森田さん 67歳・福岡県糸島市 段ボールコンポストで出来た堆肥を、ふるいにかけて畑に撒いていく。「生ごみが堆肥に変わってくれて、ありがたいです」 取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

森田さん 67歳・福岡県糸島市
段ボールコンポストで出来た堆肥を、ふるいにかけて畑に撒いていく。「生ごみが堆肥に変わってくれて、ありがたいです」
取材/南野ゆうり 撮影/野澤 廣

 森田さんが段ボールコンポストと出合ったのは、平成14年の頃。段ボール箱にもみ殻燻炭(くんたん)とピートモスを混ぜ、そこに生ごみを入れると、微生物の力で分解され、堆肥(たいひ)を作れるというものだ。

「その頃は3人の子どもがまだ一緒に住んでいて、生ごみが多く、どうやったら減らせるか頭を悩ませていたのです」

段ボールコンポストのフタには、日付とともに、その時々の言葉が記されている

段ボールコンポストのフタには、日付とともに、その時々の言葉が記されている

 飛びついて実践してみたものの、ウジ虫の大量発生に悲鳴を上げてしまい、あえなく敗退、諦(あきら)めかけた。しかしその時、生長の家総裁(*)の『足元から平和を』(生長の家刊)の本を手にしたことが転機となった。

「本を読み進めると俄然(がぜん)、元気が出て、再挑戦しようと意欲がわいてきたんです」

 そこにはこう書かれていた。

「私は毎朝“生ゴミ捨て”をやっています。家の庭にコンポストがあって、毎日出る生ゴミをそこに入れているのですが、こうしていると生ゴミがだんだん土に変わっていくのが分かる。その途中ではウジ虫も発生しますから、人間が見ると“きたない”ように見えるけれども、ウジ虫もカビも腐敗菌も、自然資本においては皆重要な役割を果たしており、決して“ゴミ”でも“廃棄物”でもないのです」(46ページ)

森田さんお手製の米味噌。この容器にも感謝の言葉が書かれている

森田さんお手製の米味噌。この容器にも感謝の言葉が書かれている

 どんな生き物にも価値があり、ムダなものは何一つないと知ったのだった。後に糸島市が有料配布する段ボールコンポスト「すてなんな君ゼロ」に切り替え、またコンポストの扱いにも慣れていくと、虫はあまり姿を見せなくなった。

「総裁先生のおっしゃる通り、本当にバクテリアの力ってすごいんですね」と森田さん。今、1箱は堆肥が出来上がり、残りの3箱では堆肥が熟成中だ。それぞれのフタに書かれた言葉が、森田さんの喜びと感動を代弁している。曰(いわ)く「H29・8・27 涼しい風がふいています。ありがたい」「H29・12・7 今年も残り少なくなりました。又バクチャンよろしく!!」等々。

 堆肥となった生ごみは、家庭菜園にまかれ、そこで育つ野菜の滋養(じよう)となっている。

「うれしいですね。あの生ごみがこんなにきれいな堆肥になってくれるなんて」。森田さんはスコップで堆肥をすくい上げ、丁寧(ていねい)に畑にまき出した。

* 谷口雅宣・生長の家総裁のこと