一般社団法人 地域ESD事務所つむぐ│山梨県富士川町 北杜市にあるオオムラサキセンターのヒバリウムで、参加者に説明する代表理事の村山敬洋さん 取材/原口真吾(本誌) 写真提供/地域E‌S‌D事務所つむぐ

一般社団法人 地域ESD事務所つむぐ│山梨県富士川町
北杜市にあるオオムラサキセンターのヒバリウムで、参加者に説明する代表理事の村山敬洋さん
取材/原口真吾(本誌) 写真提供/地域E‌S‌D事務所つむぐ

 一般社団法人の「地域ESD(*1)事務所つむぐ」では、各種自然体験プログラムを通して、人と自然が調和した持続可能な社会の実現を目指している。市民参加型調査プロジェクトでは、野生生物の生態と人の生活圏との関係を明らかにし、地域の自然環境への理解を深めている。

 平成26年に設立された「地域ESD事務所つむぐ」は、中山間地域の過疎化(かそか)と失われつつある里山の問題に焦点(しょうてん)を当て、その解決に向け、さまざまな観点からの教育活動を展開している。その一つ、地域の暮らしと里山を結ぶ独自の自然体験プログラムとして行っているのが、「野宿塾」と「廃城あるき」だ。

 前者は、テントを使わず、参加者が雨風を防げるようビニールシートで寝床を作り、野草を食材に食事を作るというもので、春と秋に実施されている。参加者は「自然に抱かれるようで、心身共に解放された」と、清々(すがすが)しい顔を見せるという。

上:春に行われた野宿塾での一コマ。ビニールシートで寝床を作る/中:森の広場に設置された落ち葉プール。まほらの森キッズフェアで/下:子供たちが、森で見つけた花や木の実で作ったワンプレート

上:春に行われた野宿塾での一コマ。ビニールシートで寝床を作る/中:森の広場に設置された落ち葉プール。まほらの森キッズフェアで/下:子供たちが、森で見つけた花や木の実で作ったワンプレート

 後者は、山梨県内の城跡を訪ね、歴史的な背景を交(まじ)えながら、地の利、周囲の植生、水源の確保などの地域の自然について学ぶツアーである。

 学童保育や小学校から自然体験プログラムの依頼が来ることも多く、木の板と枝で工作をしたり、森の中での木の葉や実の観察などを行っている。また、山梨大学とNPO法人「甲斐けもの社中」、南アルプス市の住民との協働事業である「タペタムを光らせろ!」では、ライトセンサス(*2)や自動撮影カメラを使用した野生動物の頭数調査を通して、野生生物の生態と人間の生活圏との関係を知ることができる。

 タペタムとは、多くの哺乳類(ほにゅうるい)の網膜(もうまく)の裏にある、光を反射する細胞層のことで、夜間にカメラで撮影すると、シカやウサギ、アナグマなどの眼が光って見えるのもタペタムの働きによるもの。これを分析して種類や頭数を調べるこの調査は、獣害やロードキル(*3)など、人と動物との関係を探るための材料となっている。

 自然と触れ合う機会が少ない都会の人たちも、自然の心地(ここち)良さを味わいながら、里山の現状や問題にも目を向けてもらえればと、代表理事の村山敬洋(のりひろ)さんは語る。

「自分の住んでいる地域を知ることで、自然とどのような関わりを持っていけるかを考えるきっかけづくりになればと思っています。自然との接点を持つ人が増えることで、里山の問題も少しずつ改善していきますから、これからも魅力的な自然体験プログラムを提供し、多くの人に参加してもらいたいです」

*1=Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)のこと
*2=夜間に林道や農道を車で低速走行しながら、前方と左右をライトで照射し、哺乳動物の姿や目の反射をもとに種類・頭数を調査する方法
*3=車にひかれて死ぬこと

お問い合わせ先
http://night3113.wixsite.com/tsumugu
MAIL:esd.tsumugu@gmail.com