井上理子(いのうえ・みちこ)さん 大阪市阿倍野区・会社員・29歳 取材●中村 聖(本誌)写真●遠藤昭彦

井上理子(いのうえ・みちこ)さん
大阪市阿倍野区・会社員・29歳
取材●中村 聖(本誌)写真●遠藤昭彦

 大阪市内にある会社に勤務する井上理子さんは、ビーズ細工や裁縫など、小さい頃から自分の手で何かを作ることが好きだったという。手作りのアクセサリーを人にプレゼントしたときに、喜んでもらえることが何よりも嬉しいと話す。

 井上理子さんは、大阪市内にある短大の情報処理学部を卒業後、市内にあるイベント制作や広告代理店業務などを行う会社で、経理事務の仕事をして9年目になる。

 昔から手先を動かすことが得意だった井上さんは、買ってもらった人形に自分で作った服を着せて遊んだり、小学生のときのクラブ活動では、テディベアのぬいぐるみやマフラーなども作ったりしていたという。

「学校では、図工や家庭科の時間がすごく好きでした。昔、家庭科の授業で作ったエプロンを今でも家で使っていますし、大学時代は陶芸部に所属して、自分で手作りした食器を販売したこともあります。100円均一のお店などで売っている大量生産されたものは、もし壊れたりしても『安いし、また買えばいいや』と思ってしまいがちですが、自分で作ると愛着がわくので、何かを手作りすることは、物を大切にする心を育む上でも、とても大切なことだと思います」

喜んでもらえるのが嬉しくて

 そんな井上さんが本格的に手作りに取り組み始めたのは今から2、3年前のこと。生長の家大阪教区青年会(*1)で副委員長も務める井上さんが、青年会の先輩の誕生日に、手作りのアクセサリーを贈ったことがきっかけだった。

上:水引を使った髪留めなど。「使う人のイメージに合わせて作るのが楽しいですね」/下:小さな折り鶴を使ったイヤリング。付けるとかわいらしく鶴が揺れる

上:水引を使った髪留めなど。「使う人のイメージに合わせて作るのが楽しいですね」/下:小さな折り鶴を使ったイヤリング。付けるとかわいらしく鶴が揺れる

「その先輩も手作りがとても得意な方で、最近も、私の誕生日に刺繍入りの箸袋を作ってくれて本当に嬉しかったです。私も先輩の誕生日に手作りのものを贈ろうと思ったんですが、先輩は他にも消しゴムはんこや洋服など、なんでも作れてしまう方なので(笑)、何を贈ればいいか悩んだ末に、アクセサリーだったら喜んでくれるかなと思ったんです」

 友人と一緒に、砕いた貝殻や押し花などをレジンと呼ばれる樹脂で固め、髪留めとヘアピンを作って先輩たちに贈ったところ、とても喜んでくれた。

「思いを込めて作ったものをプレゼントして喜んでもらえることが、私にとって、手作りに取り組むことの一番の魅力ですし、創作の原動力にもなっています。他にも、姉のために折り紙の鶴を使ったイヤリングをプレゼントしたりもして、これまで2、30個はアクセサリーを作ったと思いますが、ほとんど人にあげてしまって手元に残ってないんです(笑)。贈る人に似合うように色やデザインなどを工夫しながら、あれこれ考えながら作るのが本当に楽しいですね」

自然との調和を意識して

 アクセサリーに使う材料も、環境への負荷を考え、最近は自然素材のものをできるだけ使うようにしていると井上さんは話す。

「木で作ったアクセサリーに興味があって、雑貨店にある商品を参考にしながら、作品作りのアイディアを練っています。木製のものは、温もりがあって好きですし、心も癒やされますね。生長の家国際本部が運営している、『長坂子ども食堂』では木の食器が使われていますが、あれがとてもかわいくて、私もコップやフォークなど、木の食器を使い始めたんです。また、生活のなかに少しでも自然を感じられるように、サボテンなどの観葉植物を部屋に置いたり、ベランダ菜園でミニトマトやへちまなども作ったりしています。手作りを始めたことで意識が拡がり、日々の暮らしのなかで、自然との調和をさらに意識するようになりました。楽しみながら取り組むことが、そのまま環境を守ることにもつながっていくところも、手作りの素晴らしいところだと思います」

