「Beyond自然塾」│山梨県北杜市│「Beyond自然塾」代表の室田泰文さん 取材/原口真吾 写真/堀 隆弘

「Beyond自然塾」│山梨県北杜市│「Beyond自然塾」代表の室田泰文さん
取材/原口真吾 写真/堀 隆弘

 北杜市明野町の農園から、新しい田舎暮らしを発信している「Beyond自然塾」。同自然塾では、農薬、肥料を使わずその土地の風土に適した野菜作りを行っているほか、ヒートベンチ(*1)、ツリーハウス(*2)作りなど、創造的な自然体験プログラムを展開している。

「Beyond自然塾」は、「新しい田舎暮らしのあり方を提案する」というコンセプトの下、平成24年、北杜市明野町(あけのちょう)の里山で農園を作ることからスタートした。約2ヘクタールの農園では、農薬、肥料を使わず、草抜きもほとんどしない。それでも、ダイコン、ニンジン、ゴボウなど四季折々の野菜が育つのは、明野町の風土に適したものを栽培しているからだと、代表の室田泰文(むろたやすふみ)さんは語る。

「最初の頃は、市販のニンジンの種を播(ま)いても、芽が出るのはわずか1、2本でした。でも、それこそが明野町の風土に適したもので、そのニンジンから種を取って播いたところ、その多くが、肥料も水やりもしないのにちゃんと生長したのです」

 また、自然塾では、さまざまな自然体験プログラムを通し、田舎暮らしの魅力を発信している。

上:昨年のイベントで製作したツリーハウス。子供たちの秘密基地になっている/中:スコップで掘った山の土をふるいにかけ、粘土の材料にする/下:ヒートベンチの完成を祝い、集合した参加者たち

上:昨年のイベントで製作したツリーハウス。子供たちの秘密基地になっている/中:スコップで掘った山の土をふるいにかけ、粘土の材料にする/下:ヒートベンチの完成を祝い、集合した参加者たち

 取材に訪れた6月中旬には、大人と子供15人が参加して、ヒートベンチ作りが行われた。これは、ロケットストーブ(*3)で暖めた空気をベンチの中に通したパイプに送り、冬でも温かいベンチを作るというもの。土、稲わら、漆喰(しっくい)などの自然素材を使い、まず山からスコップで削り出した土に、水と稲わらを混ぜ合わせ、パイプで作ったベンチの周囲に貼り付けて、ベンチの形にしていく。

 泥の感触を味わい、匂いを嗅(か)ぎながらの、五感をフルに使った作業に大人たちの顔から自然に笑みがこぼれる。子供たちも、大人と一緒に土をこねたり、ミミズや沢ガニをつかまえて遊んだりと、泥だらけになりながら自然との触れ合いを楽しんだ。

 自然塾では、他にもツリーハウス作りや、木と竹を使った小屋作りなど、創造的な自然体験プログラムを行ってきた。こうした体験を通して、都会から田舎に移住した家族もあり、室田さんは手応えを感じているという。

「田舎暮らしというと、農業ばかりが強調されますが、もっと自由に、こんなこともできるということをアピールしていきたい。今後も、土壁による小屋作りなど、新しい田舎暮らしのあり方を提案していきます」

問い合わせ先
URL:http://beyond-farm.com/
TEL:050-7108-1978


*1=冬でも温かいベンチのこと
*2=木の上に建てられた家のこと
*3=断熱された排気管(ヒートライザー)と燃焼管(バーントンネル)を持ち、薪をくべて使用する燃焼機器のこと