田﨑千津子さん 65歳・熊本市北区 庭の植物に囲まれて。「花や木にも捨てるところはありません。ひと手間かけて、いのちをつなぐお手伝いをするのです」

田﨑千津子さん 65歳・熊本市北区
取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣
庭の植物に囲まれて。「花や木にも捨てるところはありません。ひと手間かけて、いのちをつなぐお手伝いをするのです」

 田﨑千草。田﨑千津子さんの草月流華道家師範の雅号だ。華道家らしく花が大好き。だから挿し木をして、できるだけ花のいのちを永らえさせている。「人も花も元気に本来の寿命をまっとうする、それもエコでは」と笑う。

 田﨑さんは元自衛隊看護師で、職場結婚で結ばれたパイロットの夫・眞一郎さんを訓練中の事故で亡くした時は、まだ20代の若さだった。

「娘を抱え、悲しみの底にいた時、自衛隊中央病院高等看護学院(当時)時代のルームメートから生長の家の教えを伝えられ、魂は永遠に生き通しと知り救われました」

 いつしかお花を習いたいと思うようになった頃、谷口雅宣・生長の家総裁の『“森の中”へ行く──人と自然の調和のために生長の家が考えたこと』(生長の家刊)を読んだ。そこには自然と人との調和のすばらしさが説かれていた。そんな折に知り合ったのが、元白鳩会(*)熊本教区連合会長で華道師範の山下由紀子さんだ。

取材のこの日は、ヒペリカムを挿し木にした。挿し木にする時は、水分の蒸散を防ぐために葉の一部をカットする

取材のこの日は、ヒペリカムを挿し木にした。挿し木にする時は、水分の蒸散を防ぐために葉の一部をカットする

「山下さんには、お花だけでなく、人生の師としてもお慕(した)いしています」

 田﨑さんは山下さんのもとにお花を習いに行くと、「捨てるお花があればください」「ひと枝、持って帰っていいですか」とお願いする。家では花瓶に飾った後、葉を数枚だけつけた枝を10センチぐらいに切って挿し木するのだという。芽を出すのは10本のうち1、2本。それを地植えしたり、プランターに植えたりして育てるのだ。

 こうして育てた花はバラ、アジサイ、椿、ホタルブクロなど。地植えして3年目を迎えるのは、綿飴のようなピンクの花をつけるスモークツリー。晩白柚(ばんぺいゆ)は食べた後に残った種を5年前に地植えし、背丈を超えるほどに生長した。

「でも、接(つ)ぎ木ではなく種から育てたので、本当に晩白柚が生(な)るのか、別の柑橘(かんきつ)類なのか分からない。それも楽しみなんです」

 家庭菜園でもネギやニラなど、株分けして植えた野菜がほとんどだ。「とにかく花も木も野菜も、捨てるところはありません」

 田﨑さんの家は、花や木のとりどりの色に囲まれ、にぎやかな風情である。まるで花や木が「いのちをつないでくれてありがとう」と言っているように。

* 生長の家の女性の組織