丹原善弘(たんばら・よしひろ)さん│71歳│奈良県葛城市 「1日で集中して絵が描けるのは約2時間。この時間に全力を注ぎます」。葛城市の自宅アトリエで。 取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

丹原善弘(たんばら・よしひろ)さん│71歳│奈良県葛城市
「1日で集中して絵が描けるのは約2時間。この時間に全力を注ぎます」。葛城市の自宅アトリエで。
取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

 洋画家、丹原善弘さんの自宅兼アトリエを訪ねると、自作品の数々が至(いた)る処(ところ)に置かれていた。いずれも風景や仏像などの具象画で、写真と見紛(みまが)うほど緻密(ちみつ)だが、間近で見ると、驚くほどの厚塗りで、独特の重厚さを醸(かも)し出している。

「渓谷(けいこく)」(100号)と題した絵も、その一つ。4年前、所属する美術団体「研水会」の展覧会で、「読売新聞大阪本社賞」に輝いた作品だ。

所属する美術団体の展覧会で賞に輝いた「渓谷」

所属する美術団体の展覧会で賞に輝いた「渓谷」

「近所の山中の風景を描いていますが、実際の風景とは違います。岩壁(がんぺき)、渓流(けいりゅう)と奥の景色は、別の場所の景色を構成し直したもので、心象(しんしょう)風景でもあるんです。自然のものは岩石でもいのちを宿す──そんないのちを表現したいという思いで制作しています」

 丹原さんは、子供の頃から絵が好きだったが、高校生の時はバスケットボール部で活躍するなど、美術とは無縁の青年時代を過ごした。それが一転したのは、高校3年の時に行われた、東京オリンピックのポスターを見たことからだった。

 その斬新(ざんしん)なデザインに魅了(みりょう)され、「これからはデザインの時代になる」と思い、デザイナーを目指すようになった。一浪して東京芸術大学美術学部工芸科に合格してデザインを学び、卒業後、大阪の大手百貨店に就職し、約40年、店舗(てんぽ)のプランとデザインの仕事に従事した。

「仕事に没頭する日々を送りましたが、そんな中、『いつか絵を描きたい』という思いが生まれました」

 その夢を実現するため、62歳で退職して本格的に絵の制作に打ち込むようになり、今に至っている。

自宅近くの山間部でスケッチ。「写真も撮って、それを基に家で制作します」

自宅近くの山間部でスケッチ。「写真も撮って、それを基に家で制作します」

 生長の家の教えには、妻の加洋子(かよこ)さんを通して触れた。昨年(2017)3月、加洋子さんの勧めで、生長の家宇治別格本山(*1)の一般練成会(*2)に参加し、「人間・神の子」の教えに心を動かされたという。

「宗教嫌いだったので、妻から勧められても頑(かたく)なに拒(こば)んでいたんですが、次男の火傷(やけど)、私の兄の借金など、いろんな問題を感謝の教えで乗り越えた妻の姿を目(ま)の当たりにして、練成会に参加してみようという気になったんです」

 練成会後、加洋子さんと奈良市内で行われている早朝神想観(*3)に参加するようになり、現在も毎日欠かさず続けている。昨秋には、「生光展(*4)」に、「花」(6号)の油彩画(ゆさいが)を初出品。今年も出品に向けて画想(がそう)を練(ね)るなど、生長の家との縁を深めている。

「生長の家の集まりは、本当に温かな雰囲気があって驚きました。また、『大自然讃歌』(生長の家総裁・谷口雅宣著。生長の家刊)を読むと、この世界は、多様な生命が共存する場と書かれており、これは私の信条(しんじょう)そのものだと、読むたびに勇気をもらっています。『一切(いっさい)のものは神のいのちの現れ』という教えを、絵に描ければなと思っています」

*1=京都府宇治市にある生長の家の施設
*2=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
*3=生長の家独得の座禅的瞑想法
*4=生長の家芸術連盟美術展