左が渡邉重孝さん(生長の家国際本部環境共生部部長、生長の家参議)、右が山岡睦治さん(生長の家国際本部広報・クロスメディア部部長、生長の家参議) 聞き手は、三好さん(生長の家国際本部広報・クロスメディア部広報課) 場所:生長の家原宿“いのちの樹林”  写真/堀 隆弘

左が渡邉重孝さん(生長の家国際本部環境共生部部長、生長の家参議)、右が山岡睦治さん(生長の家国際本部広報・クロスメディア部部長、生長の家参議)
聞き手は、三好さん(生長の家国際本部広報・クロスメディア部広報課)
場所:生長の家原宿“いのちの樹林”  写真/堀 隆弘

 2014年12月と今年(2015)2月、東京・赤坂の末一稲荷神社跡、原宿の生長の家国際本部跡に完成した生長の家“いのちの樹林”──。ビルが建ち並ぶ都会に、従来の公園や庭園とは異なる、土地本来の植生を生かし、生物多様性を重視して造られた“いのちの樹林”とは、どのようなものなのか。そしてその意義は? 造営に携わった国際本部の渡邉重孝・環境共生部部長と山岡睦治・広報・クロスメディア部部長に聞いた。

公園でも庭園でもない
“いのちの樹林”

――原宿“いのちの樹林”が、公園や庭園ではなく、「いのちの樹林」となったのは、なぜでしょうか。

渡邉 “いのちの樹林”という言葉は、旧約聖書の『創世記』に出てくるエデンの園の生命の木にちなみ、宗教的な意味を込めたものです。仏教でも、お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開かれたことから、木が大事なものとして扱われていることもあって、“いのちの樹林”という表現になりました。生長の家創始者・谷口雅春師は、旧約聖書の『創世記』第一章を神による実相世界の創造の話とし、第二章を人間による現象世界の創造と展開であるという解釈をされていますが、 “いのちの樹林”は、この神の創造されたすべてのものは「はなはだ良い」という、第一章のすべてが大調和した実相世界の創造の考え方に基づいた、宗教施設として造営されたものです。

――原宿という都会の真ん中を、オフィスではなく、緑地にしたというのは、すごいことですね。

山岡 原宿では、今もビルを作っては壊すスクラップ・アンド・ビルドを繰り返していますから、国際本部の跡地を売却したなら、ビルが建つのは目に見えています。生長の家が“森の中のオフィス”(山梨県北杜市)に移転したのは、自然と人間が調和したモデルをつくろうということですから、その跡地も、当然同じコンセプトで考えなければならないということで、“いのちの樹林”という緑地が実現したということなんですね。

渡邉 最近、生長の家の信徒の方が描いたとおぼしき古い絵が出てきたんです。それは、旧生長の家本部会館が建設された昭和29年頃のもので、木々がたくさん繁る中に、「光明の塔」が聳え立つという、今の“いのちの樹林”そっくりの光景なんです。コンクリートだらけの今の原宿と違い、当時は、自然豊かな中に本部会館があったんだということが分かりました。

上の写真:旧本部会館の正面玄関内側に設置された七重塔。塔の七つの屋根は、以前、手前に設置されていた「白鳩の噴水」の水鉢の御影石から切り出されたもの 下の写真:「光明の塔」の1階の展示スペース。自然をテーマにした絵画や彫刻、写真などの展示を行う。2階、3階にも展示スペースが設けられている

上の写真:旧本部会館の正面玄関内側に設置された七重塔。塔の七つの屋根は、以前、手前に設置されていた「白鳩の噴水」の水鉢の御影石から切り出されたもの
下の写真:「光明の塔」の1階の展示スペース。自然をテーマにした絵画や彫刻、写真などの展示を行う。2階、3階にも展示スペースが設けられている

既存樹を生かし、土地本来の
植生に基づいた樹木と花を

――入口から入るとすぐ、なだらかな上り坂になっていますが、これは元々の地形なのでしょうか?
 
渡邉 敷地の形状をどうするかというのは、今回の一番の要で、一つは自然と人間、もう一つは「光明の塔」と、どう調和させるかということが大きな課題でした。それで、入口の門のセンターに「光明の塔」がくるようにし、入ってすぐに全体が見えないように少し起伏をつけて、「どんな風景が見えるんだろう?」と、期待を持って見ていただけるようにしたものです。

――たくさんの樹木、花などが植えられていますが、何本ぐらいあるんですか。

渡邉 補植した高中木は1800本、低木が3700本、地覆植物が4万8000ポットです。

――それらは、どのような考え方で選んだのでしょうか。

渡邉 基本的に新しく植えるものについては、工事にあたった清水建設に、元々この地域では、どのような植物が自生していたのかという、土地本来の植生を調べてもらい、その中から代表的なものをチョイスしました。これは、赤坂の“いのちの樹林”も同じです。

――樹木や花は、どこから取り寄せたものですか?

