大量生産・大量消費のサイクルから離れて、手作りすることで見えてくる、本当に大切なこと。クラフトの時間には、豊かな生活や、心穏やかに過ごすためのヒントがたくさん。

左:眞藤さんが手作りした光のモービル・ヒンメリ。柔らかい光の中に、幾何学模様が美しく映える。/右:山梨県北杜市の農園で、初めて出合ったヒンメリ

左:眞藤さんが手作りした光のモービル・ヒンメリ。柔らかい光の中に、幾何学模様が美しく映える。/右:山梨県北杜市の農園で、初めて出合ったヒンメリ

 出会いは山梨県北杜市の農園。豊かな畑の横にある小屋に、なにかが吊り下がっていた。それは農園の奥さんが作ったもので、フィンランドの伝統工芸であり、「光のモビール」とも呼ばれる「ヒンメリ」だと知る。語源はスウェーデン語の「himmel(天)」。風に優しく揺れるそれはとても美しく、心を奪われた。

 農園の端の零(こぼ)れ種から育ったライ麦を、根元から1束いただいた。麦わらの皮を1本1本剥(む)いていくと、中からツヤツヤと黄金色に光る茎が顔を出し、心が踊った。この茎を適当な長さに切り揃え、糸を通して結ぶ。そんなシンプルな作業から様々な幾何学模様が生まれるのだ。

 古代ヨーロッパのゲルマン民族は自然を大切にし、精霊信仰に基づく生活を送っていた。寒いフィンランドでは、ヒンメリを太陽神の誕生祭や収穫祭、クリスマスなどで飾り、家の魔除けのお守りでもあったという。そんな、麦わらと糸と祈りで結ばれたヒンメリ。眺めていると、豊かな優しさに癒やされ、神秘さを感じる。(眞藤誠華・SNIクラフト倶楽部