大量生産・大量消費のサイクルから離れて、手作りすることで見えてくる、本当に大切なこと。クラフトの時間には、豊かな生活や、心穏やかに過ごすためのヒントがたくさん。

ミツバチ柄とロケット柄の生地で手作りしたカバンや筆入れ、ゲームソフト入れなど

ミツバチ柄とロケット柄の生地で手作りしたカバンや筆入れ、ゲームソフト入れなど

 息子が小学校に上がる時、ランチョンマットや巾着(きんちゃく)袋を作る必要があり、手芸ショップで本人が気に入ったミツバチ柄とロケット柄の布を購入したが、どちらもずいぶん余ってしまった。

 数年後、肩掛けカバンを購入するため、息子と一緒に店に行った。気に入るものがなかった彼は、「お母さん、あの布で作ってよ」と言った。「縫い物は巾着袋が精一杯の私に、何て高度な要求を……」と心の中で叫びつつ、しまっていた布を出した。その後、家や店でカバンの細部を観察し、四苦八苦しながら、表がミツバチ柄、裏がロケット柄の肩掛けカバンが出来た。

 喜んだ彼は、「ゲームソフトを入れる袋をズボンに付けられるように」とか、家庭科の裁縫道具袋、布の筆入れなどを、次々にリクエストした。その度に色々な製品をじっくり見て作ることで、私の裁縫の技術も上がった(気がする)。布は全て使い切ることができ、使命を全(まっと)うさせられたようで嬉しかった。息子が今も大事に使っているのを見ては、布のいのちも、私の裁縫への姿勢も、息子が引き出してくれたと感じている。(松井友紀・SNIクラフト倶楽部