
O.T.さん│70歳│千葉県
本格的な日本画も、絵手紙の延長。いつも無心で絵を描くという
取材/佐柄全一 写真/遠藤昭彦
千葉県で夫と長男の3人で暮らすO.T.さんは、10年ほど前から「生光展(*1)」に日本画を出品しているほか、野草や草花をモチーフに絵手紙を描いている。
「千葉教区の練成会(*2)や誌友会(*3)でも、参加者の方に絵手紙の楽しさを伝えながら、一緒に描いています。いつも心がけているのは、皆さんの作品の良いところを見つけて褒めるということ。一つ一つの作品に個性があり、それぞれが素晴らしい。自分の作品を作るときも、自分にそう言い聞かせています」
参加者の中には、絵手紙を描くのは初めてという人も多いが、「描くことで、必ず新しい世界が開けますよ」と話し、まず外に出て、じっくり周囲を観察してみることを勧めている。
「絵を描こうという思いで、周りを見直してみると、何気ない風景や道端に咲く花の美しさに気づくものです。上手とか下手とかではなく、その感動を素直に描けば、それが世界に一つだけの作品になります」
子どもの頃から絵が好きで、高校時代には美術部に所属。絵手紙と出合ったのは、国家公務員として働いていた平成13年頃だった。仕事の息抜きに何かしたいと思っていたときに絵手紙の存在を知り、カルチャー教室に通って習い始めた。

数え切れないほど描いた絵手紙。その1枚1枚にそれぞれの思い出があるという
「絵手紙は誰でも描ける手軽なものだったこともあり、絵心を刺激され、すっかりはまってしまいました。絵を描くことによって、美や感動は身近にあるということが分かると、生長の家で学んだ教えが実感できました」
母親から伝えられた「人間は神の子で、無限の力がある」という生長の家の教えを支えに、結婚後も二人の息子の子育てと、姑の世話もしながら公務員として働き、定年まで勤め上げた。そうした生き方は絵手紙でも発揮され、昨年、「日本絵手紙協会公認講師」の資格取得に挑戦し、難関を乗り越えて合格した。
「かなりハードルが高かったので、一時は諦めかけましたが、神様に祈りながら学んだおかげで、なんとか合格することができました」
同居する長男と市内に住む次男の二人が、40代になっても結婚しないのが悩みの種だったが、「すべてを神様にお任せしよう」と思えるようになって、心が楽になった。
「精一杯人生を歩んでいる息子たちは、それだけでありがたいので、その姿に感謝しながら見守っていこうと思います。そうしたことも、絵手紙を描くうちに、感じられるようになりました。そんな自分の体験も交えて、絵手紙の楽しさを多くの方に伝えていきたいですね」
爽やかな笑顔を浮かべながら、絵筆を走らせる姿が印象的だった。
*1=生長の家芸術家連盟美術展
*2=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践する集い
*3=生長の家の教えを学ぶ小集会