MSさん (40歳・保育士) 滋賀県 MSさんのプロフィール ●家族構成:夫(40歳)、長女(12歳)、次女(10歳)、三女(8歳)の5人家族 ●仕事内容:保育園で2歳児クラスを担当。週4日、8:30〜14:00の勤務 取材/原口真吾(本誌) 撮影/堀 隆弘

MSさん (40歳・保育士) 滋賀県
MSさんのプロフィール
●家族構成:夫(40歳)、長女(12歳)、次女(10歳)、三女(8歳)の5人家族
●仕事内容:保育園で2歳児クラスを担当。週4日、8:30〜14:00の勤務
取材/原口真吾(本誌) 撮影/堀 隆弘

 白を基調にすっきりと整えられた、明るい光の差し込むリビングダイニングキッチン。柔らかな笑顔で迎えてくれたMSさんと、テーブルに向かい合わせで座ると、ご主人がさっとお茶を出してくれた。

「私が保育士の仕事で疲れている時は、お茶を淹れたり、食器を洗って、さりげなくフォローしてくれるんです」

 夫婦で家事の分担を決めているわけではないが、夫のちょっとした手助けや気づかいが、とても嬉しいという。3人の娘たちも、風呂の準備や、掃除の手伝い、洗濯物をしまってくれたりと、家事を手助けしてくれる。公務員の夫が仕事で精神的に疲れている時などは、気分転換のために夜の散歩に誘ったり、休日には子どもたちも一緒にテニスをしたりして、家族団欒(だんらん)の時間を過ごすようにしている。

 ある時、夫が「部屋に花があるといいな」とポツリと言ったのを聞いて、Sさんはすぐに花を買い、玄関やキッチンに飾ることにした。家庭を安らぎの場にしたいという思いから、お互い仕事は家に持ち込まないようにし、いつも心地よい雰囲気を保つように心がけている。

「“女性は家庭の太陽である”ということや、母親の表情や言葉掛けは、子どもの心身の成長に影響することを生長の家で学びました。子どもを神の子として礼拝して、笑顔で接するように心がけていると、私自身も気持ちが落ち着いて日常を送れます」

職場でも自分から明るく

 山口県出身のSさんは、生長の家の教えを信仰する両親のもとに生まれ、高校生の頃までは青少年練成会(*1)にも参加していた。大学時代に友人の紹介で夫と知り合い、7年間の交際を経て平成17年に結婚。翌年、長女が生まれ、初めての子育てに不安を感じたSさんは、現在住んでいる大津市の母親教室(*2)に参加した。

 そこで、心に思い描いたことが周囲に現れてくるという「心の法則」を学び、自分の気分が落ち込んでいる時は、長女もよくぐずるなど、思い当たることがいくつもあると感じるようになったという。

siro110_rupo_1e「子育てに必死になるあまり、娘のオムツを替えたり、風呂に入れてくれたりと、子育てに協力してくれる夫に感謝が足りていなかったと反省し、今ある幸せに気づくことができました」

 生長の家の教育方法を、同世代の母親たちに知ってもらいたいと思ったSさんは、長女が生まれて半年後の、平成18年から自宅で母親教室を開きはじめた。

 長女が小学校に入学し、次女が幼稚園の年長になった平成25年、Sさんは将来の家計を見据えて、週1日から保育士のパートを始めた。保育士の資格は子育ての合間に独学で勉強し、数年がかりで取得した。夫はまだ子どもが小さいことを心配していたが、子ども好きのSさんに適した仕事だということと、仕事も家庭もしっかり両立してくれると信じて応援してくれた。

 Sさんも子どもの頃は、自営業の父親の手伝いで母親の帰宅が夜の7時を過ぎることもしばしばあったが、寂しい思いはしなかった。日曜日には必ず目いっぱい一緒に遊んで愛情を注いでくれ、頑張って働いている母親を尊敬していたからという。Sさんが働くことを選んだのには、娘たちに生き生きしている母親の姿を見せたいという思いもあった。

 現在、Sさんは木曜を除く平日4日、朝8時半から午後2時まで、2歳児のクラスを担当している。2歳児は発達が著しい時期と言われ、子どもが成長していく喜びを味わえるが、イヤイヤ期の真っ最中でもある。生長の家で「人間・神の子」の教えを学んでいるSさんは、「どの子も皆、神の子で本来善なる存在」という視点で子どもたちに接している。

「保育園では、子どもの良いところを認めて伸ばす生長の家の教育方法を心がけ、子どもの個性を尊重し、私の一言で才能の芽を摘んでしまわないように気をつけています」

 園児たちが泣いたり怒ったりすることがあっても、まずその気持ちを受け止めて「そうだったんだね、大丈夫だよ。あなたは素晴らしい子だね」と言うと、子どもも心が満たされて落ち着いてくるという。

 しかし、「ただ甘やかさないで、もっと叱って下さい」と先輩職員から注意を受け、職場内の人間関係で息が詰まるように感じたこともあった。だが、いつも明るく温かい雰囲気のベテラン職員がその場に入ってくると、先輩職員も影響を受けて次第に対応が柔らかくなり、和やかな職場になっていった。

「職場でも、まず自分が明るくなることで、周りの空気も柔らかくなっていくんだと実感しました。それに、子どもに厳しい先輩職員がいたおかげで、私は子どもの美点を引き出せるような保育士になりたいと、はっきりイメージすることができました。私を成長させてくれた先輩に感謝しています」

当たり前の日常がありがたい

三女が描いた両親の絵。いつも笑っているお母さんが大好きだという

三女が描いた両親の絵。いつも笑っているお母さんが大好きだという

 “母親代わり”という思いで園児に接していると、自分の娘たちが幼かった頃、もっと愛情を注いであげればよかったと感じることがある。特に次女が2歳の頃は、幼稚園に通う長女と、生まれて間もない三女に時間を取られ、次女に我慢をさせてしまうことが多かったという。申し訳ない気持ちで、日頃から次女の話をよく聞き、抱きしめてあげると、次女も肩をもんでくれたり、思いやりと優しさで返してくれる。長女三女も、いつも明るく愛情を注いでくれる母親を喜ばせたくなるのか、自然と家事の手伝いをするようになった。

 仕事が休みの木曜日は、着物が趣味の仲間たちと着物を着てランチに出かけ、上手に気分転換をしている。しかし、家族で出かける月2回のテニスや、子どもたちが元気に遊んでいる姿を見ることが一番の息抜きだという。

「特別なことが何もなくても、当たり前の日常を、当たり前に送れることが一番幸せだと思っています。これからも、家族みんなで支え合って、笑顔で楽しく過ごしていきたいです」

 まとまった家事の時間がとれなくても、互いを思いやる家族の心が自然と言葉や態度に表れ、家庭が円満になっていくことを、Sさん一家の生活から実感した。

*1 合宿形式で教えを学び、実践するつどい
*2 母親のための生長の家の勉強会