追分八重子(おいわけやえこ)さん│74歳│北海道北見市  取材/佐柄全一 写真/加藤正道 花嫁衣装を作り変えたタペストリー。「黒地の縁で美しさを引き立たせました」

追分八重子(おいわけやえこ)さん│74歳│北海道北見市 
取材/佐柄全一 写真/加藤正道
花嫁衣装を作り変えたタペストリー。「黒地の縁で美しさを引き立たせました」

 北見市郊外の市営住宅にある追分八重子さん宅を訪ねると、玄関から居間まで、所狭しと自作のパッチワーク作品が飾られていた。

 タペストリー(壁掛け)、テーブルクロスなどの大きな物から、ハンドバッグ、小銭入れなどの小物まで種類は実にさまざま。そのほとんどに、シカやフクロウの可愛らしいアップリケが縫い込まれ、見ているだけで心が和(なご)んでくる。

上:古布で作った小物類。追分さんの大好きなフクロウが目を引く/下:大作の花柄のタペストリー。多様な古布を使った色彩豊かな作品だ

上:古布で作った小物類。追分さんの大好きなフクロウが目を引く/下:大作の花柄のタペストリー。多様な古布を使った色彩豊かな作品だ

「シカやフクロウが大好きなので、ついつい……(笑)。同好会に属しているとはいえ、自己流の部分も多く、本格的に学んだ人が見たら欠点だらけだと思いますが、パッチワークをしているひと時は、私にとって掛け替えのない安らぎの時間です」

 追分さんのパッチワーク歴は26年。市内の同好会「花もめん」の一員として、3年に一度の発表会で作品を発表してきた。

「発表会の時に、大きな作品を制作し、会のメンバーや友だちに披露するのが励みになっています」

 女満別町(めまんべつちょう:現在の大空町)の農家の出身で、11人きょうだいの5女として生まれた。地元の定時制高校を卒業後、農協に勤務し、26歳で結婚して子供を授かったが、その後は3人の子供を流産した。

 その時、知人から生長の家の教えを伝えられ、先祖供養の大切さを学んだ。日々、聖経『甘露の法雨(*)』を読誦(どくじゅ)するようになり、先祖への感謝の思いが深まった頃、続けて2人の子供を授かった。

 42歳の時に離婚した。「生長の家の講師に相談すると、『別れて出直す道もある』と言われ、高校生と中学生だった3人の子供にも相談して決断しました」

 離婚後、働くようになったリサイクル店で「花もめん」のメンバーとの出会いがあり、誘われて足を運ぶうちに、パッチワークの素晴らしさに魅了された。49歳の時のことだった。

「古着が素敵なハンドバッグに変身するのを見て、『私も作りたい』と思い、見よう見まねで始めたんです」

 その後、一時は生活保護を受けるほど困窮(こんきゅう)した時期もあったというが、生長の家の信仰を支えに70歳までリサイクル店で働き、3人の子供を立派に育て上げた。

「そんな生活の中でのちょっとした喜びが、毎日30分から1時間ほどしていたパッチワークだったんです。パッチワークを通して、毎日、小さな喜びを積み重ね、ここまで生きてこられたことに、感謝でいっぱいです」

どんな小さな作品にも、愛と祈りが込められている

どんな小さな作品にも、愛と祈りが込められている

*=生長の家のお経のひとつ