環境省 田貫湖ふれあい自然塾│静岡県富士宮市 取材/原口真吾(本誌) 写真/堀 隆弘

環境省 田貫湖ふれあい自然塾│静岡県富士宮市
自然体験ハウスの外観 取材/原口真吾(本誌) 写真提供/田貫湖ふれあい自然塾

 富士山の西麓(せいろく)、富士箱根伊豆国立公園内にある「環境省 田貫湖(たぬきこ)ふれあい自然塾」では、人と自然の触れ合いに重点を置いたさまざまな自然体験プログラムを実施している。自然との共生を目指し、エネルギー資源と二酸化炭素の排出に配慮した自然体験ハウスを拠点に、子供たちは自然の中で豊かな感性を育(はぐく)み、大人は自然の価値を再発見している。

 豊かな自然が残る富士山西麓の湖、田貫湖のほとりに、「田貫湖ふれあい自然塾」が設立されたのは、平成12年。自然は私たちの暮らしと切っても切れない関係にあるにもかかわらず、人々にそうした意識が薄れている現状に鑑(かんが)み、同自然塾では、人が自然と触れ合い、自然の価値を再発見するため、自然体験ハウスを拠点(きょてん)に活動を展開している。

上:屋根の一部が土と草で緑化され、夏場の温度上昇を抑える/下:黄色の送風ダクトを通し、冬は集熱ユニットで温められた空気を出し、夏は空気を外に逃がして、室温を一定に保つ どちらも写真:堀 隆弘

上:屋根の一部が土と草で緑化され、夏場の温度上昇を抑える/下:黄色の送風ダクトを通し、冬は集熱ユニットで温められた空気を出し、夏は空気を外に逃がして、室温を一定に保つ(どちらも写真:堀 隆弘)

 富士箱根伊豆国立公園の中にある自然体験ハウスは、さまざまな遊びを自由に体験でき、自然の不思議さや自然と人とのつながりを、楽しみながら学ぶことができる施設で、子供からお年寄りまで年間約10万人が訪れる。入場は無料。

 4歳から参加できる体験プログラム「たぬきっこ森のようちえん」は、季節毎に開催され、摘(つ)んだ野草でおやつを作ったり、虫を観察したり、自然との触れ合い方や遊び方を学ぶもので、子供の豊かな感性を育むことができる。一緒に参加した保護者も、「虫が苦手(にがて)だったけど、触ることで、小さな虫でも一つの命なんだと身近に感じられた」と語るなど、大人が自然への理解を深めるきっかけにもなっている。

 一方、子供の成長過程に合わせて刺激を与えるという試みで始まった「たぬきっこクラブ」は、小学生の子供とその親を対象にした職業体験。自然ガイド、有機農家、登山家、野外料理人、大工などのさまざま職業が体験できる。良いところばかりでなく、苦労も体験できるのが特徴で、例えば有機農家の体験では、収穫だけでなく、畝(うね)に藁(わら)を敷(し)き詰(つ)めるなど、手間(てま)がかかる作業も行う。こうした体験を通して子供たちは、スーパーに並んでいる野菜が、実は農家の人の努力の結晶(けっしょう)であることに気づくという。

 自然の価値を伝えるには、「感動」や「驚き」など、心に響く体験を参加者と一緒に作っていくことが大切だと、チーフインタープリター(案内役)の小野比呂志(ひろし)さんは語る。

「『たぬきっこクラブ』をはじめ、どのプログラムにも、参加者の好奇心を引き出すような仕掛けが盛り込まれています。参加者もガイドも共に楽しみながら、自然の心地良(ここちよ)さと価値を発見する、学びの時間を提供したいと思っています」

問い合わせ先
http://www.tanuki-ko.gr.jp/ TEL/0544-54-5410