渡邉 運ぶ際のC‌O2をなるべく減らしたいというので、栃木、埼玉、茨城など近くからにしました。

――樹木や花を選ぶにあたって、何か苦労はありましたか。

渡邉 普通、樹木を購入する時は、範囲を決めてざっとまとめて買うんですが、今回は、川上忠志郎氏(環境共生部課長)が専門家と一緒に、配置の図面を頭におきながら一本ずつ選びました。植える時も一本ずつ、一度植えたものをまた移動したりしながら10センチ単位で微調整しました。

――そんな苦労があったのですね。“いのちの樹林”の特徴として、その土地本来の植生を生かすということのほかに、生物多様性を尊重するということがありますが、どんなところに気をつけたのでしょうか。

渡邉 サクラとかモミジだけの単一樹種だと、生物多様性が失われますし、生物多様性がないと樹木のバランスもとれないんですね。そこで、土にこだわって良質の土を入れ、炭も入れてもらい、その上で、5500本あまりの樹木、花などを植えて、農薬、化学肥料を使わず、生物多様性に配慮しました。すると、明治神宮に近いために、ヤマガラなどの鳥がたくさん飛んできてくれるようになったんです。

クリックすると大きい図がご覧頂けます。

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――うれしいことですね。

瞑想も行える
二つの洋風のあずま屋

――“いのちの樹林”には、「浄心庵」と「常楽庵」という二つの庵がありますが、これはどのようなものですか。

山岡 この二つは、この樹林の中で自然との一体感を感じたり、瞑想をするための空間として作りました。また、現在、生長の家が進めている「技能や芸術的感覚を生かした誌友会」の会場として、絵手紙や絵封筒、俳句や短歌などをテーマにして開催できるようにしています。

――名前の由来を教えてください。

山岡 「浄心庵」「常楽庵」とも、旧本部会館にあった和室の名前からとったもので、“浄心”とは心を浄める、“常楽”とは、自分の住む本当の世界は常に楽しい浄土であるという意味になります。

――今後、この庵には、何かを展示したりするのですか。

山岡 各宗教の聖典や教典から自然を尊重する教えを抜粋して掲げ、どの宗教も自然を尊重することに変わりはないことを、知っていただきたいと考えています。

四季の移ろいが
感じられる場所

――ここには、谷やなだらかな斜面がありますが、これにはどんな意図があるのでしょうか。

渡邉 設計した人が、「自然が素晴らしいということを感じてもらうにはどうしたらいいか」ということを考えてくれた結果、木の根元から上までがよく見えた方がいいということになって、地面を掘り込んで谷にし、そこから見上げるように斜面にしたんです。

山岡 確かに、木の根元というものは普段は見ないというか、見えないことが多いですよね。その点、ここでは、自分の目線の辺りに木の根元がありますから、自然とそこに目がいきますね。

――そうすると、普通気づかない小さな植物なども、ちょうど見える位置にきますね。とても考えて作られていることがよく分かります。

渡邉 これが秋になり、木々が紅葉して夕日があたると、都会の真ん中とは思えない、うっとりするような光景が広がるんですよ。時間の流れが違っていて、ずっと見ていたくなります。

山岡 旧本部会館の時には、四季の移ろいといっても、サクラが咲くとか、イチョウが黄葉するといった時しか意識をしなかったんですが、四季折々の自然の彩りの変化が、日々感じられる場所になりましたね。(つづきは紙版で、ご覧下さい)

左の写真:赤坂“いのちの樹林”を正面から見たもの。 右の写真:赤坂“いのちの樹林”の「円相庵」。その前には、武蔵野の森を代表するカタクリ、ヤブコウジなどが植えられている

左の写真:赤坂“いのちの樹林”を正面から見たもの。
右の写真:赤坂“いのちの樹林”の「円相庵」。その前には、武蔵野の森を代表するカタクリ、ヤブコウジなどが植えられている

生長の家 原宿“いのちの樹林”の所在地:東京都渋谷区神宮前1-23-30(最寄りの駅はJR原宿駅より徒歩5分)開放時間は午前10時〜16時30分(入館は16時まで)木・祝日は休館。敷地面積:4,349.67平方メートル

生長の家 赤坂“いのちの樹林”の所在地:東京都港区赤坂9-203(最寄りの駅は地下鉄千代田線乃木坂駅より徒歩5分)開放時間は午前7時〜16時30分(入館は16時まで)木・祝日は休館。敷地面積:約4,095平方メートル