
O.R.さん
長崎県・19歳・団体職員
取材●長谷部匡彦(本誌)
長崎県西海市にある生長の家総本山(*1)で、令和2年7月から神舞姫(みこ)を務めるOさんは、日々、雅楽の琴や龍笛、神に奉納する舞の練習に励んでいる。
「これまでに月初めのお祭りで、『浦安の舞』の扇舞(おうぎまい)と鈴舞(すずまい)、『豊栄(とよさか)の舞』を舞いました。今は神舞姫の人数が足りないので、四人舞を舞うことができないのですが、いつか大祭(*2)で神様に四人舞を奉納することができたら嬉しいです」
大阪府出身のOさんは、生長の家の教えを信仰している母親に連れられて、幼い頃から生命学園(*3)に通い、その後、小学生練成会(*4)にも参加するようになった。練成会では「現象世界は心がつくりだしている世界であり、明るい心が明るい世界をつくる」ということを学び、人や物事の光明面を見るようになった。
「生命学園に通い始めた頃から、クラシックバレエを習い始めたんです。最初の教室の先生は、とても厳しい口調で怒ることが多く、それが原因でレッスンをやめる生徒がいました。私も傷つくことはありましたが、先生は私の技術を向上させるために指導してくれているのだと思い、レッスンを続けました。前向きに取り組めたのは、生長の家の教えがあったからです」
中学2年生の節目となるバレエ公演まで、その教室で指導を受け、その後、別の教室に移った際に、表現が豊かなコンテンポラリーダンスに興味を持った。
「コンテンポラリーダンスは型にとらわれず、身体の感じるままに、全身で自分の世界観を表現することができるんです。表現の幅が増して踊りが一層楽しくなりました」
高校に進学すると、袴姿に憧れて合気道部に入部したが、3年生が引退すると、部員はOさんを含め4人になってしまった。なんとか部員を増やしたいという思いから、勧誘のチラシを作ったり、部活紹介でクラシックバレエを交えた寸劇に取り組んだりした。そうしたOさんたちの努力が実り、引退するまでに部員を20人にまで増やすことができた。しかし、部活動の面では充実していたものの、その一方で、友人関係に悩むこともあったという。
「クラスの友達が、他のクラスメートを悪く言う時があって、それが嫌で『悪口はやめてほしい』とはっきりと伝えたら、関係が悪化してしまったんです。その後、私はその友達に言い過ぎてしまったと謝って仲直りをしました。私自身が、友達のいい所を見ることが出来ていなかったのだと反省したんです」
高校卒業後、生長の家総本山の職員となったOさんは、舞を奉納する喜びについて教えてくれた。
「舞う時は、参拝者の方にも見て頂いていますが、一番は神様に見て頂いていることを意識しています。舞を通して神様へ、純粋に感謝の思いを表現する機会を与えられていることが、とても幸せです」
*1 長崎県西海市にある生長の家の施設。龍宮住吉本宮や練成道場などがある
*2 龍宮住吉本宮・龍宮住吉霊宮の規模の大きい祭
*3 幼児や小学児童を対象にした生長の家の学びの場
*4 合宿して教えを学び、実践するつどい