小林拓美(こばやし・たくみ)さん 京都市・高校3年 取材●中村 聖(本誌)撮影●永谷正樹

小林拓美(こばやし・たくみ)さん
京都市・高校3年
取材●中村 聖(本誌)撮影●永谷正樹

 京都市内の中高一貫の私立高校に通う小林拓美さんは、平成28年8月末から今年4月初めまでの約7カ月間、授業のカリキュラムの一環として、イギリスの高等教育機関であるカレッジに留学した。

 滞在したのはイングランド南部のヘイスティングスで、歴史ある街の雰囲気に強く惹(ひ)き付けられた。留学先のカレッジでは、義務教育を終了した幅広い年代の人々が、就職や大学進学を目指して学んでおり、その自由な雰囲気が強く印象に残ったという。

「イギリスの生徒は、ニュースを必ず見ていますし、政治などに対しても意見をはっきりと言います。それぞれが自分の考えをしっかりと持っているということに、大きな刺激を受けました」

 ホームステイ先の家族にも温かく迎えられ、楽しい日々を過ごしたが、アジア人ということで、校内で学生から差別的な言葉をかけられたりしたこともあった。

上:留学先での思い出にあふれた土産の品々/下:母親の誕生日ために、拓美さんが手作りしたフォトアルバム。拓美さんの優しい思いが伝わってくる

上:留学先での思い出にあふれた土産の品々/下:母親の誕生日ために、拓美さんが手作りしたフォトアルバム。拓美さんの優しい思いが伝わってくる

「そういう時は、生長の家で教えられているように、国や人種は違っていても、人間は皆同じ神の子なんだから、相手の悪い面は観ず、良い面を観るようにして、気持ちを前向きにして頑張りました」

 小林さんは、小さい時に祖母の和子さんから生長の家の教えを伝えられ、小学生の頃から青少年練成会(*1)にも参加していた。そこで学んだ「我が魂の底の底なる神よ、無限の力よ湧(わ)き出(い)でよ」という言葉を唱えることで自分を鼓舞(こぶ)し、色々な事を乗り越えてきた。

「中学3年生の時、当時入っていたテニス部の部長になれると思っていたのですが、顧問の先生に、『部長は勉強もできないとだめだから、今の君じゃ無理だ』と言われ、とても悔(くや)しい思いをしました。その悔しさから、『自分は神の子で無限力があるのだから、やれば必ず出来る』と自分を奮(ふる)い立たせ、必死に勉強しました。その結果、テストでは5教科全てで5位以内に入ることができ、テニス部の部長になれました」

 中学3年生の秋には、学校が主宰する中学生の英語スピーチコンテストに出場し、準優勝という優秀な結果を収めた。それによって、現在通う高校の国際コースで、授業料が免除される特待生にも選ばれた。高校生活のなかでも、何かに取り組む時は、小さい頃から行っている神想観(*2)で集中力を高めている。

「神想観をしていると、気持ちが落ち着いてくるので、勉強やテスト前には必ずしています。イギリス留学中もしていました」

 今回の留学経験から、「国際的に活躍できる仕事をしたい」という自分の夢に対する気持ちが新たになったという。

「将来は英語を使ったビジネスをしたいと考えています。その夢を実現させるために、今やるべきことにしっかりと取り組んでいきたいです」

 現在は、早稲田大学を目指して受験勉強に励んでいる。小さい頃は、どちらかというと内向的で、一人でよく絵を描いていたという小林さんだが、いま、将来の夢を語る眩(まぶ)しい眼差(まなざ)しの根底には、世界の諸問題に対する強い思いがある。hidokei90_make_5

「留学を通して多様な人種の人達に出会い、様々な考え方に触れることで、もっと自分の視野を拡(ひろ)げていきたいと思うようになりました。今の世界は『自分が、自分が』という意識が強くて、排他的な姿勢が多くの問題を生んでいます。留学中も、テロを警戒して武装した警官などをよく見かけました。宗教や移民などの問題で、お互いを傷つけ合うのではなく、お互いを同じ神の子としてリスペクト(尊重)し合う姿勢が大事だと思います。自分の仕事を通して、そうしたお互いを尊重できるような世界の実現に向けて、少しでも貢献できるようにしていきたいです」

*1 合宿して教えを学び、実践するつどい
*2 生長の家独得の座禅的瞑想法