
写真2

坂崎和佳
さかざき わか/昭和51年生まれ。美容師歴25年。熊本県球磨郡錦町在住。「ヘアサロンDeaR」を営む傍ら、カメラライフを楽しんでいる。思うように撮れないことも多く、試行錯誤しながら日々奮闘中。生長の家白鳩会員。本誌No.114(2019年9月号)「美のステージ」に登場。
2017年11月27日の午後2時頃、熊本県南部、球磨郡あさぎり町にある谷水薬師堂(たにみずやくしどう)を訪れました。
この谷水薬師堂は、聖武天皇の御代(724~749年)に行基菩薩(*)が創建したとされ、谷水川と杉の大木に囲まれた堂域は、幽玄な雰囲気に包まれています。駐車場から遊歩道を進み、しばらく歩くと、空に向かって聳(そび)え立つ夫婦杉(めおとすぎ)が迎えてくれました。
夫婦杉を見上げながら、本堂で参拝をすませ、その横にある山道を登り始めたとき、杉林の中から神々しい光が差しました。一人旅で少し心細い思いをしていた私は、優しく迎え入れてもらった気がしてほっとしました。(写真1)
15分程登って行ったところに、戦国時代にこの地を治めた豪族、上村氏の居城跡で紅葉の名所として知られる麓城址(ふもとじょうし)がありました。前日の雨で道がぬかるんでいる上、麓城址の手前はかなり急な坂道になっていて、息を切らしながら辿り着きました。ここまで来て、遊歩道の入口に木の杖が置いてあった意味が分かりました。

写真1
ひと息ついて周囲を見回すと、鮮やかに色付いた紅葉、散った紅葉のじゅうたんが目に飛び込み、そこに木漏れ日が差して、それはとても感動的な光景でした。(写真2)
私より少し後に来られた人の話では、「毎年ここに通っているけれど、紅葉に差す、こんなにきれいな光芒を見たのは初めて」とのこと。一度目の訪問でこんな光景に出合えた私は、何てラッキーなんだろうと思ったことでした。
しかし、その後2年続けてここに通ったものの、なかなかタイミングが合わず、あのときのような光芒にはお目にかかれていません。自然が相手の風景写真は、まさに一期一会なのですね。
でも、今年もまたチャレンジしてみようと思っています。(次回は、自宅から撮影した「ペルセウス座流星群」を紹介します。)
*=奈良時代の日本の僧。668~749年