関 久実子さん│38歳│東京都練馬区 取材/磯部和寛 写真/遠藤昭彦

関 久実子さん│38歳│東京都練馬区 取材/磯部和寛 写真/遠藤昭彦

 午後、春の陽射しを受けながらイーゼルに向かい、真剣な面持ちで絵筆を運んでいく。関久実子さんの眼差(まなざ)しは、キャンバスに描かれた、鮮やかな深紅のゼラニュウムの花と同じように優しげだ。

「カフェのカップやソーサーなど、外出先で目についた可愛いものをスケッチすることもよくありますが、作品としては花を描くことが多いですね。『綺麗(きれい)に咲いている、今、この時を逃してはいけない』と思うと、とても集中して描けますし、『私が描き終えるまで、花が散らずにいてくれた』と、花との一体感を感じることもあります」

 女子美術短期大学の生活デザイン科出身の関さんは、在学中、さまざまな立体工芸に加え、専攻科では陶芸を学び、卒業制作の絵皿が最優秀賞に輝いた。

学生時代に作陶した食器。絵付けのデザインを通して、植物を描く喜びに目覚めた

学生時代に作陶した食器。絵付けのデザインを通して、植物を描く喜びに目覚めた

 油彩画は、油絵の具特有の臭いが苦手で敬遠していたが、8年前、その臭いがない、水に溶ける「デュオ」という油絵の具があることを知って手がけるようになった。

「陶器を作る際のフォルムや絵付けのデザインを考えるときは、自分で目にした動植物をデッサンして起こしていたので、『ああ、植物っていいなあ』と思っていたんですね。だから油彩で花を描くようになって、なおのことその思いが深まりました」

 関さんは、幼い頃から母親の美鈴(みすず)さんに生長の家を伝えられ、青少年練成会(*1)に参加するなどして、「人間・神の子」の教えに親しんできた。年を重ねるにつれて生長の家から足が遠のいたが、油彩画を描き始めて間もない平成21年、生光展(*2)に『庭の草花』を出品したのをきっかけに青年会(*3)の一員となり、教区練成会の運営などを手伝うようになった。

ゼラニウムを描いた作品を前に。「風景画や聖なるものをテーマにした絵も描きたい」

ゼラニウムを描いた作品を前に。「風景画や聖なるものをテーマにした絵も描きたい」

「30代になって、『人のお役に立ちたい』という気持ちが強くなっていたものですから。平成25年には光明実践委員(*4)となり、今は誌友会(*5)などに出講もしています。毎日、神想観(*6)を実修し、話をするために教えの勉強をするので、それが絵を描く上でも、とてもいい刺激になっています」

 写真ではなく実物を見て筆を執(と)るのが信条という関さんは、こう語る。

「花の精妙(せいみょう)な色合いを見つめ、その香りをかぐと、『私と自然とは一体だ』という思いが溢(あふ)れてきて、その思いが自(おの)ずと絵にも表れるんです。“いのちといのちが触れ合う”、そんな時間がとても好きです。『こんなに美しいものがあるんだ』と、見た人の心が明るくなるような絵を描いていきたいですね」

*1=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
*2=生長の家芸術家連盟美術展
*3=12歳以上40歳未満の生長の家の男女の組織
*4=生長の家の青年講師
*5=生長の家の教えを学ぶ小集会
*6=生長の家独得の座禅的瞑想法