NPO法人 早川エコファーム│山梨県早川町  取材/原口真吾(本誌) 写真/堀 隆弘 農業体験プログラムを管理するスタッフの山崎頌平さん

NPO法人 早川エコファーム│山梨県早川町
取材/原口真吾(本誌) 写真/堀 隆弘
農業体験プログラムを管理するスタッフの山崎頌平さん

「NPO法人 早川エコファーム」は、人と自然の共生をテーマに、町内の遊休農地を農園として有効活用するなどの活動を展開している。多くの昆虫が生息(せいそく)する草原のような農園では、無農薬、無化学肥料による野菜、米作りも行われている。また、都会からの参加者と共に行う農業体験を通し、自然と共生するライフスタイルのあり方を発信している。

 平成26年、「南アルプス・ユネスコエコパーク」に認定された早川町は、森林が町の96パーセントを占め、ニホンジカ、ニホンザルなどの野生動物が多く生息し、日本一人口が少ない町(1079人)として知られる。近年は町民の高齢化が進み、中洲(なかす)集落の農地の約85パーセントが遊休農地になっている。

 平成29年に設立された早川エコファームは、早川町の活性化のため、遊休農地を活用しようと、中洲集落の遊休農地の約25パーセントにあたる1.3ヘクタールの土地を借り受け、定期的に草刈りを行うとともに、その内の0.7ヘクタールで野菜と米作りを行っている。

上:自分たちが手がけた畑で、ジャガイモの収穫をする大学生たち/中:早川エコファームでは、早川町産の無農薬野菜や民芸品の販売もしている/下:早川町の農産物や加工品を販売する「おばあちゃんたちの店」

上:自分たちが手がけた畑で、ジャガイモの収穫をする大学生たち/中:早川エコファームでは、早川町産の無農薬野菜や民芸品の販売もしている/下:早川町の農産物や加工品を販売する「おばあちゃんたちの店」

 早川エコファームが管理する「生きものいっぱい農園」では、自然農の考え方を取り入れ、雑草を適度に残すなど、草原の環境を再現している。背丈(せたけ)の低い草むらにはショウリョウバッタ、ススキなどの高い草むらにはキリギリスと、遊休農地や一般的な耕作地に比べると、およそ4倍(238種類)の昆虫が棲(す)む。

 野菜と米は無農薬、無化学肥料で栽培し、主な肥料は油かすと枯葉の堆肥(たいひ)。また、ナスと一緒に、キク科のマリーゴールドを植えることで、アブラムシなどの虫害を防(ふせ)ぐコンパニオンプランツも行っている。

 農園には月に一度、ふるさと交流協定を結んでいる東京都品川区を中心に、都会から15人ほどが訪れ、畑仕事を手伝っている。さらに、地元の住民と畑作業を行い、交流を深める農業体験も随時(ずいじ)行っている。

 取材に訪れた6月下旬には、東京からの親子の参加者が地元の住民とジャガイモ掘りを楽しんだ。土の中に幼虫を見つけ、「かわいい!」とはしゃぐ子供の姿に大人たちも顔をほころばせ、和(なご)やかに交流した。

 農業体験プログラムを管理するスタッフの山崎頌平(ようへい)さんは、都会からの参加者に、自然と共生した生活の魅力を伝え、早川町の豊かな自然、生態系を守っていきたいと語る。

「ソバの栽培を始めたところ、他の畑に比べ、ニホンミツバチが6倍多く訪れることが調査で分かりました。生物多様性を実現する畑づくりを通し、自然と共生した里山の豊かな暮らしを発信していきたいと思っています」

問い合わせ先
http://eco-farm.or.jp/ TEL/0556-48-2817