藤澤佳代(ふじさわ・かよ)さん│68歳│香川県丸亀市 取材/久門遥香(本誌) 写真/堀 隆弘 縮緬細工で、縁起がよいとされる犬の置物を作る藤澤さん。「表情が優しく、かわいらしく出来上がるように心を込めています」

藤澤佳代(ふじさわ・かよ)さん│68歳│香川県丸亀市
取材/久門遥香(本誌) 写真/堀 隆弘

縮緬細工で、縁起がよいとされる犬の置物を作る藤澤さん。「表情が優しく、かわいらしく出来上がるように心を込めています」

 藤澤佳代さんは、着物の素材に用いられる絹織物の縮緬(ちりめん)を使い、縮緬細工を楽しんでいる。香川県丸亀市にある自宅には、部屋のあちこちに、干支(えと)の動物をかたどった置物や吊り雛(つりびな)、羽子板(はごいた)飾り、花のブローチなど、これまでに制作した作品が数えきれないほど並び、まるでギャラリーのようだ。

「布の色や模様はそれぞれ違いますし、みな手縫(てぬ)いで作っているので、同じものは一つもありません。自分の手を使い、時間をかけてできた“作品”ですから、愛着(あいちゃく)がありますね」

 材料として使うのは、明治から昭和初期にかけて作られた「古布(こふ)縮緬」で、人から譲(ゆず)り受けたり、骨董店(こっとうてん)などで手に入れたりしている。

一つ一つの飾りに、健康や幸福を願う意味がある吊り雛。鮮やかな色と可愛い飾りに目をひかれる

一つ一つの飾りに、健康や幸福を願う意味がある吊り雛。鮮やかな色と可愛い飾りに目をひかれる

 裁縫(さいほう)が好きで、子供の頃には人形やぬいぐるみ、大人になってからは、布絵やパッチワークを手がけてきた。

 縮緬細工を手がけるようになったのは、15年ほど前からで、手芸関係の本に、古布縮緬を使った小物作りのことが載(の)っていたのを目にし、興味を引かれたのがきっかけだった。

「昔ながらの織(お)り方で、丁寧(ていねい)に織られた縮緬は、伸びが良く、柔らかくて、色や柄(がら)にも上品な美しさがあります。織った人の思いが込められた大切な素材ですから、小さな端切(はぎ)れでも決して無駄にせず、『生かしてあげたい』という気持ちで作っています」

 藤澤さんは、母親が熱心に生長の家を信仰していたため、幼い頃から、「人間・神の子」の教えに触れて育った。嫁(とつ)ぎ先も生長の家信徒で、母親教室(*1)や誌友会(*2)に参加し、白鳩会(*3)の一員として教えを学び、活動してきた。「大きな苦労もなく、自然に続けてきただけです」と謙遜(けんそん)するが、心にはしっかりと教えが染(し)みこんでいる。

「生長の家で、エコな素材を使った手作りのものの良さを教えられ、趣味として続けてきた縮緬細工にも、『物のいのちを生かす』という大きな意義があるんだと分かって、嬉(うれ)しく思っています」

 制作したブローチなどの作品は、香川県内や岡山、京都などの雑貨店で展示販売されているほか、藤澤さんは、月に一度、希望者に縮緬細工を教え、その面白さや魅力を伝えている。

「これまでは、決まった型紙を使って、雛飾りなど伝統的なモチーフを作品にすることが多かったのですが、干支は、型紙から自分で考えて作っています。これからはこの干支のような、オリジナルな作品をたくさん作っていきたいですね」

干支の動物をかたどった作品。手のひらに乗るほど小さいが、精巧に作られている 

干支の動物をかたどった作品。手のひらに乗るほど小さいが、精巧に作られている

*1=母親のための生長の家の勉強会
*2=生長の家の教えを学ぶ小集会
*3=生長の家の女性の組織