下田幸男(しもだゆきお)さん│自転車チェーン店「株式会社あさひ」創業者、元取締役会長、生長の家栄える会会員 1941年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、大協石油(現在のコスモ石油)入社。その後、家業を継ぐため、2人の弟達と玩具店の経営を始める。業態転換を経て自転車店をチェーン展開。平成4年より「株式会社あさひ」に商号変更し、平成19年に東証一部上場。同社元取締役会長。生長の家の教えには、平成22年に触れ、栄える会会員。趣味はサイクリング、マラソン、ラグビー観戦。平成28年8月4日逝去。 樋上雅一(ひのうえまさかず)さん│生長の家栄える会会長、SNI自転車部部員 1954年、大阪市生まれ。広島大学を卒業後、大手建設会社勤務を経て、家業である「株式会社オリオン建設」に入社。平成11年、同社の社長となり、現在に至る。生長の家の教えは、祖母、両親から伝えられ、生長の家大阪教区栄える会会頭などを経て、平成28年3月から生長の家栄える会会長。妻の和子さんも、白鳩会大阪教区連合会長を務める。「SNI(生長の家)自転車部」に所属、自転車で走ることを趣味にしている。 写真/中橋博文 〈お知らせ〉下田幸男さんと樋上雅一さんの対談は6月15日に行われましたが、下田幸男さんは去る8月4日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、奥様である下田忍(しのぶ)さんのご了解の下、この対談を掲載させていただくものです。『いのちの環』編集室

下田幸男(しもだゆきお)さん│自転車チェーン店「株式会社あさひ」創業者、元取締役会長、生長の家栄える会会員
1941年、大阪市生まれ。立命館大学卒業後、大協石油(現在のコスモ石油)入社。その後、家業を継ぐため、2人の弟達と玩具店の経営を始める。業態転換を経て自転車店をチェーン展開。平成4年より「株式会社あさひ」に商号変更し、平成19年に東証一部上場。同社元取締役会長。生長の家の教えには、平成22年に触れ、栄える会会員。趣味はサイクリング、マラソン、ラグビー観戦。平成28年8月4日逝去。

樋上雅一(ひのうえまさかず)さん│生長の家栄える会会長、SNI自転車部部員
1954年、大阪市生まれ。広島大学を卒業後、大手建設会社勤務を経て、家業である「株式会社オリオン建設」に入社。平成11年、同社の社長となり、現在に至る。生長の家の教えは、祖母、両親から伝えられ、生長の家大阪教区栄える会会頭などを経て、平成28年3月から生長の家栄える会会長。妻の和子さんも、白鳩会大阪教区連合会長を務める。「SNI(生長の家)自転車部」に所属、自転車で走ることを趣味にしている。

写真/中橋博文

共に自転車を愛好してやまない下田さん(左)と樋上さん(着ているのはSNI〈生長の家〉自転車部のジャージ)。下田さんは、小径車のミニベロ(ルイガノ)、樋上さんはクロスバイク(バッソ)を愛用している。後に見えるのは大阪城の天守閣。寝屋川のほとりで

〈お知らせ〉下田幸男さんと樋上雅一さんの対談は6月15日に行われましたが、下田幸男さんは去る8月4日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、奥様である下田忍(しのぶ)さんのご了解の下、この対談を掲載させていただくものです。『いのちの環』編集室

日本最大の自転車チェーン店「株式会社あさひ」の創業者で、自らも自転車を愛好する、生長の家栄える会(*)員の下田幸男さんと、建設業を営む傍(かたわ)ら、「SNI(生長の家)自転車部」の一員として自転車を趣味にしている、栄える会会長、樋上雅一さんに、今、21世紀の乗り物として注目を集める自転車の魅力などについて語り合ってもらった。

「あさひ」の前身は、木製玩具の製造、卸、小売業

樋上 下田さんが取締役会長を務められた「あさひ」の本社は大阪市都島(みやこじま)区にあり、私も同じ都島区で育った人間ですから、下田さんにはとても親近感があります。今日の対談のテーマは、「21世紀の乗り物“自転車”の魅力」ということで、自転車の専門家である下田さんにお聞きすることが多くなるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 ウェブページなどを見ると、「あさひ」は、「旭玩具製作所として創業」とあります。長男の幸男さんをはじめ三兄弟で、会社を立ち上げられた頃の話から聞かせてください。

下田 私たちの家業は、私が小学校3年生の昭和24年、親父とおふくろが創業した、子供向けの木製家具や乗り物の製造、卸(おろし)・小売業でした。子供向けの木製の滑(すべ)り台、歩行器、トラックなどをかんなで削り、色を塗ったりして手作りし、それを家の前に並べて売っていたんですね。ところがその後、プラスチック製の玩具が出回るようになって、木製の玩具はダメになりました。しかし親父は、プラスチック製品には乗り換えず、子供向けの自転車を売ったり、当時、おもちゃ屋で修業していた三男から回してもらったおもちゃなどを売るようになったんです。

樋上 下田さんも、ご両親の手伝いをされていたんですか。

下田 ええ、こき使われましたよ(笑)。大学を受験する年、クリスマスの時に、滑り台などのおもちゃを百貨店に納品させられたことがあり、「みんな楽しそうにしているのに、なんでこんなことをせなあかんねん」と思ったことを覚えています(笑)。しかし、親が商売する姿を見て育ちましたから、たとえ台風の日などでも当たり前のように手伝っていましたね。

本当の意味での「お客様第一主義」を貫いて

樋上 私も父親から建設業を受け継ぎましたが、下田さんと同じように、その背中を見て育ちましたから、それほど抵抗もなく引き受けることができたように思います。下田さんの経歴を見ると、大学を卒業後、石油会社に入っていますね。家業に就いたのは何歳の時なんですか。

下田 25歳の時、石油会社を辞め、二人の弟とともに家業を継ぎ、昭和50年に「株式会社旭玩具」を起業したんです。最初の頃は自転車も10台ほど並べて売るところから始めたんですが、徐々に台数が増え、いっぱしの自転車屋になりました。その後、平成元年には大阪府寝屋川市に初めて大型自転車専門店をオープンし、平成4年には「株式会社あさひ」に商号を変更しました。

樋上 それからの「あさひ」の発展ぶりはすごいものがあり、現在は、10人に一人は「あさひ」の自転車を買うと言われているほどです。発展の原因は、どんなところにあったと思いますか。

下田 普通にやってきただけなんですが、強いて言えば、正直に、謙虚にお客様が望んでいることを一つ一つ叶(かな)える努力をしてきたということでしょうか。床や自転車をピカピカに磨(みが)き上げる「店舗のクリンネス」、自転車安全整備士、自転車技士の資格を持った社員による丁寧(ていねい)な接客、原則10分以内というパンク修理のクイックサービス、購入後の無料点検、プライベートブランド製品のデザインなど、すべて顧客(こきゃく)の声を拾いあげて形にしたサービスばかりです。

樋上 それは喜ばれたでしょう。そうしたサービスは、本当の意味での「お客様第一主義」だと思います。

ホノルル・センチュリーライドマラソンに参加

樋上 私は子供の頃から自転車が好きで、よく乗っていました。下田さんはどうですか。

下田 子供の頃から普通に乗っていましたが、自転車を販売するようになって特に好きになり、仲間と毎年、京都の嵐山にサイクリングに出かけたりするようになりました。それが高じて、平成13年ぐらいには、ハワイのホノルルで毎年開かれている「ホノルル・センチュリーライド」に参加したこともあります。

樋上 私も今度、ミャンマーで植樹する話がありまして、その際、自転車で異国の地を走ってこようと思っているんですが、「センチュリーライド」とは、どんなものなんですか。

下田 最長100マイル(161キロ)を走ることから、「センチュリーライド」と呼ばれていて、本格的なライダーから初心者、家族連れまで、誰でも参加できるサイクリングイベントです。通常の観光では訪問する機会が少ないオアフ島東部の風光明媚な海岸線、山脈など美しい光景の中を走るので、爽快な気分になります。また、私はマラソンが趣味で、一昨年までに7回、ホノルルマラソンに参加しました。

自転車に乗って感じる感動と驚き

樋上 下田さんは、昨年(2015)秋、生長の家国際本部(山梨県北杜市)で開かれた「生長の家自然の恵みフェスタ2015」の「天女山(てんにょさん)ヒルクライム」にもゲストとして参加し、挨拶をしてくださいました。自転車チェーン店「あさひ」の創業者である下田さんがヒルクライムの応援に来て、挨拶をしてくださったので、参加者の皆さんが喜んでいたのがとても印象的でした。ヒルクライムの時は、紅葉がきれいで感動しましたね。

「天女山ヒルクライム」で。右から下田さん、樋上さん、大阪教区青年会の山下貴大さん

「天女山ヒルクライム」で。右から下田さん、樋上さん、大阪教区青年会の山下貴大さん

下田 ほんとうに美しい、見事な紅葉でしたね。あの光景は忘れることができません。大阪にもきれいな自然はたくさんありますが、参加した皆さんが懸命にゴールを目指して走る姿を見ながら眺める紅葉には、ほんとうに深く心に残るものがありました。

樋上 私は、天女山を目がけて上っている途中、めちゃくちゃ腰が痛くなったんですよ(笑)。「しんどいな」と思ったんですが、ふと、「しんどいからこそ自然がこの上なくきれいだ」と思ったんです。そして、腰が痛いのも、神様からいただいた肉体を使ったからこそであって、「この痛みもありがたいんだ。これこそが自転車に乗る醍醐味(だいごみ)なんだ」と感じられたんです。自転車に乗ると、普段気づかない、思いがけない発見がたくさんありますね。

