一般社団法人 養老の森│山梨県道志村(どうしむら) 自然体験イベントの参加者に、森と昆虫の魅力について語る養老孟司氏(中央) 取材/原口真吾(本誌) 写真提供/一般社団法人 養老の森

一般社団法人 養老の森│山梨県道志村(どうしむら)
自然体験イベントの参加者に、森と昆虫の魅力について語る養老孟司氏(中央)
取材/原口真吾(本誌) 写真提供/一般社団法人 養老の森

 解剖学者で、昆虫研究家でもある東京大学名誉教授の養老孟司(ようろうたけし)氏が顧問を務める「一般社団法人 養老の森」は、山梨県道志村にある施設に都会の人たちを迎え入れ、さまざまな自然体験活動を行っている。村内には多数の昆虫が生息しており、昆虫観察会では、養老氏が自ら説明に立ち、その魅力を伝えている。

 道志山塊(さんかい)、丹沢山塊に囲まれ、日本でも有数のキャンプ場密集地である道志村に、“養老の森”が発足したのは平成26年。以来、「森に還る、街から山への参勤交代」というスローガンの下、約5ヘクタールの里山の保全を中心に、自然体験と環境教育活動などのイベントを開催している。

上:平成29年、山梨県下では養老の森で初めて生息が確認されたハナダカダンゴムシ(撮影:皆越ようせい)/中:昆虫観察会での一コマ。昆虫を探し、石の下や草の陰を覗き込む子供たち/下:養老の森にいる、大柄の鮮やかな模様が特徴のオオトラフコガネのオス(撮影:吉谷昭憲)

上:平成29年、山梨県下では養老の森で初めて生息が確認されたハナダカダンゴムシ(撮影:皆越ようせい)/中:昆虫観察会での一コマ。昆虫を探し、石の下や草の陰を覗き込む子供たち/下:養老の森にいる、大柄の鮮やかな模様が特徴のオオトラフコガネのオス(撮影:吉谷昭憲)

 このスローガンは、「都会は人間の都合で造り変える社会だが、自然はその対極に位置するもの」という考え方に根ざしている。森の中の道は、都会のアスファルト道路のように平らで真っ直ぐではなく、木々も並木のように整然とはしていない。スローガンには、都会に住む人たちが森に還ることで、人間の都合を第一にした考え方から、自然との共生という考え方にシフトしてほしいという願いが込められているという。

 イベントは、主に関東の都会に住む人たちを対象に行われており、東京のある外資系企業は、社員のリフレッシュを兼ねて、間伐(かんばつ)や植林等に参加している。中でも参加者に好評なのが、夜の森を案内する「よる・森・ハイキング」。「視界の効(き)かない暗闇(くらやみ)の中で、風や葉ずれの音、動物の鳴き声などに耳を傾けていると、心がスッキリと軽くなる」という声が多く寄せられている。

 養老の森では、瑠璃色(るりいろ)に輝く美しいコルリクワガタや、 国蝶(こくちょう)のオオムラサキなど、数多くの昆虫が見られる。また、山梨県内で、初めてハナダカダンゴムシの生息が確認されたのも養老の森だ。

 年に3回行われる昆虫観察会では、養老孟司氏が講師となって昆虫の魅力を解説し、2回参加すると、養老氏から認定書が授与される。

 養老の森での体験をきっかけに、自然の魅力、不思議さに目覚めてもらえればと、理事で事務局長の大田昌博さんは語る。

「もっと自然の心地良(ここちよ)さを知っていただくために、順次、遊歩道を整備していきたいと思っています。これからも森林の保全に力を入れ、多くの昆虫が生息する、多様性に満ちた森にしていきたいですね」

問い合わせ先
http://www.yoro-mori.com/ TEL/0554-52-2275