発揮させてビーズやリボンなどを飾り付けていく。熱中する子どもたちに、女性スタッフが「上手だね!」「きれいにできたね!」と声をかけると、その一言が自信になるようで、子どもたちは目を輝かせ、さらに意欲的に作品を仕上げていった。オリジナルの風車が風を受けて回ると、子どもたちから歓声が上がった。

 スタッフの髙橋覚(さとし)さんは、「子どもたちが名前を覚えて呼んでくれると、とても嬉しいですね。どうしたら子どもたちがもっと喜んでくれるか、毎回知恵を絞っています」と目を細めた。

 一方、集会所内の厨房では、10時過ぎから調理が始まった。厨房スタッフは10人。生長の家の職員寮に住むお母さんたちで、全員ボランティアだ。この日は谷口純子・生長の家白鳩会(*)総裁も厨房スタッフとして参加している。

左上/午前中のクラフトの時間では、楽しい時間を過ごした 下/子どもたちがクラフトを楽しむ間、厨房では調理スタッフがおいしいごはんを用意。右から3人目は、谷口純子・生長の家白鳩会総裁

上/午前中のクラフトの時間では、楽しい時間を過ごした 下/子どもたちがクラフトを楽しむ間、厨房では調理スタッフがおいしいごはんを用意。右から3人目は、谷口純子・生長の家白鳩会総裁

 この日の献立は「4色deときめきDON(4色どんぶり)」「水菜としめじのチップスサラダ(自家製ゴマドレ)」「じゃがいもとアスパラガスの味噌汁」「雨はるんるんデザート(かえるをかたどった白玉)」の4品。スタッフの分も含めて、50食を用意する。

 前日の午後に仕込みはあらかた済ませてあり、水菜を切ったり、サラダに入れる塩昆布を刻んだりすることから始まった。その他にも、前日に作ったどんぶりの具を温め直したり、炒り卵を根気よく作ったり、カエルをかたどった白玉を茹でたりと、それぞれの持ち場でテキパキと作業をする。

 昼食の時間になると、子どもたちは急いで手を洗い、食事の席に着いていく。無農薬、有機栽培の季節の食材をふんだんに使った料理はカラフルで、目にも楽しい。肉を使わないノーミートで、豆、ゴマ、わかめ(海藻)、野菜、魚、シイタケ、イモ類をベースにした、いわゆる「まごわやさしい」の献立は、栄養バランスにも優れている。子どもたちはスタッフの愛情がこもった料理を、まるで好き嫌いなどないかのようにぱくぱくと平らげていく。

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 食後のデザートは、毎回子どもたちが一手間かける“参加型”。今回は雨に模した水色の寒天をところ天のように突き、木の桶に満たしたシロップに浸かるかえる型の白玉をすくって自分で盛りつける。寒天がにゅるっと出てくると、「わー!」と声をあげた。子どもに参加してもらうのは、調理リーダーの山中生恵さんのアイディアだ。

「子どもの、ときめいているような表情を見るのが嬉しいです。遊び心を取り入れたデザートメニューをいつも考えています」

 今年で3年目を迎え、生長の家の職員の子どもだけでなく、一般の参加者も徐々に増えてきた。この日は保護者と合わせて4名が参加し、子どもと一緒にやって来た母親は、今回が2回目の参加。子どもの友達から誘われて長坂子ども食堂を知ったという。

「子どもの目線に合わせたアイディアがとてもいいと思いました。前回参加した時、子どもは豆腐そぼろが特に気に入ったみたいです。入口にレシピが置かれていたので、持ち帰って家でも作ってみたんですよ」

 食後はアニメのDVDを鑑賞したり、追いかけっこをしたりと、それぞれが自由に過ごした後、1時半頃、解散となった。

 どんな人でも立ち寄りやすい、楽しい雰囲気づくりを心がけている長坂子ども食堂。今では近所の方が野菜などの食材を差し入れてくれたり、地元のパン屋さんがパンの無料提供を申し出てくれるなど、子どもの貧困問題の解決に向けた取り組みが、地域の住民とともに広がっている。

* 生長の家の女性の組織

子どもの心の寂しさを埋め、地域社会に貢献したい
戸島幹雄さん(生長の家国際本部総務部長)

 経済大国で食品廃棄率が世界一の日本において、子どもの6人に1人が「貧困」の状態にあると言われ、育ち盛りの子どもが成長に必要な栄養が満足にとれない「食の貧困」という事実があります。また、子どもの偏食や「孤食」も問題となっています。

 このような状況を顧(かえり)みて、生長の家でも子どもの貧困問題に関してできることからはじめようと、山梨県北杜市長坂町にある職員寮の集会所に子ども食堂を設置して、月に1回、子どもたちに食事を無料提供することを考えました。

 子どもたちに季節の食材で手作りされた食事を味わってもらい、大勢で食事をすることで、心の寂しさを埋め、地域社会に貢献したいと考えています。さらに、自然の恵みに感謝することや、お肉を食べないノーミートの意義も伝わればと思っています。

会場の長坂集会所

会場の長坂集会所

長坂子ども食堂

 平成27年1月にスタート。生長の家が運営し、会場は山梨県北杜市長坂町の生長の家職員寮の敷地内にある「長坂集会所」。月に1回、第3日曜日に開催され、昼食が提供されている。

 食事メニューは肉類を使わないノーミート料理で、無農薬、有機栽培の季節の野菜を中心に献立を考案している。当初は職員寮に住む子どもたちが中心だったが、3年目を迎えた現在では、一般の参加者も徐々に増えてきた。また、近隣の方がタケノコやスイカを差し入れてくれたり、図書館に置かれていたパンフレットを見た地元のベーカリーがパンの無料提供を申し出てくれるなど、着実に地域に根ざし、広がりを見せている。

  • 住所:山梨県北杜市長坂町長坂上条3068−3 生長の家長坂集会所
  • 電話:0551−45−7777(生長の家国際本部 “森の中のオフィス”)
  • 参加費:無料
  • ホームページ:https://www.jp.seicho-no-ie.org/nagasaka-kodomo/