特定非営利活動法人「サンクチュアリエヌピーオー」は、浜松市中田島砂丘の入口にある、遠州灘海岸において海洋環境の保護活動を行っている。ネイチャーセンターを拠点に、絶滅危惧種、アカウミガメの保護をはじめ、環境教育の一環として一般の人たちを対象に、馬込川における自然保護活動、ホタルなどの自然観察会、子ガメの観察会、砂浜の回復、マイクロプラスチックゼロプロジェクト活動などに取り組んでいる。

サンクチュアリエヌピーオー│静岡県浜松市 取材・写真/永谷正樹

サンクチュアリエヌピーオー│静岡県浜松市
子ガメの観察会の前に、子どもたちにアカウミガメの生態について説明する馬塚さん
取材・写真/永谷正樹

 サンクチュアリエヌピーオーの前身は、アシ原や干潟など多様な自然が残り、野鳥の生息地として知られる浜松市馬込川河口付近の環境を開発から守ろうと、1984年にスタートした市民運動だ。1986年に遠州灘海岸の中田島砂丘で絶滅危惧種のアカウミガメの産卵が確認され、翌年からアカウミガメの繁殖調査、保護活動を行うようになった。

 理事長の馬塚丈司(まづかたけじ)さんは、当時をこう語る。

「その頃は、オフロード車がブームだったため、砂丘を走り回る車がたくさんいて、営巣している渡り鳥のコアジサシや産卵にきたアカウミガメ、孵化したばかりの子ガメなどが多くの被害を受けるという問題が起きたんですね。そこで、海岸環境を守るための活動も始めたんです」

上:中田島砂丘の目の前にあるサンクチュアリネイチャーセンター/下:馬塚さんたちは、砂丘の入口にゴミ箱を設置する活動も行っている

上:中田島砂丘の目の前にあるサンクチュアリネイチャーセンター/下:馬塚さんたちは、砂丘の入口にゴミ箱を設置する活動も行っている

 活動が急速に進展したのは、1989年、中田島砂丘のウミガメ保護活動を取り上げた新聞記事に、天皇陛下(当時)が目を留められたことがきっかけだった。宮内庁から「アカウミガメの保護調査活動についてご進講してほしい」と依頼された馬塚さんは、天皇・皇后両陛下(当時)、紀宮様(当時)の前で、これまでの経緯などについてご説明した。

 これを機に、馬込川河口付近の開発が撤回され、1997年、中田島砂丘を含む浜松海岸への車両乗り入れが禁止となった。さらに中学生の社会科や道徳の教科書、静岡県の道徳副読本に、サンクチュアリの環境保護の様子が紹介され、活動が軌道に乗り出したという。

 8月下旬、活動の一つである子ガメの観察会を取材した。参加した30人ほどの子どもたちは、孵化したばかりの子ガメを手に取ったりしながら、目を輝かせて観察。放した子ガメが砂浜を一歩一歩、海に向かって行く姿を見て、子どもたちから一斉に「頑張れ!」という歓声が上がった。

 馬塚さんは、このような体験が子どもたちにとって、生きた環境教育になると目を細めながら次のように語る。

「アカウミガメの保護活動は、順調に進んでいますが、海洋ゴミやマイクロプラスチックなど問題は山積みです。風紋が広がる美しい砂浜に戻すために、これからも頑張ります」

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