下田 そう思います。春に、自転車で淀川(よどがわ)べりに咲いた桜を見に行ったんですが、車で走っていたら分からない、ウグイスの鳴き声が聞こえ、メジロの姿も目に飛び込んできて、「ああ、なんてありがたいんだろう」という気持ちになりました。

樋上 自転車に乗っていると天気にも敏感になりますものね。雨が降るのかどうか心配になるし、風が吹くとちょっと憂鬱(ゆううつ)になったりします。しかし、天候の移り変わりに反応することで、体中の細胞が活性化し、「ああ、自分は地球の一部なんだ。自然に生かされているんだ」という思いになります。

下田 自転車で走っていると、季節の移り変わりや、街角の神社、お店、そして路傍(ろぼう)の花など、それまで見過ごしていたいろんなものとの出合いがあり、新鮮な驚きを感じます。

何が無駄で、何が必要なのかを考え直す

樋上 もう一つ、自転車の大きな特徴に、CO2を排出しない“エコな乗り物”であるということがあります。ドイツの例では、環境問題を解決するという観点から自転車の普及、交通の整備に取り組んでいると言われています。電車、バスに自転車専用車両があり、道路にも専用レーンがあるなど、車優先の社会である日本とは明らかに違いますね。日本の場合、これまで経済至上主義で突っ走ってきて、便利で快適な生活を手に入れた半面、都市化が進み、私たちは自然から離れた生活を送るようになってしまった。環境問題を解決するには、私たちのライフスタイルを見直さなければならないということについては、生長の家総裁・谷口雅宣先生が常々説かれているところですが、そうしたライフスタイルを見直す一つのアイテムになるのが、自転車ではないかと思います。

inoti79_rupo_3

下田 豊かさの象徴である車が、一方でCO2などの有害物質を排出しているという現状があります。しかし、だからといって車を一切やめるということはできないので、私たち一人ひとりが、何が無駄で、何が必要なのかを考え直し、贅肉(ぜいにく)をそぎ落とし、スリムになる必要があるんじゃないでしょうか。いつも車で出かけていたところに、電車で通っていた職場に自転車で行ってみる。そのちょっとしたことが、地球環境を守り、健康の増進、季節感を味わうというライフスタイルの転換に繋(つな)がるんですね。そして、そうした人が増えれば、「あさひ」の売り上げも伸びるわけですから、一石二鳥(いっせきにちょう)です(笑)。

大阪教区に“自転車の輪”を広げていきたい

樋上 会社の売り上げが伸び、それが地球環境のためにも人のためにもなる─「神・自然・人間の大調和」を目指す私たち生長の家栄える会員も、そうした経営を目指さなければなりません。大量生産、大量消費という考え方とサヨナラし、なくても済むもの、本当に必要なものは何だろうと考えた時、その先にあるものの一つが自転車だと思うんですね。自転車に乗れば、暑い時は暑いと感じ、寒い時は寒いと感じる。汗もかくし、息も切れる。私みたいに腰も痛くなったりする(笑)。しかし、ちょっと前では、誰しもがこういう生活をしていたわけで、その意味でも自転車は、人間にフレンドリーな乗り物だと思います。

「自転車の魅力を多くの人に伝えましょう」と固い握手を交わす2人

「自転車の魅力を多くの人に伝えましょう」と固い握手を交わす2人

下田 その通りです。誰もが手軽に乗ることができ、誰もが楽しめる乗り物が自転車なんです。ママチャリという言葉はその象徴だと思いますが、ママチャリがあるなら、パパチャリがあってもいいんじゃないかと、「あさひ」が、売り出した自転車にパパチャリがあります。チャイルドシートを付けられるロングテールフォルムの荷台、極太のタイヤ、ディスクブレーキ搭載の頑丈な自転車ですが、子供を乗せて、野外遊びに連れて行ったりできるので好評です。メーカー側も、ロードバイク、マウンテンバイクなどの本格的な自転車ばかりでなく、誰もが使いやすい自転車の開発にも力を入れていかなければならないと思います。

樋上 「SNI自転車部」も、「環境保全に貢献でき、健康にもよい自転車を楽しみましょう」という趣旨で誕生したものですから、これから多くの皆さんをお誘いして、ライフスタイルを変えるきっかけを作っていただければと願っています。

下田 大阪教区に“自転車の輪”を広げていきたいですね。

樋上 自転車に乗ることで、確実に何かが変わりますから。

*=生長の家の産業人の集まり ホームページ:http://www.jp.seicho-no-ie.org/sakk/wp/