廣島洋子(ひろしま・ようこ)さん (58歳)福岡県 日曜大工も器用にこなす廣島さん。娘が使っていた学習机と一体型のベッドを、着物の収納棚に作り替えた 取材/水上有二(本誌) 撮影/近藤陽介

廣島洋子(ひろしま・ようこ)さん (58歳)福岡県
日曜大工も器用にこなす廣島さん。娘が使っていた学習机と一体型のベッドを、着物の収納棚に作り替えた
取材/水上有二(本誌) 撮影/近藤陽介

 秋も深まった11月(2018年)、訪問したこの日の廣島洋子さんは、花柄の入った黄褐色の着物姿だった。渋い色彩と帯の紅葉柄が季節感を出していますね、と伝えると、廣島さんは弾ける笑顔で言葉を返した。

「この着物はリサイクルショップで300円で買ったものを仕立て直したんです。帯も自分で作ったんですよ」

 和装が好きで、中古の着物を買ってきて、自分で手を入れて作り直し、それを着て町を出歩いたりするのが楽しいという。そうして、不要となった物を再生させるリメイクにより、ゴミの排出を減らすことは、資源の無駄づかいを減らし、地球環境の保護につながる。

 中古の着物とはいえ、絹地は美しい光沢があって手触りも良く、蚕のいのちを頂いて紡いだ糸ということもあり、無駄にしないよう大切に扱っていると廣島さんは話す。しみや破れ、ほつれなどがあると、一つ一つ補修し、身丈や裄丈などを自分が着られるサイズに縫い直す。

 仕立て直すことができないものは裁断して、帯や手提げバッグにリメイクしたり、帯留や、つまみ細工(小さく切った薄地の布を折りたたんで花などを作る工芸)といった小物を作ったりしている。

 裁縫をしていると糸くずがたくさん出るが、10センチに満たない糸でも捨てずに取っておき、台所用の布巾の縫製に使うなどして物を粗末にしない。

「私の育った家庭は裕福ではなかったので、10代の時、おしゃれをしたくても、親にこの服を買ってほしいとは言えませんでした。それが『自分で作ろう』という発想につながったんです」

幸福感が限りなくあふれてくるリメイク

 手芸や編み物をしていた母親の影響で、中学生の頃から洋服作りに夢中になった。短大卒業後は栄養士として働きながら趣味の服作りを続け、結婚した時には自分のウェディングドレスやティアラを作るほどの凝りようだった。趣味は手芸や洋裁に留まらず、菓子やパン作り、絵手紙、ヨガ、水泳、乗馬、日曜大工などにも広がり、2年半前からは和裁教室にも通っている。

 会社員の夫は兵庫県に単身赴任中で、廣島さんは21歳になる一人娘と暮らす。娘は、生まれた時から廣島さんが手作りした服を着て育ち、今もリメイクを自分好みにお願いするほど、母親が手がけた服や着物に愛着を持っている。

「手作りすることは長年、生活の一部になっています」と言う廣島さんにとって、不要になった衣類をリメイクするのはお手の物だ。

siro108_rupo2_2 自宅玄関に置かれたスリッパは、古くなったジーンズやカーテンをリメイクしたもので、柔らかくて履き心地が良い。ソファの上の座布団は、カバーが破れるたびに布を当てて繕ったという年季の入ったものだが、布の色や柄に合わせたパッチワークがしてあるので違和感がなくおしゃれ。この座布団カバーの裏地には、夫の古いワイシャツが使われている。クッションのカバーやマガジンラックの受け布は古いカーテンからリメイクしたもの。パン作りに必要な発酵用の保温袋は、リビングのマットから作ったといい、その自由な発想には驚かされる。

「どんな物に作り替えようかと考えて、わくわくしながら作っていると、幸福感が限りなくあふれてきます。右脳の活性化にもつながるんじゃないでしょうか」

自分で仕立て直した着物を着る廣島さん。「古い着物をよみがえらせた時は、いつも感動します」

自分で仕立て直した着物を着る廣島さん。「古い着物をよみがえらせた時は、いつも感動します」

 生長の家が発行する「生活の記録表」に、毎月の電気やガス、水道の使用量を付けるなどしてエコに取り組む廣島さんは、生活の中で使い捨てを減らすことを心がけている。例えば、マスクは洗って何度でも使えるよう、ガーゼで手作りした。娘さんのためには、生理用のナプキンをオーガニックコットンの生地で作ったところ、ごく普通に使ってくれているという。

 さらに、廣島さんが「私の一押しです」といって紹介してくれたのが、ティッシュペーパーの代わりとして作った「布ティッシュ」。ティッシュペーパーのサイズのサラシを、家族が使い分けられるように、色分けした糸で縁かがりをし、ティッシュボックスに入れてある。洗って何度も使えるから、資源の無駄づかいとゴミを減らせるのだ。

「布ティッシュは最近作ったばかりなんですが、家族が快く使ってくれるかどうかはまだ様子見です(笑)」

 手作りした作品を多くの人に見てもらいたいと思い、昨年(2018)8月、生長の家のプロジェクト型組織の一つであるSNIクラフト倶楽部(*1)に入部した。同部では、自然の素材や再利用した素材を使い、CO2や廃棄物が出ないように工夫した手作りの表現活動をしている。廣島さんは入部以来、インターネットの交流サイト「フェイスブック」にある同部のページに、毎日のように投稿している。

同好の仲間との交流で、明るい一日に

四代にわたって着ているという祖母の遺品の着物

四代にわたって着ているという祖母の遺品の着物

 廣島さんは「不安な気持ちになると聖経(*5)を誦げたり、『日時計日記』(生長の家白鳩会総裁・谷口純子監修、生長の家刊)に感謝の言葉を書いたりしています。誌友会やフェイスブックを通した信徒の皆さんとの交流も、一日を明るい気分にしてくれます」

 地元の福岡教区で開かれる自然の恵みフェスタ(*6)に、廣島さんはこれまで、着物地から作った聖経を入れる袋やつまみ細工など、手作りの作品を多数出品してきた。さらに教化部(*7)で開かれたクラフト教室では、つまみ細工を参加者に教えて好評を得た。趣味の手作りを通して人に喜んでもらえることで、次作の創作意欲をかきたてられるという。

 部屋の至る所で目に留まるリメイクした作品の中でも、廣島さんが一番大事にしているという着物が、リビングの一角に掛けてあった。祖母の遺品で、2カ月かけて60カ所以上を補修し、自分や娘が着られるように仕立てたという。

「昔の人は着物が古くなるとつぎはぎをして、何代にもわたって着てきました。物を大切にする先人の心を、自分も見倣いたいんです」

 いずれの作品からも、再生させた時の廣島さんの熱い思いが伝わってきた。

*1 SNIクラフト倶楽部生長の家が行っているPBS(プロジェクト型組織)の一つ。他にSNI自転車部SNIオーガニック菜園部がある
*2 教えを学ぶつどい
*3 福岡県太宰府市にある生長の家の施設
*4 合宿形式で教えを学び、実践するつどい
*5 生長の家のお経の総称
*6 自然と調和したライフスタイルの具体例を地域の参加者と共有し、体験・体感する行事
*7 生長の家の布教・伝道の拠点

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