川尻尋子(かわしり・ひろこ)さん 67歳・岐阜県下呂市 山から引いた水を満たした洗い場で、夫の尚司さんと収穫したばかりのヤーコンの泥を落とす 取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

川尻尋子(かわしり・ひろこ)さん
67歳・岐阜県下呂市
山から引いた水を満たした洗い場で、夫の尚司さんと収穫したばかりのヤーコンの泥を落とす
取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

 日本三名泉の一つ、下呂温泉の近くに住む川尻尋子さんと、夫の尚司(ひさし)さん(71歳)夫妻を秋晴れの日に訪ねると、二人は家庭菜園の一角に広がる茶畑で、秋整枝(あきせいし)の真っ最中だった。

「こうすると、5月頃に柔らかい新芽が出て、美味しい茶葉が収穫できるんですよ」

上:家庭菜園は150坪ほどあり、ここで採れる野菜が、川尻家の食をまかなっている/下:新聞紙で作るエコバッグ。家で採れた野菜などをプレゼントするのに便利だ

上:家庭菜園は150坪ほどあり、ここで採れる野菜が、川尻家の食をまかなっている/下:新聞紙で作るエコバッグ。家で採れた野菜などをプレゼントするのに便利だ

 と、尋子さんが手を休めて説明してくれた。収穫した茶葉は業者に仕上げてもらう。このお茶に至るまで自家製の川尻家の食の自給自足率は約80%という。野菜は家庭菜園の収穫物でまかなえるし、釣りが趣味の尚司さんが釣ってくる川魚が、食卓に並ぶ頻度(ひんど)は高い。

「菜園は、草取りで出た草を腐葉土にして無農薬で育てています。何を食べてもおいしいし、安心安全ですね」と尚司さん。

 尋子さんは草取りと調理を担当。採れた野菜は、尋子さんの手で上手に味が引き出される。例えばキュウリ。本来の味を生かし、すべてを食べ切るには佃煮(つくだに)が一番と話す。

「1回につき2キロぐらいのキュウリを塩揉みし水気を切って、佃煮を作ります。去年は20回近く作りましたよ。冷凍して保存食にしたり、友人にあげたり。生長の家のイベントにも持参します」

 季節の野菜が採れるたびに、尋子さんは平成17年に亡くなった義母を思い出す。

「お義母(かあ)さんに野菜や料理作りを通して、自然の恵みのありがたさを教わったんです」

 尋子さんは、病弱な義母に『甘露の法雨(*1)』を読み聞かせ、人間は神の子で実相(*2)は完全円満であることと、人間には自然治癒力があることを伝え続けた。義母の最期(さいご)の言葉は、「尋子ちゃんがいてくれて良かった」だったそうだ。

「お義母さんの法事では、夫が釣った魚と家庭菜園で採れた野菜を使った料理で、お坊さんや来客を迎えました。アマゴの甘露煮(かんろに)やインゲンのごま和(あ)えなど、とても喜んでいただきました」と尋子さんは振り返る。

 尋子さんは去年夏、「SNIオーガニック菜園部(*3)」に入部した。家庭菜園での野菜作りや、旬の野菜を使った日々のおかずをインターネットのフェイスブックに投稿し続けている。「多くの人に、自然食のおいしさを知ってもらいたい」と願って。

*1 生長の家のお経のひとつ
*2 神によって創られたままの完全円満なすがた
*3 生長の家のプロジェクト型組織の一つ