岡本幸恵(おかもと・さちえ)さん 山口県・23歳・パート勤務 取材●中村  聖(本誌) 写真提供●岡本幸恵さん

岡本幸恵(おかもと・さちえ)さん
山口県・23歳・パート勤務
取材●中村 聖(本誌)
写真提供●岡本幸恵さん

 ジャズやロックなど、音楽がとても好きと話す岡本幸恵さんは、山口県にある芸術系の短期大学で音楽を学んだ。在学中はサックスを専攻し、実技のほか、音楽の歴史や楽曲の構造などについて勉強していたという。

「当初は、音楽療法士(*1)の資格取得を目指して大学に進学したんです。でも、実習などに取り組むなかで、自分のやりたいこととは違うように感じたので、大好きなサックスの勉強に集中するようにしました。在学中は、デイケア施設にうかがって演奏をしたこともあります」

 岡本さんがサックスに出合ったのは高校時代のこと。入学した高校に、県内で唯一、ジャズ・バンドの部活動があったことがきっかけだった。

「部活でサックスを演奏するようになって、どんどんジャズが好きになっていきましたね。文化祭で15人ほどのビッグ・バンドで、『シング・シング・シング』といったジャズの有名曲などを演奏したりして、とても楽しかったです」

 そんな岡本さんだが、高校3年生のときに、SNSへの書き込みをめぐって、同級生とトラブルになってしまったことがある。

「悩んでいた私を心配して、生長の家を信仰していた母が、『このままじゃいけないから、宇治別格本山(*2)の練成会(*3)に一緒に行こう』と誘ってくれたんです。講話などを聴くなかで、生長の家の『人間・神の子』の教えがすっと胸に入ってきて、『私も神の子で素晴らしい存在なんだから、何も心配しなくていいんだ』とすごく心が軽くなりました。個人指導では、トラブルになった相手を赦すためのお祈りを勧められたんですが、最初は嫌々やっていました(笑)。でも、次第に心から相手のためにお祈りができるようになり、相手に対するマイナスの感情も消えていったんです」  

 その後、大学時代にも人間関係で悩みを抱えたことがあったが、生長の家の教えや、仲間の存在が大きな心の支えになったと話す。

知人が無料で貸してくれたという倉庫で練習に励む岡本さん

知人が無料で貸してくれたという倉庫で練習に励む岡本さん

「いまでは、そうした経験も、すべて自分の成長のために必要なことだったのだと受け止めることができるようになりました」

 岡本さんは現在、地元スーパーのパートタイマーとしてレジを担当するほか、イベント・スタッフとしても働いている。職場の同僚との仲も良く、笑顔でお客と接することを大切にしているという。生長の家山口教区青年会(*4)の事務局長も務めている岡本さんは、これからも大好きなジャズを続けていきたいと目を輝かせた。

「ジャズの魅力は、お客さんと一緒に楽しめるところにあると思うんです。いまは地元のジャズ・バンドに所属して、サックスの演奏活動を続けています。俳優の武田鉄也さんが、『音楽の楽という字に、草かんむりを付けると、薬という字になる。音楽は人を励ます薬でもある』と話されているのを最近聞いたんですが、とても心に響きました。私もジャズを通して、たくさんの人を励ましていくことができたらいいなと思っています」

*1 福祉や医療の場面において、音楽の持つ力を生かしたリハビリテーションを行う専門家
*2 京都府宇治市にある生長の家の施設。宝蔵神社や練成道場などがある
*3 合宿して教えを学び、実践するつどい
*4 12〜39歳の生長の家の青年男女の組織