一枚の絵からは、そこに描かれている形象だけでなく、作者が何を思い、どう考えて生きたのかという、心の軌跡が浮かび上がってくるものです。絵が描かれたいきさつ、それにまつわる作者の人生を紹介していきます。(絵と文 川崎善張)

『花たちの声』(2015年作。P4号)

『花たちの声』(2015年作。P4号)

絵と文 川崎善張(かわさき・よしはる) 大分県豊後高田市在住の画家。1957年、大分県生まれ。東京造形大学卒業。白日会会員を経て、現在、生長の家芸術連盟(生芸連)会員。2002年に生光展賞。生長の家地方講師、生長の家相愛会大分教区連合会副会長。

絵と文 川崎善張(かわさき・よしはる)
大分県豊後高田市在住の画家。1957年、大分県生まれ。東京造形大学卒業。白日会会員を経て、現在、生長の家芸術連盟(生芸連)会員。2002年に生光展賞。生長の家地方講師、生長の家相愛会大分教区連合会副会長。

 2016年に描いた『花たちの声』は、前号で紹介した『満天の花びら』(P6号)より、さらに小さいP4号の作品である。

 この年の5月、私は会社の旅行で長崎に行った。その時立ち寄ったハウステンボスの薔薇(ばら)園がとても美しく、深く心に残った。

 色とりどりに咲く薔薇に囲まれながら園内を歩くと、移り動く色の空間と時間軸の中心に私がいるような気がして、“至福の今”を味わった。陽春の風に乗り、あちらこちらから薔薇の花たちが囁(ささや)き合う声が聞こえてくる。

 その声は、「エネルギーの波」としか表現しようがないほど、不思議な響きとして私の心に流れ込んできた。そして、その声に心を振り向けた瞬間、薔薇の花たちはいっせいに、私が「見たい」と願っていた姿に形を変えてくれたように思え、「私は花であり、花は私である」と感じることができた。

 心が何かを感じ、何かをイメージし、持ち続けた時、やがてそのイメージ通りの世界が目の前に姿を現してくるのである。この世界に先んじて存在しているのが心の世界であり、心こそが未来を創造する。つまり、心にポジティブなことを想い描くか、ネガティブなことを想い描くかで、どういう未来が訪れるかが分かることになる。

 そんなことを思いながら描いた『花たちの声』は、薔薇の花たちから触発(しょくはつ)されて描いた世界であり、その意味で私のポジティブな感情が凝縮(ぎょうしゅく)された絵だと言っていい。

 生長の家では、「現象は心の影」と説いている。だから今、自分の目に映る世界を見れば、これまでの自分の心の在(あ)りようがどうだったのか、自ずと理解されるのである。

 そう考えるならば、現象界はとても大切で掛け替えのないものであり、深く見、感じなければならないものだ。今、見えているもの(顕在意識)との真摯(しんし)な対話を通してのみ、初めて見えていないもの(潜在意識)が見えてくるのだと思う。

「この世界でもっと美しいものと出合いたい」──それを実現するには、私の心を、もっともっと美しく彩(いろど)らなければと感じている。