藤田聖子(SEIKO)さん│愛媛県新居浜市 取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

藤田聖子(SEIKO)さん│愛媛県新居浜市
「絵筆を持つと、すぐに創作の世界に没入してしまいます」と語る
取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

 イラストレーターとして活躍する藤田聖子さんは、昨年秋、新居浜市の「十全ユリノキ病院」から、旧館と新館を繋ぐ50メートルの廊下の壁画を描いてほしいという依頼を受けた。高さ120センチ、両面合わせて100メートルに及ぶ大作だった。

「患者さんの心を癒やすような絵をということでした。果たして描けるだろうかと最初は不安に思いましたが、新たなチャレンジだと感じて引き受けました」 

母親が営んでいたブティックで、さまざまな作品を展示している

母親が営んでいたブティックで、さまざまな作品を展示している

 最初に大まかな構想を練った後、テーマを「自然と人と生き物が調和して生きる世界」に決めて、10月から制作に取りかかり、その都度ひらめきで描いていった。とはいえ、水彩絵の具でイラストを描いている藤田さんにとって、今回、初めてアクリル絵の具を使い、作業ができるのは、病院の業務終了後と土日の昼間という制限もあったため、模索しながらの制作だったという。

「3カ月ほど経って、半分ぐらい絵ができてようやくゴールが見えてきました。患者さんや病院のスタッフの皆さんから優しく声を掛けていただいたことも、大きな励みになりました」

 半年後の今年(2019)3月に、「ユリノキ散歩道」が完成した。アクリル絵の具の明るい水色を基調に、朝日が放つ光の粒とユリノキの葉が舞い、人と動物と植物が配された壁画は、絵本の一場面のようで、観る人の心を温かく包み込む作品となった。

「光の粒は、朝日とユリノキから溢れたエネルギーを表現していて、患者さんの希望の光になってほしいという願いを込めました」

 藤田さんは、幼い頃から絵を描くのが好きで、小学生になって、いつか絵を描く仕事に就きたいという夢を持つようになった。 

 短大を卒業後、東京の出版社で働いていた時、思い立ってイラストレーターになろうと決意。15年前の平成16年、会社を辞めて絵の制作に専念するようになった。

「祖母や母からの後押しがあってこそ実現できたことでしたが、もう一つ支えになったのが、祖母から伝えられた『人間は神の子で、無限の力を持っている』という生長の家の教えでした」

 こつこつと作品を描き溜め、東京や新居浜で個展を開いたのを機に、さまざまな仕事が舞い込むようになった。お菓子の包装紙、婚姻届のイラスト、タクシー会社のロゴマーク、神社の絵本など、メルヘンチックでほのぼのとした作品は、多く人の共感を呼んでいる。

「私の作品には、『すべてに神様のいのちが宿る』という生長の家の教えが流れているという気がします。それがあるから、多くの皆さんに愛してもらっているんだと思っています」

「SEIKOワールド」は、さらに大きく広がっていきそうだ。

半年かけて描いた十全ユリノキ病院の「ユリノキ遊歩道」

半年かけて描いた十全ユリノキ病院の「ユリノキ遊歩道」