飛び込みの営業で生まれた生長の家との縁

山本英親(ひでちか)さん│72歳│京都市伏見区 取材/多田茂樹 写真/中橋博文 見渡す限りソーラーパネルが並ぶ京都・城陽メガソーラー発電所の一画で

山本英親(ひでちか)さん│72歳│京都市伏見区
取材/多田茂樹 写真/中橋博文
見渡す限りソーラーパネルが並ぶ京都・城陽メガソーラー発電所の一画で

 京都府城陽(じょうよう)市、標高220メートルの小高い山に建つ生長の家「京都・城陽メガソーラー発電所」。生長の家として1基目となる大規模ソーラー発電所で、昨年(2015)3月から稼働(かどう)している。

 この発電所の施工を担当したのが、京都市にある「株式会社ハイパーテック」社長の山本英親さんだ。山本さんは、生長の家の熱心な信徒で、栄える会(*1)の会員でもある。

 4月下旬、山本さんとともにメガソーラー発電所を訪れた。この日はあいにくの曇り空だったが、山本さんは、「雨が降っても、毎時10キロワット以上は発電します」と語る。

 平成18年創業のハイパーテックは、社員8人の小さな会社だが、「子孫のためにきれいな地球環境を残そう」をポリシーに、太陽光発電関連の事業を展開している。当初は、家庭用ソーラーパネルを中心とした仕事をしていたものの、徐々に学校、病院などの業務用ソーラーパネルを手がけるようになった。

 山本さんがメガソーラー発電所の施工を担当することになったのは、平成21年、宇治別格本山(*2)に営業に訪れたのがきっかけだった。

「当時の私は無宗教でしたから、周囲からは『宗教法人によく営業に行ったなあ』と言われましたが、生長の家が環境保全に力を入れているということは知っていたので、きっと何かやらせてもらえると思ったんです」

京都・城陽メガソーラー発電所の入口には、「株式会社ハイパーテック」の名前も記されている

京都・城陽メガソーラー発電所の入口には、「株式会社ハイパーテック」の名前も記されている

 山本さんの熱心な営業姿勢が伝わったのか、同本山練成道場の厨房用のエコキュート設置の仕事を任せてもらうことになった。しかし、生長の家との縁は仕事だけに留まらなかった。誠実で律儀(りちぎ)な山本さんは、「仕事をもらったからには、生長の家の教えも学ばなければ」と思い、同本山の一般練成会(*3)に4回連続で参加した。

「生長の家では、『天地一切のものへの感謝』『すべてのものは神において一体』という教えを基に、環境保全活動を進めていることを知って、素晴らしい宗教だと感銘を受けました」

 以来、毎年夏、同本山で開かれる盂蘭盆(うらぼん)供養大祭に、7年連続奉仕員として参加。栄える会にも入会し、その後、同本山幽斎殿(ゆうさいでん)の屋根と隣接する斜面にソーラーパネルを設置する仕事も請け負った。

最適の立地条件を備えた城陽メガソーラー発電所

 そんな平成25年4月、宇治別格本山がメガソーラー発電所を建設することが決まり、候補地探しの適任者として白羽(しらは)の矢が立ったのが、山本さんだった。

「太陽光発電のためとはいえ、元々ある木を切って建設したのでは元も子もありませんから、樹木を切り倒さなくてよい条件に合う土地を探すのはなかなか難しいことでした。しかし、『なんとしてもメガソーラーを建設し、環境保全に貢献したい』という強い思いを持って方々(ほうぼう)探しまわった末に見つけたのが、城陽市の現在の土地でした。ここは採石場跡地だったため、木は生えておらず、一本の木も切らずに済みました。南側斜面なので日当たりは抜群だし、北側に山があって風も防いでくれる、まさにメガソーラーのためにあるような土地でした」

 山梨県北杜市(ほくとし)にある生長の家国際本部にその旨(むね)を打診すると、生長の家でもメガソーラー建設の構想を持っていたものの、土地探しが難航していることを知った。1週間後、同本部環境共生部のスタッフが視察に来て、「メガソーラー発電所に最適の土地」ということになり、宇治別格本山が施工する予定だったメガソーラー発電所の建設が、生長の家国際本部の施工に変更され、山本さんが設置を担当することになった。

自然エネルギー拡大は大きな愛行である

 メガソーラー発電所の建設にあたって、最も神経を使うことの一つに、法的手続きがある。さらに宇治周辺は風致(ふうち)地区(*4)に指定されているため、景観保持などクリアすべき問題が数多くある。もし予定地で遺跡が発見されれば、建設は不可能となるため、綿密な事前調査が必要になる。

「こうした手続きのための話し合いを行い、役所等に大量の書類を提出しなければなりません。正直言って煩瑣(はんさ)なことでしたが、誠意をもって取り組みました」

 その結果、昨年(2015)初め、すべての認可を取得して工事に着手。3カ月後の平成27年3月、完成の運びとなった。

 広大な敷地にソーラーパネルがずらりと並ぶ京都・城陽メガソーラー発電所が稼働を開始した時、山本さんは心から感動したという。

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「この発電所は、信徒の皆さんの浄財によって建設されましたが、私も、会社の『社員一同』として、私が所属する栄える会の支部からも献資させていただきました」

 昨年(2015)8月の盂蘭盆供養大祭では、メガソーラー発電所の見学会が催され、山本さんは案内役を務めた。

「信徒の皆さんがその規模の大きさに驚き、感動してくださったのが何より嬉しいことでした。自然エネルギー拡大は、大きな愛行になるんだと実感しました」

子孫、未来世代に負の遺産を残さないために

 自然エネルギー拡大に賭ける山本さんの思いは、深く強い。

「子供や孫、未来の世代に原発の負の遺産を残さないために、太陽光発電などの自然エネルギー拡大を進めていきたい。自宅に太陽光発電を設置することができない人でも、発電所の建設に献金することで環境保全に貢献ができ、それが未来の世代の幸せにつながるわけですから、生長の家で実施している大型ソーラー発電所建設のための募金は素晴らしい“宗教行”だと思っています」

そんな山本さんは、福島第一原発事故で大きな被害を受けた福島県いわき市に、一般財団法人 世界聖典普及協会(東京・赤坂)が建設している「いわき太陽光発電所」においても、城陽発電所と同様、候補地の選定に尽力した。

「原発事故の恐ろしさに直面した福島の地に、安心、安全な自然エネルギーである太陽光発電を設置することの意義は大変大きいものがあると感じています。今年の初めに脳梗塞を患いましたが、幸い後遺症もなく助かりました。これはまだ私に果たすべき使命があるということで、それこそが自然エネルギーの拡大であると思っています」

*1=生長の家の経済人の集まり
*2=京都府宇治市にある生長の家の施設。宝蔵神社や練成道場などがある
*3=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
*6=都市内外の自然美を維持保存するために創設された制度

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