悪口を言わない

 祖父母の代から生長の家を熱心に信仰する家庭に生まれ、小さい頃から教えに触れていた井上さんは、中学生になると、練成会(*2)の運営も手伝うようになった。

「両親に連れられて、生命学園(*3)や講習会(*4)などにもよく参加していました。生長の家で教えてもらった『わが魂の底の底なる神よ、無限の力よ湧き出でよ』という言葉を、学校のテスト前や部活の試合のときなど、緊張しそうになったときによく唱えていましたね。そうすると気持ちが落ち着いて、集中することができたんです」

上:水引を使った髪留めなど。「使う人のイメージに合わせて作るのが楽しいですね」/下:小さな折り鶴を使ったイヤリング。付けるとかわいらしく鶴が揺れる

上:水引を使った髪留めなど。「使う人のイメージに合わせて作るのが楽しいですね」/下:小さな折り鶴を使ったイヤリング。付けるとかわいらしく鶴が揺れる

 明るい人生を築くためには、良い言葉を遣い、いつも前向きな心でいることが大切だと生長の家で学んだ井上さんは、高校生のときに、絶対に人の悪口は言わないようにしようと決めたという。

「友人たちが誰かの悪口を言っているときも、それに同調したりせず、逆に悪口を言われている人の良いところについて話すようにしていたんです。そうしたら、ある日友人から、『みっちゃんて、悪口言わないよね。そういうところ、真似しようと思う』と言ってもらえたんです。次第に悪口を言う人も減っていき、とても嬉しかったですね」

 そんな井上さんだったが、高校時代の一時期、部活の人間関係で悩んだことがあった。

「音楽が好きで、高校では軽音楽部に在籍していたんですが、部内で組んだバンドメンバーの女の子と仲があまり良くなかったんです。でも、自分が相手に対して苦手意識があるから、相手もそう思うのではないかと考え、自分から明るい言葉で話しかけたり、相手と仲良くしている自分を想像しながら神想観(*5)をしていくうちに、段々と仲良くなることができたんです。生長の家の教えは、私にとって生き方の基盤や中心となるもので、これまでに経験したすべてのことが、社会に出た今も、とても役に立っていると感じています」

手作りの魅力を伝えていきたい

近くの公園にて。「音楽が好きで、フェスなどにも行きます」

近くの公園にて。「音楽が好きで、フェスなどにも行きます」

 現在、SNIクラフト倶楽部(*6)にも在籍し、積極的に活動を行っている井上さんは、今後も一人でも多くの人に、手作りの魅力を伝えていきたいと話す。

「小学生練成会のイベントで、竹を使った水鉄砲を一緒に作ったんですが、どの子もみんな楽しそうに取り組んでいました。いまは、なかなか手作りに馴染みのない男性の方に、手作りに親しんでもらうためにはどうすればいいかを考えています。私の場合はアクセサリーでしたが、まずは簡単な物でもいいので、自分が好きだったり、興味のあるものを手作りしてみるのもいいかもしれませんね。私自身は、今度自然素材を使った洋服作りに挑戦しようと思っています」

 そう話す井上さんは、耳につけた自作のイヤリングを風に揺らしながら微笑んだ。

*1 12歳から39歳までの生長の家の青年の組織
*2 合宿して教えを学び、実践するつどい 
*3 幼児や小学児童を対象にした生長の家の学びの場
*4 生長の家講習会
*5 生長の家独得の座禅的瞑想法
*6 生長の家が行っているPBS(プロジェクト型組織)の一つ。他にSNI自転車部、SNIオーガニック菜園部がある