佐藤ようこさん│70歳│富山県 取材/佐柄全一 写真/中橋博文 昼下がり、自宅の食卓でパッチワークをするようこさん。「私にとって日常の大切な時間です」

宮本洋子さん│70歳│富山県 取材/佐柄全一 写真/中橋博文
昼下がり、自宅の食卓でパッチワークをする宮本さん。「私にとって日常の大切な時間です」

上:自宅マンションの窓にはゴーヤのグリーンカーテン/下:額装した「おわら風の盆」。「この祭りは富山県人の祈りの心を現しています」

上:自宅マンションの窓にはゴーヤのグリーンカーテン/下:額装した「おわら風の盆」。「この祭りは富山県人の祈りの心を現しています」

 宮本洋子さんの自宅マンションを訪ねると、居間や和室の真っ白な壁や引き戸に、さまざまなタペストリー(壁掛け)が飾られ、部屋を明るく彩(いろど)っていた。

 すべて宮本さんが手がけたパッチワーク作品で、中でもひときわ目を引いたのは、富山県を代表する祭り「おわら風の盆(*1)」の折、編み笠姿で踊る男女の姿を額装したもの。踊りの一瞬を鮮やかに切り取り、祭りで流れる越中おわら節の哀切な旋律(せんりつ)までが聞こえてきそうな作品だ。

「これは、額絵ともいわれ、基本的な図柄がありますが、それを自分なりにアレンジして作るんです。そのアレンジが楽しいんですよ」

 パッチワークは、イギリスで生まれてアメリカで発展した手芸で、宮本さんは、パッチワークキルト教室に所属してアメリカの最先端の技術を学び、発表会向けの大きなタペストリーも制作する。だが、好んで作るのは、家族や近しい人に贈るためのハンドバッグや財布などの小品だ。

「息子の嫁や孫の顔など、相手の顔を思い浮かべながら真心を込めて縫う、そのひと時が無上の喜びです。材料には古い衣服などを使い、それに新しいいのちを吹き込ませることができるのも、大きな醍醐味(だいごみ)ですね」

 富山県出身の宮本さんは、昭和44年、22歳の時、同じ郷里の商社マンと結婚。それから夫の会社がある大阪府で30年余り暮らしたが、その間、心の支えになったのが、結婚直後、母親から伝えられた生長の家の信仰だった。

「母に誘われて参加した練成会(*2)で、『人間・神の子』の教えに感動しました。ご先祖様や家族への感謝の大切さを教えられて実践すると、結婚2年を過ぎて授からなかった子供が、46年に長男、48年には次男が生まれたんです。あの時の喜びは今でも忘れられません」

 パッチワークと出合ったのは、夫が、59歳で富山県の本社に戻った17年前。義姉のパッチワーク作品を見て魅了(みりょう)され、教室に通って習い始めた。元々編み物が好きだった宮本さんは、以来、一日に2時間ほどパッチワークに取り組むようになり、現在も続けている。

近所の名刹・瑞龍寺で夫と。「若い頃にはよく一人で訪れました」

近所の名刹・瑞龍寺で夫と。「若い頃にはよく一人で訪れました」

 夫は、60歳で定年退職後も会社の役員として働いたが、6年前に引退。宮本さんの勧めで生長の家の行事に参加し、夫婦で信仰するようになった。

「あの人のために、この人のためにと思いながら針を動かしていると心が和(なご)み、潤(うるお)うのを感じます。私にとってパッチワークは、なくてはならない生活の一部なんです」

*1=毎年9月1日~3日、富山市八尾(やつお)地域で行われるお祭りで、越中おわら節にのって踊りが披露される

*2=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい