福島馨子(けいこ)さん 73歳・神奈川県平塚市 手作りした『生命の實相』のブックカバーを手にして 取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

福島馨子(けいこ)さん 73歳・神奈川県平塚市
手作りした『生命の實相』のブックカバーを手にして
取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

 始まりは3年前のこと。福島馨子さんは自宅の新築に合わせて、家に仕舞われている物の処分に頭を悩ませていたが、その中に亡くなった母親から受け継いだ生地(きじ)があった。母親はパッチワークを趣味にしていて、様々な生地を集めていたのだ。

コサージュ作りは楽しい時間。あっという間にたくさん出来てしまう。胸元に付けているのも、お手製のコサージュだ

コサージュ作りは楽しい時間。あっという間にたくさん出来てしまう。胸元に付けているのも、お手製のコサージュだ

「全て新品の生地だし、何とか活用できないかしら。パッチワークは難しいけど、バッグやブックカバーなら作れるかもしれない。世の中に捨てる物なんて一つもないって、谷口雅宣(*1)先生はおっしゃってるもの」

 以来、本やネットを参考に、これらの生地でバッグやコサージュなどを作り始めた。作ったものを人に差し上げると、みんな笑顔になる。それが嬉しくてまた作る。そうするうちアイデアが次々と浮かんできた。

「例えばブックカバーにしても、どんな本にも使えるようにと大中小、何パターンも作ります。コサージュなら四季の服に合わせて、生地や色を工夫するんです。そのことが楽しくなってきて、今年(2018)3月に神奈川県教化部(*2)で行われた自然の恵みフェスタ(*3)に出品したら完売。嬉しかったですね」

上:『合本 讃歌』のカバーなど。一つひとつに刺繍が施されていて、丁寧な仕事ぶりに目を見張る/下:福島さんの母親が作ったパッチワーク作品の数々。クッションカバーやバッグ、家の形をしたティッシュペーパー入れ、ニワトリ、ネズミなど、今となっては母親を偲ぶ思い出の作品となった

上:『合本 讃歌』のカバーなど。一つひとつに刺繍が施されていて、丁寧な仕事ぶりに目を見張る/下:福島さんの母親が作ったパッチワーク作品の数々。クッションカバーやバッグ、家の形をしたティッシュペーパー入れ、ニワトリ、ネズミなど、今となっては母親を偲ぶ思い出の作品となった

「これらはフェスタ以降に作ったんですよ」と福島さん。見せていただくと作品の多さにびっくり。ブックカバーは『生命の實相』(生長の家創始者・谷口雅春著、日本教文社刊。全40巻)や『合本 讃歌』(谷口雅宣著、日本教文社刊)をぴたりと包む丁寧(ていねい)な仕事ぶりで、福島さんの作品が喜ばれる理由が分かった気がした。

 布のリユースを通して福島さんは表現する喜びを感じている。また、家庭内で必要なものがあっても、安易(あんい)に買うことなく、手作りできないか考えるという。

「布が好きになったのは、母のパッチワーク作りを見ていたからです。それに母が作ったものは時間が経つにつれて、いい味を出しています」

 それは布に宿るいのちの輝きかもしれない。あるいは母親が作品に託(たく)した、物を大切にしてほしいという願いなのかもしれない。

「布さえあれば、思い出に残るバッグなどが誰にでも作れます。この楽しさをもっと多くの人に知ってほしいと思います」

 福島さんは、早くも来年のフェスタに向けて作品を作り始めている。

*1 生長の家総裁
*2 生長の家の布教・伝道の拠点
*3 自然と調和したライフスタイルの具体例を地域の参加者と共有し、体験・体感する行事