松本 学(まつもと・まなぶ)さん│83歳│静岡県掛川市 自宅2階のアトリエで制作に励む松本さん。1年間に10枚以上の絵を描く 取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

松本 学(まつもと・まなぶ)さん│83歳│静岡県掛川市
自宅2階のアトリエで制作に励む松本さん。1年間に10枚以上の絵を描く
取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

 松本学さん宅を訪ね、2階の和室に案内されると、隙間なく壁と襖に掛けられた絵に目を奪われた。松本さんが描いた約70点に上る風景や花などの油彩画で、素朴な作風が観る者の心を温かく包んでくれる。

「大好きな日本の山、川、木、家、花などを絵にしています。無心になって描いていると、自然と一体になったような気がして心地よく、時間を忘れてしまいます」

 あちこちに、「芸術は人間の感動の客観化である」などといった谷口雅春師の言葉を書いた紙が貼られ、絵を描く時は、それらの言葉を唱えてから筆を執るという。

「『自然と芸術について』(生長の家総裁・谷口雅宣著、生長の家刊)を愛読しており、そこに書かれた“自分を惹きつける対象を通して、いのちの触れ合いが行われるのが芸術制作の現場”などという文章を読むと、創作への意欲が湧き上がります」

静岡県三島市の川沿いの風景

静岡県三島市の川沿いの風景

 絵を始めたのは62歳になってからで、60歳で高校教師を定年退職し、嘱託で働いていた高校の美術教師に勧められたのがきっかけだった。

「昔から絵が好きで、よく展覧会などに行っていたので、絵を描くのもいいなと思ったんです」

 1、2枚、見よう見まねで絵を描いたが、その後、大腸がんを患い、さらに妻を亡くして、絵どころではなくなった。再開したのは、手術を受けて大腸がんを克服し、2年経った平成16年。文化講座に1年間通い、油絵の基礎を学んだ。

「ますます絵が好きになったんですが、町内会の役員などの活動が多忙になって、絵を描く時間がなく、平成18年、71歳になってようやく制作に没頭できるようになったんです。それから1年間に10枚以上のペースで描くようになりました」

自らの作品で一杯のアトリエ。「お客様に観ていただいています」

自らの作品で一杯のアトリエ。「お客様に観ていただいています」

 生長の家の教えには、大学時代、父親の勧めで練成会(*1)に参加して触れ、「人間は神の子である」という教えに感動した。大学を卒業して教師となってからは、長く教えから離れてしまっていたが、絵の基礎を学んでいた時、生長の家信徒が伝道のために、自宅の郵便受けに入れてくれた『白鳩』(*2)を読んだ。

「懐かしくなって静岡県教化部(*3)に電話すると、講習会に誘われました。そこで、“自然と人間は一体であり、自然との調和が大切”と説く谷口雅宣先生のお話を聴いて、深い感銘を覚えました。絵を描くなら自然の風景にしたいと思っていた頃でしたから、なおさら心に響くものがありました」

 その後、相愛会員(*4)となり、平成20年からは地方講師(*5)として、生長の家の伝道に励むようになった。

「これからは、今までとはがらりと違った、宇宙の創生をイメージしたような絵を描いてみたいですね。どんな絵になるか、自分でも楽しみです」

 83歳の今も、絵への情熱は衰えることを知らない。

1=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
2=本誌の姉妹誌
3=生長の家の布教・伝道の拠点
4=生長の家の男性の組織
5=生長の家の教えを居住地で伝えるボランティアの講師