Kさん 75歳・千葉県 取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣 4坪ほどの家庭菜園の主役は、今年もキュウリ。夫の輝義さんと生育の様子を見る

Kさん 75歳・千葉県
4坪ほどの家庭菜園の主役は、今年もキュウリ。夫と生育の様子を見る
取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

 南に開けた4坪ほどの家庭菜園。キュウリ、ナス、トマト、レタスや枝豆が毎年たわわに実り、30年もの間、Kさんの食卓を支えている。

 キュウリは最初の頃、4本の苗から620本もの実をつけたこともあった。連作障害と近隣の建て替えが進んだことによる日照の変化のため、今は以前ほどではないが、初夏には毎朝大振りのものが2本ずつ、盛夏ともなると、さらに収穫量は増える。5人の子どもたちは独立し、夫(75歳)との二人暮らしには十分な量だ。

上:家庭菜園の隅に設置された腐葉土庫。フタはお風呂用のものを再利用。堆肥に生ごみを加えて畑の土をつくる/下:水を張った雨樋をネーブルの木の周囲に巡らせて、アリよけに。農薬を使わないための工夫である

上:家庭菜園の隅に設置された腐葉土庫。フタはお風呂用のものを再利用。堆肥に生ごみを加えて畑の土をつくる/下:水を張った雨樋をネーブルの木の周囲に巡らせて、アリよけに。農薬を使わないための工夫である

「野菜の生育を通して、気候が変わってきていることも感じるんです」

 とKさんは言う。白鳩会員()のKさんは、谷口雅宣・生長の家総裁の講話や著書から、地球温暖化による気候変動が大きな問題になっていることを学んでいて、家庭菜園の野菜を通して、それを実感することがある。

「キュウリは昨年は普通に採れたのに、今年は思ったほど生育しないんです。シソもそうですね」

 Kさんにとって、菜園は単なる野菜畑ではない。子育てに行き詰まった時、一人きりになりたい時、答えを求めるようにこの場所に足を運んできた。土を触り、野菜の葉の茂みに腰を下ろしていると心が鎮(しず)まってくる。癒(い)やしの空間であり、答えを見つける場所なのである。

 だから収穫物への愛着もひとしおだ。キュウリの漬け物を作る時も、「いい子、いい子」とつぶやきながら粗塩をすり込み、やさしく揉(も)んでいる。

 菜園は夫の協力を得て進化している。大きな腐葉土庫を作ったのもその一つ。毎年5月のみどりの日に、浦安市が配布する堆肥(たいひ)を、昨年は土嚢(どのう)袋2つ分もらった。これを腐葉土庫に入れ、毎日出る生ごみを混ぜ込み、養分が豊かな土を作っている。土嚢袋は、東日本大震災の時に購入したもので、今は堆肥入れとして活用している。

「96歳で他界した明治生まれの母は、人や物事の良いところを見て明るく生き、『もったいない』と言っては物を大切にする人でした。私も母のように物を大切にしながら、主人と共に明るく楽しく暮らしていきたいと思います」

* 生長の家の女性の組織