NPO法人 富士山エコネット│山梨県富士河口湖町 インストラクターにツアーの流れを説明する代表理事の三木廣さん 取材/原口真吾(本誌) 写真/堀 隆弘

NPO法人 富士山エコネット│山梨県富士河口湖町
インストラクターにツアーの流れを説明する代表理事の三木廣さん
取材/原口真吾(本誌) 写真/堀 隆弘

「富士山エコネット」では、富士山山麓(さんろく)の豊かな自然を後世に残すため、「西湖(さいこ)野鳥の森公園」を中心に、中・高生に向けた多種多様なエコツアーを展開している。事前学習としてスタッフが学校に出向き、富士山の植生や青木ヶ原樹海の成り立ちを講義することで、ツアーの効果を高める工夫をするなど、学術的な面と、豊かな自然を肌で感じる実体験の両面から環境保全の大切さを伝え、参加者に好評を博している。

 2013年に世界文化遺産に登録された富士山では、これまで以上に登山客、観光客が押し寄せ、山麓の過剰(かじょう)利用やゴミの不法投棄など、多くの問題が山積している。そうした状況を踏(ふ)まえ、日本のシンボルである富士山を美しいまま後世に残すことを目的に、「富士山エコネット」が発足したのは、平成16年。以来、西湖野鳥の森公園及びその周囲に広がる樹海を活動の中心に置き、主に中・高生を対象とした団体エコツアーを開いてきた。

上:樹海に棲息するニホンリス(富士山エコネット提供)/下:葉緑素を持たない植物、銀竜草 

上:樹海に棲息するニホンリス(富士山エコネット提供)/下:葉緑素を持たない植物、銀竜草

 14年目を迎えた現在、年間約150団体、およそ2万5千人がツアーに参加するが、そのほとんどは県外からの参加者で、修学旅行の一環として参加する学校も多い。

 5月半ばに取材に訪れた時は、横浜市の中学生約200人が公園を訪れ、インストラクターとともに、青木ヶ原樹海内を巡(めぐ)るエコツアーに参加していた。途中、葉緑素を持たない植物である銀竜草(ぎんりょうそう)が、真白な花を咲かせているのが目に入ると、「この花は1週間程で枯れてしまうので、今回見られたのは幸運ですよ」とインストラクターが説明する。事前に樹海の成り立ちや植生などについて講義を受けていた学生たちは、興味津々(きょうみしんしん)といった顔で聞き入り、花を写真に収めていた。

 他にも、富士山の斜面を駆(か)け下(お)りる「大砂(おおすな)走り」や、洞穴(どうけつ)の探検などの刺激的なツアーがあり、学生達を飽きさせない工夫がなされている。中でも、人気が高いのが夜に行われるナイトツアーで、樹海に棲息(せいそく)するヒメネズミの生態を観察することができる。また、一人になって五感を研(と)ぎ澄(す)ますナイト・ソロでは、月の傾きとともに木の影が動くのが見え、興奮を隠せない学生が多いという。

 こうしたエコツアーを通して、学生たちに自然の価値が理解できる大人になってほしいと、代表理事の三木廣さんは語る。

「青木ヶ原の樹海は、まだ生まれて300〜400年くらいの森ですが、この樹海を見れば森の変遷(へんせん)が分かるという、学術的にも注目されている希少(きしょう)な場所です。エコツアーを通して、樹海の価値を知るだけでなく、富士山の四季折々の美しさに触れることで、環境保全の大切さを学んでもらえたらと願っています」

問い合わせ先
http://www.fujisan-eco.net/ TEL/0555-20-4655