写真・文 河原秀之(かわはら ひでゆき) 昭和15年、北海道生まれ。深川市在住のアマチュアカメラマン。北海道写真協会会員で、平成17年から北海道の生き物たちを撮り続けている。深川市立病院などで写真を常設展示。生長の家相愛会員。

写真・文 河原秀之(かわはら ひでゆき)
昭和15年、北海道生まれ。深川市在住のアマチュアカメラマン。北海道写真協会会員で、平成17年から北海道の生き物たちを撮り続けている。深川市立病院などで写真を常設展示。生長の家相愛会員。

 生き物たちと心が通じ合う──写真を撮っている時、そんな幸せを感じる瞬間がある。今月のこの写真もそうだった。

 西を流れる雨竜川(うりゅうがわ)、東を走る深川留萌(るもい)自動車道に挟まれるようにして広がる秩父別町南二条の水田地帯。その一角にある廃屋に、キタキツネが営巣しているという情報を得たのは6月の初めだった。

 さっそく足を運ぶと、昨今、増えている農業離散者の家らしく、辺りはもちろん、ガラスが割れた窓からも雑草が顔を出し、伸び放題になっている。青々とした稲穂が風に揺れる、周囲の田んぼとは対照的だった。

 これまでにも何度か書いたことだが、警戒心が強いキタキツネを撮るには、何度も顔を合わせ、こちらが敵ではないと認知してもらうしかない。通ううちに、子ギツネが4匹、黒い子ギツネが2匹いることが分かった。黒い子ギツネは、キタキツネと銀ギツネから生まれた十文字ギツネの子供である。

 廃屋の縁の下、草むら、剥(む)き出しになった土管など、隠れ場所に困らないせいか、子ギツネは何度となく姿を現した。しかし、アングルとしてぴったりの、ノギクの前には出てこず、いい写真が撮れなかった。今回の写真は、10回ほど通ってものにした1枚である。

 甘えて頬ずりする子ギツネに比べると、警戒を怠らない親ギツネの表情は険しく厳しい。が、その目はカメラの目線と合っている。にもかかわらず、逃げ出すことなく写真に収まってくれた──。この写真を見ると、あの時の幸せの瞬間を思い出す。

心が通じ合う幸せの瞬間
撮影日:平成23年6月29日
撮影場所:雨竜郡秩父別町
レンズ:100~400ミリ 
※キャノンEOS50D