境 博(さかい・ひろし)さん│78歳│福岡県糸島市 テーブルにある観葉植物を眺めながら絵手紙を描く境さん。「没頭すると全てを忘れてしまいます」 取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

境 博(さかい・ひろし)さん│78歳│福岡県糸島市
テーブルにある観葉植物を眺めながら絵手紙を描く境さん。「没頭すると全てを忘れてしまいます」
取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘

 境博さんは、テーブルに置かれた観葉植物を見つめながら、絵手紙用の画仙紙(がせんし)にゆっくりとシャープペンシルを走らせる。その線を黒のボールペンでなぞると、くっきりと輪郭が浮かび上がった。それから、筆ペンで葉の複雑な模様や鉢の陰影を入念に色づけし、40分ほどで一枚の絵手紙が出来上がった。

秋の味覚、栗をハガキに描き、言葉を添えて送る

秋の味覚、栗をハガキに描き、言葉を添えて送る

「満足できるものはなかなか描けませんが、それでも楽しいんです。絵を描いていると、一枚の葉っぱでも、世界に一つだけの神様の作品なんだと思えて、何とも言えない感動が湧いてくるんですよ」

 境さんは、毎月、生長の家ゆには練成道場(*1)で開かれる練成会(*2)の運営委員を務めているが、10年ほど前からは、参加者を対象に絵手紙を指導している。

「中には、絵を描くのは中学生以来という人もいたりしますが、実際に描いてみると、皆さん夢中になってしまうんです。やっぱり、描くことが楽しいんですね」

 子どもの頃から絵を描くのが大好きだったという境さんだが、中学校を卒業し、社会人になると絵を描くことから離れた。再び縁が生まれたのは、68歳の時、谷口雅宣・生長の家総裁が描いた絵封筒に触発されたのがきっかけだった。

宿泊したホテルの封筒を使って描いたスイセン

宿泊したホテルの封筒を使って描いたスイセン

「虚心に周囲の世界を観て、感動したものを絵に描くことが、真理を生活に生かすことに繋がると説かれて、絵封筒を描かれる谷口雅宣先生のお姿を拝見し、私もやってみようと思ったんです。始めてみると、昔、絵を描いていた頃の楽しさが蘇ってきて、病みつきになってしまいました」

 26歳の頃、知人から勧められて生長の家の教えに触れていた境さんは、60歳の時に持病の糖尿病が悪化した。頼まれていた練成会の手伝いが難しくなり、病気を治そうと生長の家宇治別格本山(*3)などの練成会に参加したが、一向に治らなかった。一縷の望みをかけ、生長の家総本山(*4)の練成会に参加して受けた個人指導で、講師からこう諭された。

「『病気は仮の姿であって、本来ないものですから、完全円満な実相(*5)が現れれば病気はひとりでに消えるんです。それを素直にハイと信じて、後は神様に全托してください』と指導され、目が覚めた気がしました」

 それから病気のことは忘れ、泊まりがけで練成会を手伝い、参加者に愛を尽くすうちに症状が軽減。しばらくして、激減していた体重も元に戻ったという。

「絵を描いていると、野の花、空の星や鳥など、身の回りにあるすべてのものは、神のいのちの現れであり、私たちのいのちと一つであることが分かります。その感動を絵手紙で伝えたいですね」

 柔和な笑顔から、絵手紙への深い思いが伝わってきた。

*1=福岡県太宰府市にある生長の家の施設
*2=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践する集い
*3=京都府宇治市にある生長の家の施設
*4=長崎県西海市にある生長の家の施設 
*5=神が創られたままの本当のすがた