渡辺正重(わたなべまさしげ)さん│63歳│福島県郡山市  取材/磯部和寛 写真/近藤陽介

渡辺正重(わたなべまさしげ)さん│63歳│福島県郡山市 
取材/磯部和寛 写真/近藤陽介

 さらさらと流れる川の向こうに、雄大に連なる山がぼんやりと映る。陰影のくっきりした鮮やかなタッチで描かれた風景は、そこはかとない郷愁を感じさせる。

 パソコンやプリンターが並ぶ仕事場にイーゼルを立てて、絵筆を取る渡辺正重さんは、西は奥羽(おうう)山脈、東は阿武隈(あぶくま)高地に囲まれる郡山の風景と人物画を描いている。

「いつもコストを抑(おさ)えることを考えているので、額(がく)も自作しています。風景画と人物画、どちらかに絞った方がいいんでしょうが、どちらも好きなので両方やります。まあ、飽きっぽいからどっちかに絞れないということもありますが(笑)」

 絵が好きで、子供の頃は漫画を描いたりしていたが、本腰を入れて絵を描き始めたのは14、5年前。まったくの独学で、晩年やはり独学で絵を描くようになった亡き父・行男さんの影響という。

「父は、私には真似できないような非常に細密な水彩画を描いていたんですが、私には、『絵といえば油彩』という思いがあったため、自然に油彩を選びました。もっと若い頃から始めていればと思うこともありますが、本当にやりたいことを見つけたら、年齢は関係ないんですよね」

上:のんびりした時の流れを漂わせる風景画/下:「命の尊さ」をテーマに描いた絵本

上:のんびりした時の流れを漂わせる風景画/下:「命の尊さ」をテーマに描いた絵本

 風景画、人物画を生光展(生長の家芸術家連盟美術展)に出品したほか、「アトリエわたなべ」の名前で、油彩による絵本も制作。絵本は、誰もが自由に読み聞かせに使えるよう、動画共有サイトYouTubeに動画の形でアップロードしていて、『虹色の架け橋』『ロボットのたろー』など10本の作品を公開している。

「いのちの尊さを伝えることをテーマにしていて、名刺にも『いのちの絵本作家』と載せています。生長の家の教えを学んでもらうのが一番ですが、そのとっかかりとして、絵本やYouTubeがあってもいいんじゃないか、と思って始めました。たくさんの人に見てもらえたら嬉しいですね」

 両親が生長の家の信徒だったため、幼少の頃から「人間・神の子」の教えに親しんできた渡辺さんは、同じく生長の家の信徒の兄・正行さんが経営する会社の手伝いをしながら、絵を描くことに没頭する日々を送る。

「職を転々とするなど、いろいろ人生の紆余曲折(うよきょくせつ)を経てきましたが、それもまたよしですね。何か大きな変化が起きても、道を逸(そ)れることなく、身の丈(たけ)に合った生活ができるのは、生長の家の教えが心の芯(しん)の部分にあるからです。これからも教えを糧(かて)に、絵を描き続けたいと思っています」